ボロボロの幼女と少女を連れ帰る 字面の危険度が高くて危険
昨日の夜時点でブクマ登録者様が48人になってたりしましたが、現在は50名様です!
減ったりするのは割りとよくあるのですが、減ってる所を目撃すると、気持ちがしょぼーんってなるので苦手ですw
そもそも本作品をブクマしていただけること自体が奇跡の癖して、なに生意気いってるんだ!とのお叱りがきそうですがががが。
そしてそして、(私的には)大台の50名様突破に大感謝です!
キャラクターが出揃ってきたので、お話しのテンポも上がりそうでルンルンです!
前回のあらすじ。
にゃん太君老け顔
にゃんちゃん凶暴
ボロボロ幼女
奴隷達のアレコレを目の当たりにしたことでちょっぴりおセンチな気分になりつつも、日本にいた頃よりあまり気になっていない自分がいることに気付く。
これが日本にいた時なら、多分もっと色々な感情が出てきていたんだろうと思う。
こっちに慣れたのか、それとも俺の精神構造が変わってしまったのかいまのところ分からない。
(よくも悪くもこっちに染まってきたのかなぁ?)
《はい、マスター。マスターの精神的過負荷値は低い状態で維持していますので、精神状態は比較的安定しているようです。いい傾向ですので、このまま頑張ってください。》
褒められた。褒められると基本なんだって素直に嬉しい。となると、別に感情がフラットになったとかそういう類の話しじゃなさそうだなー。
「黒耳ちゃんをそんなに強く抑えないでよ?一応、奴隷契約終わったんだから俺の娘ってことでしょ?これから奴隷を養っていく心構えの勉強を始めたいんだよねー。」
「「も、申し訳ございません!」」
一斉に謝ってくるモブ奴隷さん達。ていうか、いつの間にきてたの?びっくりなんですけど。
解放された黒髪ちゃんを見やる。揉みくちゃにされて余計に体力を消耗してしまっているようだ。痣や擦り傷が増えてて可哀想。
うぐぅ。ケモミミ少女が相手だと胸がギュッてなる。
もしかして、コレが・・・恋?
ないない。単純に可愛いからだと思うの。人間てそんな単純なとこあるもんね!こっちの人たちの感覚はいまいちわかんないけど、黒耳ちゃんは普通に可愛い顔だし猫耳だし。猫耳だし!
ボロボロ幼女ちゃんはというと、浅い呼吸を繰り返し、意識もはっきりとしていない様子。相当熱出てるっぽいな。怪我が熱持っちゃってるのか、風邪とかそっち系なのか全然わかんないや。
でも、こっちの幼女ちゃんの方が危なさそうだってことはすぐにわかる。手早く契約済ませて帰るとするか。
先程と同じ手順を辿り、ボサボサで薄汚れている髪をよけ、おデコに血をつける。以下略(手早くだよ!)
黒耳ちゃんと違って声をあげたりする余裕もないっていうか多分気付いてないままに隷属の契約が終了した。一方的な主従関係の構築って、後ろめたさがあってちょっとヤダなー。
最後に、奴隷の所有権証明書みたいなモノにサインして完璧!古くて伝わらない気もしないでもないけれど、きっと大丈夫!多分!
その後、モブ女性奴隷陣の協力を経て幼女ちゃんと黒耳ちゃんを馬車に詰め、赤茶ヒゲ男が暇そうにしてたから拝借して御者をやらせた。
いつものように揺れる馬車だったが、それ以上に黒耳ちゃんと幼女ちゃんを支えるのがマジきつい!
2人とも意識ないから非常にツラい!
俺、幼女ちゃん、黒耳ちゃんの順番で座ってギューギュー状態。更にここからガンバって左腕のみで2人を抱え込むんだが、こんなに楽しくない異性との密着は初体験だ!
「あーっと、ここ、ここ!ここの宿で止めて!」
「ここって、大将の宿じゃねぇか・・・。」
「あれ?お知り合いだった?やっぱり世間ってヤツは狭いんだねぇー。ま、それなら話しは早いな!ちょっと大将呼んで来てよ!俺じゃこの娘達運べないし、赤茶ヒゲ男君には任せたくないし?」
「赤茶・・・って。いちおうレングって名前があるから覚えてくれよ。今後うちの商会を利用するってなら連絡役は俺になるだろうからな!」
「え・・・マジで?お付き合いやめようかな。割とマジで。」
「それは困る!俺を理由にやめられたら立つ瀬がなさすぎる!後生だ!それだけはなんとか勘弁してくれないか?!」
「うっさいな!そんなことどうでもいいから早く大将呼んで来てよ!じゃないと本気で縁切るけど!それでいいの?」
「ぐぐっ・・。しゃーない。すぐに呼んでくるから変な気は起こさないでくれよ!姉さん!」
「姉さんはないからなっ!絶対だっ!」
即答したが、聞こえていたかは大分怪しい。人の話しを聞いてる顔じゃなかったし。
その後、大将とおかみさんに手伝ってもらい、部屋へ到着。ようやくだ。
今日は1日が異様に長く感じた・・・宿に着くまで冒険とかって良くいうけど、冒険が長すぎてツラい件について小一時間くらい問いただしたい。主に便利スキルやアイテムを寄越さない神(笑)とかに。
「でもま、まだ終わってないんだけども。」
《はい、マスター。少々急いだ方がよさそうですね。》
ここまで奴隷2人を運んでくれた皆には、事情をあとでちゃんと話すと約束して退室してもらった。ご飯もちゃんと後から人数分持ってきてもらう約束をしておいた。だってお腹減ったもん。
レングは帰れって言ったら帰った。素直なことは良いことだな。
黒耳ちゃんはスース―寝息を立ててるから、体力回復のための睡眠を取っているに違いない。
しかし、幼女ちゃんはガタガタ震えだしていてかなりヤバめに見える。コレは自然回復でどうこうなるようなもんじゃないなー。今夜が山っぽい?
「メニューオープン」
《マスター。よろしいので?》
「んむ~。まぁ、別にまた貯めればいいし、そんなに惜しくはないかな?どこぞのお嬢様的に言えば、『わ、わたくしが買った奴隷なんだから、面倒を見ることくらい当然のことですわ』とかそういう感じ?」
《程度が低い真似ごと乙です。そもそも何キャラかもわかりません。》
「ぐはっ!俺の精神に会心の一撃!うぐぅ・・・ポ、ポーションを・・・。『中級回復ポーション』をポチッとな!」
DP500を代償に『中級回復ポーション』を召喚。すかさずフタを開けて幼女のお口へずっぽし!!
やはり飲んだ方が体力面の回復にはいいらしいから、情け容赦は一切しない!こんな時こそ真の意味での平等主義にならねばならぬ!
時には心を鬼にしてでもやらねばならぬ時があるのだ!!そして俺はやればできる子なのだ!
「ん、んくぅっ、んっ、んっ。」
「おぉ、何気に飲んでる?凄いなこの子!」
幼女の見た目は、頭脳は大人な小人くらいに見えるが実際どうなのかはわからない。もうさっき裏切られたばかりだから、予想を立てるのを止めようかと思う今日この頃だ。
そして黒耳ちゃんは多分干支が1週するくらいの年齢に見えるが、こちらも以下略だ。身長も150cmもなさそうだから、概ね合ってるだろうけど。
中級ポーションを飲み終えた幼女ちゃんが緑色に光り輝いたかと思うと、みるみる各種お怪我が治っていき、熱っぽさもひいていくのが見た感じでわかる。
呼吸は整い、穏やかな表情で寝息を立て始めたところを見ると、もう大丈夫そうだ。
中級ポーションってこんなに凄いのか。ゲームとかだと使いどころが難しい微妙な性能なんだが、リアルに置き換えるとホント魔法の薬なのな。
ベッドで横になってる幼女ちゃんに、俺の毛布をかけておく。怪我が治っても風邪ひきましたじゃ意味ないし。
「で、寝たふりしてる黒耳ちゃん?君はポーション大丈夫かい?下級のやつならまだあるよ?」
「・・・気付いてたの?」
「普通気付くよ。さっき大将に持たれた時にぴくってしてたし。」
「・・・よく見てるの。」
「君らは大事な仲間候補だからな。なるべく良く見ておくように心掛けるつもりだよ。」
「はっ、仲間?仲間なんかになれる訳ないじゃないの。ウチはいまさっき奴隷になったばっかりなの。それも、アンタの・・・なの。」
「うん、だからこれからよろしくって言ってるんだけど?」
「はっ?」「えっ?」
お互い疑問が尽きぬ的な顔で見つめ合う。お見合い状態である。
ここ最近じゃ珍しく、お相手が可愛いケモミミ少女なのでまったくもって不快感がない。むしろ気分爽快リフレッシュですらある。
やっぱこれだよー。異世界物語って言ったらまずは美少女とケモミミは鉄板っしょー?
なんか見つめ合ってるだけでワクドキしてきてムネアツすぎて表情がだらしなくなりそうなのでガンバって無表情を貫く。
勝手ににらめっこ気分で見つめ続けてること数十秒。
「ぶふぅっっっ!!」
ケモミミ美少女からご褒美をいただいた瞬間だった。俺の心のメモ帳にしっかりとメモリアルしておくとしよう。
もちろん私はロリコンではないので、健全な楽しみ方しかいたしませんので悪しからず。
「ひっひはひゃひゃひゃひゃひゃへへへへっへっへっ!!」
独特な笑い方で腹を抱えてうずくまっているケモミミ少女。ダボダボの麻の服を1枚着てるだけだから色々危険が危ない!
あんまり前かがみになるんじゃありません!当作品は安全安心健全をモットーにしておりますのでお気を付けください!!
心の中で叫ぶが伝わっていないご様子。俺は言ったから悪くない、ハズ。
「あ、あんたっ、なんでそんな変な顔してこっち見続けっ、へひっひっ、見続けるの!笑っちゃうの!」
「お前なぁ・・・いくらなんでもツバ飛ばし過ぎだっつーに。見ろ!俺のぷりちーなお顔がデロデロじゃないか!」
「それくらいなんだっていうの!ウチのこと笑わせたのはそっちの方なの!」
ぷりちーなお顔発言はスルーされたご様子。中々のスルーぢからだ。
「まぁ、ツバとかヨダレ的な汁は拭けばいいからそんなに気にしないけどね。とりまそれだけ元気があれば平気そうかな。」
さっきまで弱ってたのも演技だったのか?だとすると結構技巧派っすね。完全騙されましたもの。
「さっき馬車でちょっと寝たから少しはマシなの。ウチは寝れば大体元気になるタイプなの。」
「それは便利だな。その機能俺も欲しかった・・・。」
そうすれば脚とかもう治ってたかもしれない可能性もあったりなかったり・・・。
「無いモノ嘆いても仕方ないってわかってるんだけどねー。じゃあ、元気な内に少し話しだけしておくか。
俺の名前はソウ。月城 想って名前だけど、面倒だからソウって呼んでくれ。歳は(精神年齢的に)19最。最近冒険者を始めた・・・くらいかな?」
「えっ?!19歳・・・なの?とてもそうには・・・。」
ジロジロと俺の顔と身体を見つめる黒耳ちゃん。そのくだりはもうやったからいいんですけど。ていうか、なんか顔より胸部に意識いってないか?俺男だからその辺膨らみませんけど?
「どんだけジロジロ見たって事実は変わらんから飲みこんでくれ。『宣言宣誓』でも証明されて、ギルドカードに記載もあるぞ?ほれ。」
首から下げっぱなしのギルドカードを見せる。記載内容は名前、年齢、冒険者階位が記載されているが、基本門兵さん達は内容は確認しないから年齢とかは未だに知られてないと思う。
「ほ、ほんとなの。さっきのポーションも驚いたけど、こっちの方が驚愕かもなの。」
「どんだけ年齢下に見られてるんだか・・・。で、お嬢さんの自己紹介はしてくれないのかな?」
「ウチ?ウチはテトラリアっていうの。まだ12歳になったばかりなの。職業は・・・ついさっき奴隷になったの。」
言いながら黒耳ちゃんは首輪を撫でる。さっきまでの笑顔が嘘のように暗い表情で。
「お、年齢予想ぴったりだな!うんうん、やっぱそれくらいに見えるもんね。テトラリアはなんで奴隷にって聞いても平気?答えたくなかったら答えなくていいけど。」
「・・・襲われたの。私のいた村ごと全部が。ウチの村は他と殆ど交流もない辺鄙な所にあったのに。」
「テトラリアもそうなのか。獣人男性のオルルって子も同じこと言ってた・・・よ・・・って!テトラリアってオルルと同い年?!嘘っ??ムリムリ!ムリがありすぎるって!2周りぐらい見た目年齢違うくない?!」
「ひにゃっ!な、なんなの急に?そのオルル?って誰かしらないけど、いきなり大きな声出さないで欲しいの!びっくりするの!」
「あ、あぁ。ごめんごめん。ちょっと衝撃的な事実に気付いちゃっただけだから。うん。」
まさかの超展開。見た目おっさん候補生と見た目女子中学生が同い年だとは夢にも思わなかったっていうか、オルルの年齢たまに忘れんねん。アレを12歳扱いムリやねん。
「実は、テトラリア達に会う前に獣人奴隷のオルルって子?子でいいのかわかんないけど、男の子に会ってね。その子も村が襲われたって言ってたからもしかしたら同じ集団に襲われたのかも?」
「獣人?どこの村か言ってたの?」
「んむ~。確か、『王者の生まれし郷』って言ってたかな?そこも敗けちゃったって言ってたよ。」
「『王者の生まれし郷』?!『王者の生まれし郷』って言えば、初代獣人国の王様が生まれ育った村なの!そこの村の人たちはとっても強いって聞いてたのに・・・。」
「あぁ、村人は皆戦士だったみたいなこと言ってたような気もするな?彼の仲間も散り散りに捉えられてたらしいから、かなり大規模な集団が犯人っぽいんだよね。」
「そうなの。ウチが見たのも一部だけだと思うけど、かなりの人数がいたの。それに、『王者の生まれし郷』はウチの村からそこまで遠く離れてないから、可能性は高いの。
ってあれ?『王者の生まれし郷』って純粋な獣人しか住んでないから、言葉も獣人語しか話せないハズなの。言葉、わかったの?」
『あぁ、多少なら話せるけど?』
『多少じゃないの。おかしなくらい流暢なの。』
「やっぱりテトラリアも両方いけるのな。」
「・・・半獣人だから、なの。お母さんから教わったの。」
どうやら人間種パパ、獣人ママという家族構成らしい。
「半獣人ってそんなに気になるものなのか?見た感じだとあんまり変わらないけどな?」
「獣人は、ただでさえ亜人と呼ばれて人間種より下に見られることが多いの。その上半獣人ともなれば普通は『人』扱いしてもらえないの。
ウチが住んでた村は元々、仲のよかった獣人と人間種が作った村だからそういった差別もなかったけど、やっぱり外は・・・違うの。」
「ふ~ん?俺はこの辺の生まれ育ちじゃないからそういう感覚って全然良くわかんないな。だって、テトラリアって可愛いし?」
「かわっ?!かかかかわいくなんてないの!忌み嫌われる半獣人の、しかも呪い持ちって言われる黒耳なの!可愛いなんて言われるのはおかしいの!!」
「いや、だからその宗教的感覚がそもそも俺にないんだって。無宗教だし。」
「えっ?」「はっ?」
何言ってんのコイツって目で見られたから、何言ってんのコイツって目で返しておいた。
「か、神様を敬ってない人なんて会ったことないの。あなた絶対おかしいの!」
「敬うも何も、恨みと憤りならたんまりあるけど、信仰とかはマジムリだよ。あの神(笑)以外の神様がいるなら多少は考えてみてもいいけど、それでもアレの同僚って時点であんまり気持ちが乗らないなー。」
「ア、アレ?いま神様のことをアレとかじじーとか言ったの?そんなこと言ったら天罰が、天罰が来るの!ダメなの!やめて?いますぐ取り消して!!」
急に取り乱しだしたテトラリアに胸ぐら掴まれてグワングワンされる俺氏。少女が涙目で喚きながらやめてやめてと繰り返す、というところだけ取り出すと確実に事案発生現場だが、私は何もやってませんと身の潔白を訴えたい。
ていうかあんまり激しくシェイクしないで!首とかガクガクで痛いんですけど!
「ちょ、ちょっと待って!やめてってこっちが言いたいたたたたたた痛たたたっ?!」
「痛い!んんぅっ、く、くるし、いの・・・。」
痛みに悶える俺と、【隷属の首輪】が閉まって苦しげなテトラリアの悶絶地獄がそこにはあったとかなかったとか。いや、普通にありましたけども。
暫くして落ち着きを取り戻したテトラリア嬢。彼女は意外にも敬虔な信徒なのだろう。正直怖い。
「あー痛苦しかった。神様に暴言吐いたのは謝るけどさ、あんまり激しくされると首輪も反応しちゃうみたいだから気をつけようね?」
「凄く苦しかったの。次からは気を付けるの。でも、神様をヒドく言うのは絶対にダメなの!わかったの?」
「うん、わかったわかった。次からは気を付けるから。マジで。てか、多分テトラリアの思ってる神様と俺の思ってる神様って違うと思うぞ?」
「えっ?そうなの?全知神様じゃないの?」
「いや、その全知神様がどんな人か知らないからなんとも言えないけど、俺の場合は真っ白でヒゲもじゃで怠惰でやる気なくて危ないこと平気でするちょっとアレな神様なんだけど、それって全知神様とやらじゃないよね?」
「悪いけど、そういう神様は聞いたことがないの。普通は教会が崇めてる全知神様のことを神様って言うの。ソウの故郷で祀られてた神様なの?」
「いや、アレがどこの何を担当してたのか詳しいことは知らないけど、俺の担当神らしいからな。俺に馴染みのある神っていったらアレだけだよ。」
「えっ?」「はっ?」
最早恒例になりつつある『はてな』のぶつけ合いも3度目である。回数を重ねるごとにタイミングもぴったり寄り添うように合ってくる。
同時にコテンッっと首を傾げるところまでが様式美だ。うん、完璧!
「担当神って、どういう意味なの?あなた神官様だったの?」
「いや?俺に祝福をくれてるだけだよ。」
「加護持ちなの?」
「あ、これ加護持ちっていうのか。ならそうだね、加護持ちだね。地味なヤツだけど、重宝してるよ。」
「しかも加護の内容まで把握してるの?それだと疑い辛くて困るの。」
一応は信じてくれるご様子だ。加護の内容は聞かないのが常識らしいが、それでいいのか?偽ると天罰くるとかなのかな?
「なんで疑う前提で考えるのかちょっと問いただしたくなるが、それをやっちゃうと今晩寝れなくなっちゃうからやめておこう自重しよう。
で、半獣人の話しだっけ?見た目で何か違うの?俺としては変わらなく見えるんだけど。」
「・・・これなの。」
テトラリアが躊躇いながら上唇を持ち上げ、口の中を見せてくる。
「うん、虫歯もなくて歯並びが良い。丈夫そうな歯だな?」
「ひはうほ!こえ、こえみへ!」
懸命にテトラリアが指差すのは、犬歯だな。若干普通の人より長いかなってくらいで別にどうってことはない。それよりも、ガンバってイーってしながら上唇を抑えてるテトラリアが可愛くて困る。
俺にもし妹がいたらこんな気持ちを味わえたのだろうか?両親にはもっと頑張っていただきたかったと言っておこう。
「犬歯が長めだけど、お口も可愛いよ?歯茎も健康的なピンク色だな!」
「違うの!ホントに何もわかってないの!八重歯なの!八重歯がないの!!」
「八重歯?うん、八重歯ないね?だから歯並びいいんじゃないの?」
「あ、あきれたの。ホントに知らないの。獣人は必ず八重歯が伸びるものなの。でも、半獣人は八重歯が生えたりしないの。」
「えっ、そうなの?違いってそれだけなの?」
「それだけって言うけど、すごく・・・重要なこと、なのに。」
「いや、だってさ、確かに他の人と違うって言うのは気になるかもしれないけど、それでなんで差別されるのか全然わかんないんだけど?なくても誰も困らないじゃん?」
「忌み嫌われる理由は別なの。それは人間種の方が上位種で、亜人の方が下位種だからって、そもそも交わることを禁忌と定めているの。だから半獣人は戒律を破ったっていって嫌われるの。」
「そういうことか。見分け方は八重歯の有無で、差別は宗教の話しってことね。クソだなその宗教。」
「・・・私もあんまり好きじゃないの。でも、戒律は教会が作ってるだけだから神様は関係ないの。」
思った以上に考え方が現実的だった。教会の作る戒律と神様を分けて考える宗教ってあんまり見かけないけど個人的には賛成だ。ていうか涙ぐまないで欲しい。俺がいじめてるみたいな絵面になると超困るから!
「うん、その考え方は良いな。どうせ教会の戒律やらなんやらは教会の連中に都合がいいようにできてるんだろ?じゃあ、神様は関係ないから気にすることないよ。無宗教な俺が言えたことかはよくわからんけど。」
「神様の加護を持ってて無宗教って言い張る人なんてみたことないの。やっぱりあなたは変な人なの。」
両目に涙を湛えながら微笑む彼女の表情は、今日見た笑顔の中で1番柔らかい表情だった。
お読みいただきありがとうございます。
ここまでのお話は殆どを1人称というか、想君の語りで進めてきましたがキャラが増えてきたので会話ベースで進めることが可能となりました!
表現の幅が広がるのが嬉しいです!カナデちゃんはあんまり向いてないですし、うん。
次回予告。
目覚める幼女 幼女に目覚めるのとは違う
身体が資本
名前は大事




