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モブサイドA レング、ソウグ、ホウグのお話し

閑話ではなくサイドストーリーです。

本編が半端な所で差し込むのが通例になりつつあるのが我ながら自分だなぁとか思っちゃいます。


本編にも絡んでいく予定ですので、お読みいただけると嬉しいです( ´ー`)

メタリカーナで冒険業を続けること10年。

一旗揚げてやろうと、同じ村から飛び出した馴染みのメンツで10年頑張った。

時にはゴブリンの群れに遭遇したり(もちろん逃げた)、ヤバいキノコを食って死にかけたり、貧乏で死にかけたこともあったりした。

そんな苦楽を共にしたホウグとソウグと3人連れ立って、いまや街有数の大商会のお抱え専属冒険者をやっている。


専属とフリー、その大きな違いは分かりやすい。

専属は雇い主の依頼を優先に受け、フリーは自由気ままにしたいことをするだけの差だ。

だが、そのたったそれだけの差がかなりデカい。

専属の依頼はギルドへ出されることがほぼなく、直接俺らに回ってくるから基本的にワリがいいし、他のやつらとの取り合いがそもそもねぇ。

それに、危険な討伐系の依頼もほとんどないから今までみたいな命懸けの生活ともおさらばだ。

その上、気前のいい雇い主に当たれば住む場所や飯を用意してもらえることもある。

俺らはまさにその、「いい雇い主」ってやつに当たることができた。フリーの時よりずっと気楽に日々を過ごすことができている。

一方でフリーのやつらはギルドで依頼を見つけるか、常時報酬がもらえる討伐系をやるしかない。

当たり前だが全て自己責任。

単純に出来るヤツは稼いで、出来ないヤツは辞めるか死んでいくかだ。

正直な話し、俺はもうフリーには戻りたくねぇ。俺らは3人が3人とも戦闘に秀でたもんがなかった。

代わりに斥候や探索に向いた才があったらしく、こと危険察知に関してはそこそこのもんだ。専属になれたのもそこら辺が大きいってのが共通認識だ。

だからか、俺らに回ってくるのは護衛や調査の依頼が多い。今回まわってきたのもそんな仕事だ。


「レング、お前たちに至急頼みたい仕事がある。準備が出来次第すぐに向かってくれ。」


言ってきたのは3人いる副会長のうち、1番太っていて、最も俺らを買ってくれてるトルネオさんだ。


「急ぎならすぐ準備します。でも旦那、依頼(ヤマ)の内容がはっきりしないってなるとその準備も中々できませんが?」


「あぁ、そうだったな。悪い。

実は先頃(せんごろ)外の方から帰ったやつらから情報が入ってな。なんでも、東の森の浅いところで<ピクシー・ゴブリン>の集団が出たらしい。」


トルネオの旦那が言うには、<ピクシー・ゴブリン>の集団はどうやら群れらしく、数も相当数いたとのこと。

また、その集団の中には<ウォー・ピクシー・ゴブリン>までいたとなると中々の大事だ。

本来、<ピクシー・ゴブリン>単体なら一般の男連中と大差ない実力と言われている。

ただし、武装して死ぬ気になって戦ってどっこいって程度だ。

力だけで言えば似たようなものか、普通の大人の男連中の方が強いだろう。だが、相手は魔物だ。人を殺すことしか考えてないアイツらと、訓練も受けていない一般人じゃ大きな違いがある。

流石に俺達みたいに、冒険者をやっていたり、訓練を受けた連中なら遅れを取ることはないが。

ただし、それも対集団だとガラッと話が変わる。

人は1度に多くのことは出来ない。集団に飲まれれば、初めの何匹かを殺れればいい方だ。大抵はすぐに喰われることになる。

俺達3人の連携を駆使しても、1度に相手取れるのは倍程度の数が限度だろう。

3倍ともなると相当な被害を覚悟することになり、4倍ともなれば全滅も頭をよぎる。

少なくとも仲間内の誰かは殺られるだろう。

集団戦はそれほどまでに恐ろしい。


「てことは、俺らの役目はその群れの規模と、行き先の調査でよかったですか?」


「あぁ、話が早くて助かる。東の先の砦には、うちからも色々輸送してるし巻き込まれでもしたら堪らんからな。

報酬はいつものに加えて、ギルドへの連絡分とこいつを特急分で取っておいてくれ。」


渡されたのは銀貨が1枚。3人で一晩飲むには十分すぎる金額だ。さらにはギルドへの異常報告報酬も受け取っちまっていいらしい。

相変わらずの太っ腹だ。

ちなみにいつもの報酬ってのは出来高によって払われる月払いのもんだ。

今回の銀貨(コイツ)は含まれない。


「いつも良くしてもらってすいやせんね。

超特急で行ってきます!」


「あぁ、頼んだぞ。わかってると思うが、戦闘は極力避けろよ。討伐(そういうの)は他所に任せるのが1番だ。」


「危ないのは勘弁ですからね、見るモノだけ見たらすぐに離脱します。命あっての、ですからね。」


必要な会話を終え、俺はホウグとソウグの待機してる部屋へ急ぐ。


「おい、急ぎの用だ。すぐに準備をしてくれ。

装備は3日分でいい。基本は日帰りだ。」


「おぉ?今回は近場の調査か?それにしても日帰りは珍しい。」


「すぐか?(コレ)食うのダメか?」


見るとソウグは武器の手入れを、ホウグは飯を食べていた。さっき飯は食べ終わったハズなのに、まだ食ってたのか。


「ホウグ、飯はさっさと済ませろ。ソウグ、近いも近い、東の森だ。<ピクシー・ゴブリン>の群れの調査だ。装備はいつものでいい。」


調査といっても外には危険が溢れている。だから最低でもプラス3日分の用意はとうぜんの保険だ。

俺達は手早く準備を済ませ、森へと向かった。

街道の目印である、1番岩を過ぎ街道沿いを進んでいるが、この辺りから見える範囲では特に異常はない。

警戒体制のまま森へ入る。相変わらず薄暗く見通しが悪い。


「毎度のことだが警戒と注意だけは怠るなよ。」


「「あぁ。」」


最低限必要なやり取りをし、ゆっくりと探索を続けることしばし。


「この足跡、<ピクシー・ゴブリン>と見て間違いないな。」


「見たとこ4、5匹か。先見か食糧調達ってとこか。」


「この跡ならそんなとこだな。ホウグ、臭いは?」


「あっちから血の臭いがする。多分ちょっと遠いよ。」


「・・・南から上がってきてるな。ここからどっちに向かうかが問題だが、北に抜けてくれると何よりだ。」


その後、探索を続けすぐに本隊を視界に捉える。


「確定だな。これは群れの、巣の移動だ。」


遠目に見える<ピクシー・ゴブリン>の数はざっと30ほど。先見や食糧調達に出てるやつらを入れれば50。いや、下手したらもっといるかもしれない。こんな数に集られたら俺達クラスの冒険者なんかじゃ束になっても敵いやしない。


「迂回して、ヤツらが通ってきた道を確かめよう。それだけ見たらすぐにこんなとこからはおさらばだ、

命が幾らあっても足りやしねぇ。」


「同感。さっきから居心地が悪くて仕方ない。」


ソウグの返答とホウグの頷きが返ってきたのを確認し、予定通りに大回りをして事に当たった。

足跡や動物の骨なんかを確認する限り、やはり南から一直線に上がってきていることがわかる。

十分な調査が済み、全力で街に引き返す。

日が暮れ始めるまでに商館まで引き返せたのはよかったが、それだけ<ピクシー・ゴブリン>の群れが街の近くに迫っていることを示していた。


「・・・以上が今回の偵察結果です。」


「ご苦労。思った以上に規模の大きな群れ、ということが。しかし幸いと移動速度は早そうだな。このまま北へ抜けてくれるのが最良だが、もしかするとギルドから討伐隊が組まれることになるやもしれんな。」


「はい。ですが、<ウォー・ピクシー・ゴブリン>までいましたから、人数を集めるか、高ランクの冒険者を入れるかしなきゃなりませんから準備に時間がかかるでしょう。」


「いま、街の高ランク冒険者の多くは砦の先に常駐しているとの情報もある。そうなると数頼りの討伐となりそうだな。

数日の間は様子を見ておいた方が良さそうだ。」


「はい。それでは引き続き、ギルドの方へ報告も済ませてきやす。動き出しは早い方がいいでしょう。」


「あぁ、そっちは頼む。私は領兵団の方へ出向こう。あちらはあちらで立て混んでいるようだが、少し位は人数を割いてくれるやもしれんしな。」


トルネオさんへの報告も終わり、ギルドへと向かう。

ソウグには馴染みの冒険者連中への聞き込みを頼み、ホウグへは飯屋の席を確保しておくように頼んだ。

報告(コレ)が済んだら今日は一杯やりたい気分だしな。さっきまで張り詰めていたせいでどうにも落ち着かない。

ギルドへやってくると、流石にこの時間は閑散とし始めていて受付も空いている。

俺は紫色の長い髪を暇そうに弄っている、顔見知りの元へと進む。


「よぉ、サータナ。今日も夜番か?報告を1つ頼みたい。」


「えぇ、朝は苦手だもの。それでレング、報告って?久し振りに来たと思ったらあまり穏やかじゃない話題ねぇ?」


「大したことじゃねぇよ。ちょっと所用で東の森へ行ったら<ピクシー・ゴブリン>の群れの移動に当たっただけだ。

規模的には中~上ってとこだ。数は50以上、<ウォー・ピクシー・ゴブリン>までは確認してる。」


「あらあらあら、結構な規模じゃないの。すぐにギルマスかサブマスに報告しなきゃいけなさそうね。」


そう言いながらもサータナの目は眠たそうにしたままだ。まぁ、コイツはいつもこうだから仕方がない。

年中眠そうにしながらのんびり夜番をやってる様な変わりもんだからな。


「そこら辺の判断はギルド(そっち)が勝手にやってくれ。」


それからサータナに詳しい内容を伝え、幾ばくかの報酬を受け取り、酒場への道のりを急いだ。

レング、ソウグ、ホウグのお話し、第1回目でした。

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