静かに離れ、荒々しく扱われる 鑑賞する趣味はないんだけど
更新が遅くなってしまいまして申し訳ございません!
連続投稿したって間隔が空いたら無意味ですねすみません・・・。
前回の更新が11日でしたので、4日ぶりの更新です。猛省して更新速度を上げていきたいと思います。
また、私が更新できていなかった間に、なんと新規ブクマ登録者様が3名も追加&新たに評価をいただくという嬉しいニュースが!!
ニマニマしてしまうのをどうかお許しください。
ブクマ登録していただくと嬉しいし、評価をいただくのも嬉しいのです!
反省中なのににやけてしまいますごめんなさい!
ちなみに、今回加点いただいた分で総合評価が100otを超えました!
これもひとえに支えて下さる皆々様のお蔭です!
本当に、あろうがとうございますm(_ _)m
前回のあらすじ。
初めての共同作業(婆さんと)
密室で下を脱ぐ(婆さんの前で)
熟女の秘密
「言われてみればそうさね。こんな簡単なミスをするとは本当に耄碌しちまったのかねぇ。歳は取りたくないもんだよ、まったく。」
「取ってしまったものは仕方ないって。うん。俺もこの怪我とか自業自得だけどもう諦めて開き直ってるし、婆さんも諦めが肝心だよ?
ていうか、そこまで隠す気なかったでしょ?どうせ俺のことが信用できなかったからなるべく自分の事情を話したくなかったとか、そんなありきたりな理由だろうし。
どうみても俺が貴族の密偵とかな訳ないじゃん?走って逃げれもしないのに不適格この上ないよ。」
「はぁ、まぁそうさね。こうやって落ち着いて考えてみるとムダな行為だったと思うよ。あんたを見てると特にね。」
吐き捨てるようなぞんざいさ。老婆は随分と衰弱したらしい。さきほどから元気がないようだ。
「そうだな。俺も最近その境地に至ったばかりだが、敢えて言わせてもらおう。
下手な考え休むよりヒドい!だ!ムダに思い悩んだって、無意味なだけじゃなくてムダに時間も浪費するしムダに疲れるというありがたい格言だ。覚えておくといいよ?」
「・・・どこまでも腹が立つ格言だけど、言い得て妙だね。覚えておくよ。」
「うん、そうするといい。」
「えーっと、それで、急ぎで欲しいのが幾つかって話だったね。正直いくらでもあればほしいけどね、特に急いでるのは3本だね。」
「それだけでいいの?」
「それだけって・・・この街でポーションが貴重なのは知ってるだろ?だから、皆気を付けて生きてるのさ。
特に冒険者連中なんかはね、ムチャなことは極力避けているんだよ。それでも不慮の事態は起こるものでね。
ついさっき連絡が来たんだけど、中堅になりたての若いのがやられてね。できればソイツに1つ使ってやりたい。」
「ふむふむ?ついさっきとな?」
「あぁそうらしいね。なんでも南街道の近くで狩りをしてたらしいんだけどね、不意打ちを喰らったとかでかなりの怪我だったみたいだよ。
下級とはいえポーションがあれば、失われた血も、体力も多少は取り戻せるし、何より血止めとしての効果は抜群だ。
怪我自体完治できなくとも、その恩恵は計り知れないんだよ。」
「わかった。てかそんなに細かい事情とか別にいいんだけど・・・怪我が1人ってことはあとは病気とかでしょ?弱ってるなら使ってあげてよ。」
「話しが早くて助かるけど、いくらなんでも物分りが良すぎじゃないかい?これじゃまた要らない余計なことまで勘繰っちまうよ。」
「いや、だって薬草はまた取ってくればいいし、お金も貰うから全然問題ないんだもん。
俺の火傷や腕には効果ないだろうから、脚さえ治せれば取り敢えずはいいかなって?」
「欲のない小娘だね。言ってることが真っ当過ぎてやりにくいったらないよ、まったく。」
「あと、価格は高騰する前の値段でいいからね。清水とポーション瓶の値段はそこから抜いといてよ。もちろん後払いでいいから、細かいことは婆さんに任せるし!」
高騰前の価格なんて知らないが、元手はタダなんだし多少の収益になればいいやと老婆との交渉を適当に切り上げる。
ついでにちょっとだけ恩を着せておいて、代わりにポーション作成の作業をやってもらう魂胆である。
我ながら完璧な理論武装に惚れ惚れする。
「あ、あと俺の脚が治るまでは優先的に2本くらい貰ってくけどいいよね?今日も最後の1本貰ってくよ?」
「あぁ、そんな条件でいいなら十分さね。支払いの方は、お言葉に甘えさせてもらって幾らかごとにまとめさせてもらおうかね。」
並べられている下級ポーションから1つ婆さんから受け取り、帰り支度を進める。
身なりを整え、麻袋も、その他諸々も全部背嚢型ダンジョンへ詰める。ミトミの樹液は中身を保存容器に移し替えさせてもらったから、いま水筒は空だ。
「じゃ、時間があれば明日も色々と採ってくるよ。まぁ、この身体じゃ運搬に限度があるんだけども。」
「あんた、ずっと気になってたんだけどどうして1人で行くんだい?護衛を雇うなりなんなりやりようはあるだろうに?」
「いや、だって婆さんだって俺のこと訝しんでたじゃん?それなのに信用できる人を探せって言う方がムリある・・・って、雇うなり?なんなり?」
いま、急激に頭のどこかに引っかかりを覚えた。
俺は最初なんて考えてた?カナデさんと2人でやろうと考えてて、次にリーフさんとミレーさんに言われて仲間の存在に辿り着いた。
うん。その時はムリだって思った。けど今度は雇うときた。つまり、仲間じゃなくても一緒にいられるPTメンバーって選択肢ってことで・・・。
「あっ!」
そういえば、異世界物語定番の素敵労働力がいたことを思い出した。
俺はいつも忘れてばかりで遅すぎる。
信用ができる人、信頼のおけるPTメンバーなんてそう簡単に手に入れられるわけがないんだ。
何故なら俺は異世界人。秘密がいっぱい常識もない。
怪我だらけだし身元も不確かだ。
こんなヤツを無条件に受けれる人なんてそうそういないし、いたとしてもこっちがドン引きだ。話しなんて合うわけないし、価値観だって違い過ぎる。
だからこそ求められる存在。
昨今のweb小説では既に当たり前で絶対的な存在。
ていうか、いないとか考えられないしむしろ積極的にヒロイン枠に組み込んで場合によっては主人公を様々な意味合いでくっちゃう存在。
俺のこの現状を打破するのに、何よりもピッタンコでカンカンって感じのバッチグーなジャストミートでセンセーショナルな存在。
「そうだ、奴隷を買いに行こう!」
思考回路がゲスった瞬間だった。
にこやかな笑顔が自身から零れ落ちるのを感じる。気持ちはそこはかとなく澄みきっている感触がある。
このままトレインに乗って京都にまでいけそうな心持ちだ。
「あんたの方こそボケてるんじゃないのかい?いきなりヒドい顔して笑いだすんじゃないよ、気持ち悪いねぇまったく。」
「ヒドい顔とは心外な!俺の爽やか笑顔が分からないとは、老いとは怖いもんだなぁ?
それよりさ、婆さんの危な気な記憶力をどうにかこうにか手繰り寄せて、真っ当な奴隷商の居場所とか伝手とかって思いついたりしない?
俺の肉壁・・・もとい仲間になってほしいな!って、思うんだよね!」
「せめて言い直すくらいならもう少しマシにおやりよ、まったく。最近の若いモンはホントにもうまったくこれだからいい加減に・・・・(ブツクサ)」
あ~?よく分からないけど婆さんが夢の世界へ逝っちゃったよ・・・。
これじゃロクに情報得られそうにないや。
んむ~、でももう今日はいっかな?日も暮れてきたし、一旦宿に帰って仕切り直そう。戦利品の換金とかは明日でいいや。
魔石も微妙に重いし、皮の近くに転がしておこう。なんかギルドに持って行き辛いしお金足りそうにない時に改めて持って行こう。そうしよう。
勝手に決めて自分で納得したので婆を放置してレッツ逃亡。
荷車はこのまま婆さん家に横づけ放置の違法駐車スタイルでいっかな?宿に持ってっても置くとこあるかわかんないし、何も積んでないのに押すとかめんどーだもの。
道中いくらかマシになった足で、ルンルンと弾まない足取りでいそいそと進む。
もっと足の状態が良ければ出店回ったりとか色々したいけど、治りかけのいまこそ大事にしないといけないような気もする。
「カナデさん、俺の脚っていまどんな状態?多少はブラついても平気なくらいかなぁ?」
《いいえ、マスター。現在マスターの骨の状態はあまり芳しくありません。程度で言えば粉砕骨折状態から、複雑にヒビが入った状態に回復した程度のモノです。
いま無理をすれば、マスターの骨は再び簡単に砕け散るでしょう。ガラスのように脆く、惰弱で貧弱な骨だと想像してください。1歩踏みしめること、ただそれだけが綱渡り状態であると認識してください。》
「すぐ帰りたい!いや!ゆっくり真っ直ぐ慎重に、可及的速やかなれど、何よりも自身を慈しみながら自愛を持って帰りたいと思っている自分がいます!!」
《はい、マスター。間もなく夕飯の時間ですので買い食いは控えて帰りましょう。ゆっくり噛んでしっかり食べることも療養です。》
「はい!宿に帰ったら速攻ご飯食べて、ポーション使って寝るんだ!もうムリなんてしないし!」
カナデさんにメチャクチャ怖いことを言われたので、物凄く焦るモノの急いだらそれはそれで危ないのでテンパりながらも注意深く歩を進めた。
握りしめる杖に己が体重を肩代わりさせるべく、強く気持ちを込めながらバランスを取る!
鈍牛のように重い足取りで、亀のように遅く歩いているに疲労感がパない。
あぁ、痛覚が大事だって改めて思うの。
怪我は、痛いからこそ危ないってことがわかるんだね。痛みは俺の身体を守ってくれていたんだ・・・。
何故か痛覚が非常に鈍くなってるせいで、自覚がないままのガラスの左脚を抱えるようにして街を歩く。
小指を角にぶつけた時にはあれほど痛覚さんにいなくなってほしいと願ったのに、いまは痛覚が仕事しないことに憤るとはこれ如何に。
人間なんて常に自分勝手に振る舞うものだ。もう人間じゃないけどその辺り何も変わっていないらしい。
少々ムダとも思えるほどに時間をかけつつ、そんなポエムと自問と諦めで思考が埋まっていた時、急に声をかけられた。
「おっとお嬢ちゃん、黒髪で黒目・・・でいいんだよな?陽が落ちてきて色がわからなくなる前に見つけられて幸運だぜ。
悪いがちょっとついてきてもらおうか。なぁに、すぐに済む用事さ。こっちにきてくr」
「イヤです。お断りします。急いでるからかまわないでくんない?」
なんだよナンパか?でも身体的特徴言ってるし、なんかめんどくさい空気がするし、スルー即断一択オンリーだな。
絡んできた3人組を一瞥する。
真ん中が赤茶っぽいあんちゃん。左が茶色い太っちょのあんちゃん?で、右が灰色っぽいひょろっとしたあんちゃん。
色は勝手なイメージだ。暗くなってきたからはっきりしないが、多分髪の色や服の感じがそんな雰囲気くさい。
こういうのにはついていっちゃいけませんってよく日本では言われていたし、要らないフラグはへし折るに限るからさっさといこう。
俺は瞬時にそう判断し、3人組の左を通り抜けるべく歩を進める・・・ものの速度規制がかかってる我が身ではすぐに捕まった。
「ちょ、ちょちょちょーっと待ちなって!アンタを連れてきてほしいって頼まれてるんだ。悪いが簡単には帰らせられねぇよ?」
「こっちは要とかないし、そもそも誰の呼び出しかも知らないし!用事があるなら自分で来いって言っといてよ。
もう今日はそれで終わりでよくない?俺もう宿に帰りたいんだけど!それに肩触るなよ変態!ばっちい汚い気分が悪い!」
「なっ?!なんだとこのガキ!こっちが下手に出てればいい気になりやがって!とにかく来い!着いてくればいいんだよ!」
お決まりの三下台詞がお似合いのモブの癖に案外力が強い!
「ちょっと!やめろって!そんな強くしたら痛いんだよ!それに俺の脚が悪いのわかんないの?痛いから止めろって!!」
「うるさい!黙れよ!おい、ソウグ!こいつの口抑えてくれ!ホウグ、足持て足!さっさと馬車に積み込むぞ!」
赤茶ヒゲ男が喚くと渋々といった体で灰色ひょろ男が後ろに回ろうとしてくる。
次いで、茶色太しも近づいてくる。なんぞコレ?誘拐か?!それはマズい!
ひ弱な俺の身体で大の男3人とか相手にするのムリだし!ていうかなんで男に襲われなアカンのだ!断固拒否する!断固だ!
「いい加減にしろっ!!これ以上はマジで怒るぞ!いま止めれば話しくらい聞いてやるから一旦やめろって!」
「おいソウグ!早くしろ!これ以上騒がれでもしたら面倒だ!ホウグも早く持ちやがれ!」
こっちの話しを一切聞く気のない3人。それもそうだ、こいつらみたいな犯罪者がこっちの事情なんて聴いてくれるハズもなし。
ミシッ
「んぐっ!」
強引に扱われてつい左脚に力が入ってしまった!すっげぇ痛い!もうダメだ!
「・・・おい。いい加減にしろよ。」
こっちの治安は悪いと思っていたが、街の往来で誘拐されかけるとは思わなかった。
でも、それだけならまだ穏便に済まそうとも思えたが、いまのはダメだ。折角治りかけてる俺の脚を痛める行為だけは許容できない。
どうせこいつらは犯罪者だ。焼却しても大丈夫だろ。
「術式 冒険級火魔法 展開・保留」
本気半分、脅し半分だがこれ以上続けるようならマジで燃やそう。
こいつら刃物も持ってるし、躊躇ったら殺されるかもしれんし?
出来る限り出力を抑えて魔法円を目の前の空間に展開、保留状態にする。
これであとは魔力を流し込めばすぐに炎くらいは出せる。
「これ以上自分勝手に振る舞うなら、焼くぞ?」
「ひぃっ!」
声を上げて飛びのいたのは赤茶ヒゲ男。飛びのいたついでとばかりに尻餅をつくという鉄板芸を披露してくる。
灰色ひょろ男は詠唱開始時に悠然とダッシュで逃げた。こちらを一切振り向かない所なんかは潔くて悪くない。
茶色太しに至っては、懸命に壁との同化を図ろうとしてる。いや、ムリでしょ?自分の体型考えなよ?壁はフラット、あなたはファットだよ?
「おい赤茶ヒゲ男。お前の目的を言え。言わなかったらあの壁と同化しようとしてる茶色太しを焼く。」
「ちゃ、茶色太し?あ、あぁ、ホウグのことか?いや、ダメだ!やめてくれ!要件なら話す!話すからこの物騒なモンを仕舞ってくれないか?!」
赤茶ひげ男は俺の魔法円を指差しながら必死に懇願してくる。なんだこいつ?
「お前はバカか?いまさっき俺を誘拐しようとした癖にアホなこと言ってんなよ。話さないならもう燃やすけど?」
左手をホウグとか言われた太しに向ける。
「あ、いや、ちょ、ちょっと待ってくれ!要件ならすぐに言う!実は俺たちはオオテさんとこの商会の雇われなんだ!
今回は副会長のゼダールさんにアンタを連れてくるよう頼まれただけなんだ!」
「オオテさん?誰だよそれ?知らないな?ゼダールも思い出せそうにない今日この頃。遠い記憶の彼方には、そこはかとなく薄ぼんやりとイメージは残っているかもしれない程度だ。」
《マスター。ゼダールは昼ごろに助けた荷馬車の御者です。》
「んん?あ、ゼダール?ゼダールね!はいはい、思い出したよ!アハ体験できた!脳内神経細胞が強化されるのを感じるんだけど、INT上がってない?」
《いいえ、マスター。微動だにしていません。》
「ですよねぇ~。でもまぁ、そんなこと知ってたし?知ってましたし?特に期待もしてませんでしたし!」
《それとマスター。この状態ですとマスターが独り言を、あたかも会話しているかのようにしながら話す奇人扱いを受けるかと思うのですが、よろしいのですか?》
「んむ~。まぁ、特に俺の人生に関わり合いがなさそうだし、いいんじゃない?」
「ひ、独りで何勝手に話し進めてんだ?!とにかく俺らに着いてこ・・・いや、ついてきてもらってもいいか?」
「うん、そういう殊勝な態度って大事だよねー。少なくとも、急に誘拐しようとするよりは好感が持てるかなぁー?」
「じゃ、じゃぁ」
「だが断る!」
「なっ!なんでだ?オオテさんといえば、このメタリカーナの街の中でも上位3つに数えられる大店の会長様だぞ?
下手な貧乏貴族よりも力もあるし顔も利く。そのオオテさんとこのゼダールさんの呼び出しだぞ?断るとか普通ねぇぞ?!」
「いや、そんなヤツ知らないし、アンタ達みたいなゴロツキをお迎えに使うようなヤツだろ?はっきり言って無能もいいとこだな?」
「ゴロツキって、俺達はこれでもD級冒険者の!」
「ご立派なD級冒険者さんは、街中でか弱い一般市民を誘拐するのがお仕事なのか?ちょっとどころかかなり引くわぁ・・・。」
「ぐっ!」
なんか非常に納得のいかないって顔してるけど、なんなんこいつ?頭湧いてるの?
ホウグとか言うのは既に空気とも一体化を進めているらしく、先程から動く気配もない。
「それで、そのD級犯罪者さん達は悪い商人さんの依頼で来たってことはわかったけど、その商人さんの用事はなぁに?
これもいちいちこっちが聞かなきゃいけないとか、超めんどーなんですけど?」
「ぐぐっ!ゼ、ゼダール様からの要件は詳しく聞いていない。急いで連れてくるようにと言われただけだ。
だから、できることなら俺達と同行してほしい。この通りだ・・・orz」
赤茶ヒゲ男が、苦渋に満ちた顔をしながら額を地面に押し付け始めた。所謂土下座ってやつだ。先程から急激に顔色も悪くなり、汗ダラダラで汚らしい。
しかし、こんな野郎に頭を下げられても何も心に響かないな。俺は心を失くしてしまったのだろうか?
いや、多分この連中になんの同情も共感もできないのが原因に違いない。俺は感受性豊かなハズだし。
「はぁ、すこぶるどうでもいいな。暑苦しいし見苦しいだけで何もいいことがない。美少女との遭遇率が低すぎないかな、これ。」
《マスター。この男が所属しているオオテ商会ですが、奴隷を扱っていると思われますので出向いてみてはいかがでしょうか?》
(あ、そうなの?それなら今日はもうめんどいから明日にしようと思ってたけど、馬車で連れてってくれるなら楽だし行こうかな?
それになんか副会長とかってのが呼んできてるのなら多少はサービスしてくれるかもしれないしなー。行ってみるのもありかもなー。
一心不乱に地面を汚すヒゲ男も見飽きたし、問答してても仕方ないから行くとするか。)
「ん~、わかった。そこまで言うなら行ってやろう。」
「ほ、ホントか?!た、助かる!」
「ただし、道中も、着いてからも変な真似はするなよ?あんま変なことするようなら次は容赦なく撃つからね。」
「わ、わかってる!アンタに危害を加えるような真似は絶対にしないと誓う!さっきは変な真似をして済まなかった!」
ゴッ
再び勢いよくおデコと地面をゴッツンコし始めるヒゲ。もう飽きたからいいよと言いたい。
「もう飽きたからいいよ。って言っちゃった。まぁどうでもいっか。」
少し集中して魔法円を操る。
「保留解除 術式解除」
詠唱が終わると魔法円が青い光の粒になって消えていく。
初めて消したけど、案外格好いいな!やっぱ魔法関連のことしてると異世界観が補充できてテンションも容易に上がる。
魔法取得してよかったと思える瞬間ベスト3くらいに入るかもしれない。
「さ、時間は有限で、俺のやる気は風次第だ。案内してくれるんなら手早く頼むよ?」
ボヤボヤしているヒゲ男に目配せし、早くと急かす。
ささっと馬車へ乗り込みビシッと体制を整える。だって揺れるし。
これで馬車体験も3回目だけど、期待に漏れずひっどい乗り心地だったのは言うまでもない。
ほどなくでっかい屋敷に着き、降ろされるかと思ったらこのまま入れるから乗ってていいと言われた。
歩かなくていい嬉しさと、ガタガタに攻め立てられる不快感とがせめぎ会う。いったいどっちがマシなのか、答えは出ないままに奥まで通される。
「こちらで降りていただきます。少し暗くなってますのでお気をつけください。」
外から話しかけてきたのは40とかそれくらいのおっさんだった。
丁寧な態度だったけどおっさんなのには変わりない。俺の記憶に残るかは怪しい。
「もう夜の帳も降りる時分呼び出されたから余計に、かなー?って、ここ半地下か。どっちにしても暗そうだな。」
丁寧な態度の執事型おっさんに声を返す。服装もそこそこ上等なモノに見えるが、俺的異世界人ファーストコンタクトが領主家だからか、そんなに良質な物に見えないというまさかの弊害が発生。
更に、案の定もっそい胡乱気な目で返されたがそれも一瞬。気を取り直して接客モードを続けるようだ。中々どうして悪くない。
「それではお客人、こちらへ。」
言葉少なに誘導され、さらに奥へと進む。このお屋敷って思った以上に広いな。残念なことにまだ歩くらしい。
もう馬車で乗り付けた場所でいいじゃん?とか思うが、流石にそんな所に普段から副会長とかがウロウロしてるのもなんか違うか。
執事型のおっさんの後をついて回ること数分、やっと目的の場所に着いたらしい。
「こちらで暫くお待ちいただけますか?いま、ゼダールをお連れいたしますので。」
「んー、できれば早めに椅子を勧めてくれると嬉しいな。ちょっと個人的な事情で今日疲れちゃっててさー。」
「では、すぐに椅子を用意させますのでお待ちください。」
待たされている空間は、4面をぐるっと頑丈そうな石造りで仕上げられていた。出口はいま来た廊下以外は奥の左右にそれぞれ。
んむ~、男女別って感じかな?この待合室はそこそこの広さだけど、学校の教室くらいしかないスペースだ。
さっきの赤茶ヒゲ男が椅子を持ってきてくれたから早速座る。
ここはなんにもないな。周りを見ると灯り用の松明っぽいのとちっさな窓くらいで他には何もない。
赤茶ヒゲ男は部屋の隅っこへ移動し、二酸化炭素製造機としてムダ稼働を始めたご様子。要らないから帰れよ。
そして、執事型おっさんが戻ってきた。独りで。なんで?
執事型おっさんはシレッとした表情のまま、パンパンと手を叩く。すると左の奥から美人さんが飲み物を、右の奥からマッチョメンが5人程・・・ってマッチョメン率高すぎない?
急に引き上げられたマッチョメン率もなんのその、いかにも私は美人ですーって感じの姉ちゃんがコップをくれた。
「果実水でございます。ゼダールは間もなく来ますので、お飲みになってお待ちください。」
さっきより断然丁寧に接してくるが、こんなんで簡単に誤魔化されると思われているんだろうか?
何より無意味に呼んだマッチョメンはなんなんだ?代わる代わる目の前でポージングしていくんだが、嫌がらせか?
かなり高度で変わった嫌がらせだが、その効果は抜群だ。
俺はマッチョメンのポージング鑑賞の趣味がないからただただ不快だ。
内心ため息バズーカを絶賛発動中である。一応いまは客人扱いを受けてるから大人しくしているが、我慢は長く続かないだろう。
早く来てくれ!ゼダール!さっさと要件を済ませてこのマッチョメンを片付けてくれと切に願う。
やがて、マッチョメンビルダー達の体も暖まり始め、しっとりと汗を書き出した頃になってゼダールが来た。やっと来た。
おっそ。興のノッたマッチョメンビルダー達が危うく組体操始めるとこだったよ。呼びつけといて何してくれてんだか、マジで。
ゼダールがマッチョメン達に目配せ手配せをすると、三々五々ビルダー展覧会が終了して散っていく。
ようやく心の平穏が訪れたが、擦り減った精神までは戻ってきてくれはしない。
それもこれも、呼びつけておいて遅かったゼダールと、マッチョメンを呼びつけた執事型の紳士が悪い。
既にこの商会への評価は、大暴落間違いなしとなった瞬間だった。
お読みいただきありがとうございます。
なんだか段々と1話が長くなっていっているような気がする今日この頃です。
もう少し調整していこうと思っています。
ちなみに、今回半分くらいスマホで描いたのですが、多分誤字とかヤバいと思うのです。
あとで手直しすると思いますが、お気付きの際はご連絡いただけると幸いですm(_ _)m
本文中の表現が誤っていたのを一部訂正いたしました。
複雑骨折→粉砕骨折
間違った表現を使用してしまい、ごめんなさいでした!
今後ともガンバりますので、よろしくです( ´ー`)
次回予告。
テンプレのテンプレは微妙にテンプレじゃないお話しまで辿り着けなかったので、次回に回します
ここが使いどころだと思うけど
語尾とか色々気になる件




