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転移?転生?

頭のおかしなじーさんはものぐさだった

「ん・・・ん、うん?」


少しずつ覚醒する意識の中、自分が地面に横たわっていることに気付く。


「なんでこんなとこで寝てんだ?俺は。」


ただっぴろい草原の中で俯せで寝ていたらしい俺は、おもむろに起き上がりつつ胡坐をかきながら1人孤独に呟く。

返答なんか返ってくるはずもないが取り合えず言わずにはいられない程に混乱している自覚はある。

だって、急に覚えのない場所で地面とキッス。

それはないだろういくらなんでもと自分自身に問いただした《おはようございます、マスター》いとこ・・・ろ?


「はっ?いまなんか急に女の娘の声がした気がするが・・・?」


《はい。それは私の声です。マスター。》


耳、というよりは頭の中に直接響いてくるような声が聞こえる。

どことなく某音声合成ソフト製の歌うこと大好きなボーカルのロイドさんが頭をよぎる。

すると途端にさっきまで頭のおかしなじーさんと色々とやり取りをしていたことを思い出してきた。

思い出すだけでも非常にムカツクが思い返せばなんか言ってたな、あのじーさん。


「もしかしてあの頭がおかしいイカれマジキチじーさんが言ってた管理者ってヤツなのか?」


《はい。管理者・・・と表現するよりも、情報の整理や案内役、といった方が適切かもしれません。

私はマスターのサポートしかできず、その他の権限は持ち合わせていませんので。》


あのじーさんは確かに管理者って言っていた気もするが、まぁいいだろう。

俺は細かい所には拘らない心の広い男だからな。一旦わかんないことは棚上げにしておくか。

あのじーさんは今度あったら百叩きの後でスクリューなパイル系ドライバーしてからの 瞬!間的に地 獄!を味わえる 殺!法を叩き込んでおこう。

俺の背中が天を語る日も近いかもしれない。それよりも気になるのはやっぱ知識とかだよな。

案内役っていうんだから、多分聞いたら教えてくれるんだろうと思い実行してみる。


「なぁ、俺はなんでここにいるんだ?」


《はい、マスター。それは、マスターが転生したからです。》


「転生すると草原で倒れてるもんなのな。意外と知らない事実にびっくりだわ。」


《いいえ、マスター。マスターの場合は少々特異です。

通常は特定の母体から通常の出産と変わらない方法でこの世界に産み落とされる形になります。》


「は?なんだそれ?赤ん坊から始めるルート的なのが他にあるってこと?俺、違うってこと?」


《はい、マスター。マスターは通常とは違うルートでの転生です。

また、この場合の転生はマスターの認識されている転生とは若干異なる部分があります。

差異に関して説明をさせていただいてもよろしいでしょうか?》


「ん?違いなんてあるのか?そもそも転生について考えたこともないから基本がわからんけど、折角だから教えてくれ。」


《はい、マスター。一般に、転生とは生まれ変わる。

つまりは、1度亡くなった方が、新たな命として再び生まれること。

所謂生まれ変わりが一般的な転生の意味かと思われますが、マスターの場合は生まれ変わりをしていません。》


確かに。俺いま普通に座れてるし、体も問題なく動く。つまり赤ん坊じゃないってことだ。

厳密に言えばこれは転生じゃなくて転移とかそっち系なんじゃないか?

やっぱテキトーだなーあのじーさん。

俺は内心でじーさんをこき落としながら続きを促す。


「ふーん?確かにそうだな。俺は生まれ変わりをしていない。

やっぱあのじーさんはダメだな。頭が残念なんじゃないのか?」


《はい、マスター。確かにあの方は説明不十分な所がありますが、マスターは広義の意味でやはり転生をされています。》


「え?」


《それは、転生という言葉には、生まれ変わる以外にも、生まれ直すといった意味合いも含まれるからです。マスター。》


「生まれ・・・直す?」


どういうことだ?変わると直す。確かに言葉は違うかもしれないが、そんなの同じ意味じゃないのか?

どっちがどうだの意識して使ったことはないが、どこか違うのだろうか?

前世の記憶があるのとないのの差とか?いや、そもそも俺赤ん坊じゃないし?どゆこと??

あ~もしかして俺ってば実は知らない間に赤ん坊やってて、超速成長していまの姿とかそういうこと?


「いやいや、俺アレよ?確かにまだまだ若輩者だという自覚はあるけど、別に赤ちゃんじゃないよ?もうすぐ大人だよ?」


話しながら妙な違和感を覚えた。それがなんなのかよく分からなかったが、そんなことより今はその転生とやらの具体的な話が聞きたい。

と逡巡していると案内役の声が先を続ける。


《はい、マスター。マスターの『新しい体』はマスターの前世での肉体年齢に近い値で設定されていますので、その認識で間違いありません。

しかしながら、もうすぐ大人、という点は訂正させていただかなければいけません。》


えーっと?俺の前世での肉体年齢ってことはあれか!

俺の前の体は死んでるからもう使えなくて、それで新しい体を作って使っているから転生ってことか?

それなら確かに生まれ直しだな!しかももうすぐ大人じゃないってことは逆説的に肉体的にはもう大人になってるってことでいいのか?

そこんとこよくわからんがまぁ些細な問題だな。だって19も20も大差ないしな!俺的には20が大人だ!


《何故ならマスターの体は不老となりましたので、これ以上年齢的肉体変化をされることがないからです。》


「はああああぁぁぁぁぁぁっ??!!」


全然違った!ていうかどうゆうこと?!俺、人間じゃなくなったの?不老ってどうゆことよ??!


「えっ?なんでっ?俺、人間じゃなくなったの?う、う、うっそだー!だだ、騙されないぞ?!だって俺、普通に人間じゃん!

ほらよく見てみてよ!ちゃんと手足が2本ずつあるし?首に頭乗ってるし?声だって出てるし!

髪の毛だってこんなに長いのが?・・・長いのが・・・長い?え?えっ?なんで?

なんでこんなに髪の毛が長いんだよ!おかしいだろ!これ俺の髪の毛か?!」


ホンの少し前の俺の髪の毛は、確かにちょっと長くてウザめだったかもしれんが、こんなに長くはなかった!

何せ今の髪の長さは腰の位置より更に長い!胡坐かいて座ってるから地面についてるし!

ていうか全然気づかなかったし!どうなってんの?!

そういえばさっきから続く違和感も、なんか声が


《はい、マスター。それはマスターの髪の毛で間違いありません。

また、マスターは既に人間ではありません。

転生される際に種族が変わりましたので、マスターの種族は『ヒューマノイド』です。》


「えはあぁっ?!えっ?えっ?ええええぇぇぇぇぇっ??!!」


なにいってんの?なにいってんの?なにいってんのこの娘は??

俺の種族がヒューマノイド?ヒューマノイドって何それ美味しいの?

人間辞めたの?俺いつの間にか人間解雇(クビ)になってたの?!

いやさ、確かに1度死んで生き返るのなんて普通の人間じゃないけどさ、いくらなんでも急に人間じゃないなんて・・・ないなんて・・・?ん?んん?

いやいや、なんか冷静に考えてみたら俺人間じゃなくね?

そもそも1回死んで生き返ること自体おかしいことだし、そういえば俺の体まだ風呂場で死んでるわ。

アレ回収して生き返らせたとしてもやっぱその時点で人間辞めちゃうかも。

ゾンビかなんかだよね。アンデット系も歳とらないとか定番だし、そっちの方がイメージが近いかもしんない。

そうか。

そうなのか。

俺、知らない間に人間辞めちゃってたかー。

いやーなんの自覚もないから気付かなかったけどさ、そうやって考えてみると確かにもうアウトだわ。

俺、人間辞めたってよ。こんなに急に人間辞めると思ってなかったからマジびっくらこいたわー。

今世紀最大の俺史上でも相当レアな程に驚きはしたけどもうそこんところは諦めるか。

割り切らないとダメだコレ。俺の頭じゃ処理しきれないよ。精神が人間寄りならそれでいいことにしよう。そうしよう。


「うん。なんか取り乱してごめんな?俺、とっくに人間辞めてたわ。」


苦笑交じりに独白してみるが、なんとなく自分の中でも納得いくものがある。なんか本能的な部分では察していたんだろうか?レベル高いな、本能。いい仕事してるわコレ。


《いいえ、マスター。問題はありません。

また、マスターの『新しい体』は作成にあたり、『もしもマスターがこの世界で生まれていたら』を基に計算して出で立ちを算出しています。

よって、体と魂が馴染むのにお時間はかからないと思われますのでご安心ください。》


「ホワーーーイっ!!

なんかめっちゃサラッと言われましたけど!俺の体って作りからして前と違うの?!

そうだよ!なんか変だと思ったら俺の声だよ!声!さっきからの違和感これじゃん!めっちゃ高くなってるよ!

なんで気付かないんだよ!俺の声結構低かったじゃん!

クラスでも低い方だからってバスパート歌ってたじゃん!あ~とかう~とか歌詞がないパート担当してたじゃん!

なのに今めっちゃ高いじゃん!テノールじゃ抑えきれない高めの音符きちゃってるじゃん!!

どうなってるの?俺大丈夫なの?これもう気にしだしたら違和感しかないよ!慣れるの?慣れられるの?コレ?!」


どこも安心できないよ!どこまでも不安しかないよ!鏡は?鏡はないの?!

自分の見た目が全然わかんないのってここまで不安なの知らなかったなーー!!


「な、なぁ、おおおお俺の肉体年齢がこれ以上変化しないって言ってたけどさ、な、なんでこんな声とか声とか声とか髙いの?

おお俺、男なの?そそ、それとも女なの?なんなのコレ?どうなってるの?鏡とかないの?鏡とかないの?ねぇ俺どうなってんの?どうしたらいいの?!」


不安で不安でたまらない俺は思わず聞いてしまったが、ここで性転換とかなってたら流石にショックすぎる。

いや、そもそも俺は俺のままでこっちの世界とやらで生まれて生きてきた場合のパターンの姿になっているだけで、別にそういうなんかよくわからない上に要らない要素を盛り込みにいくために来たわけじゃないっていうかなんていうか


《はい、マスター。マスターは、いまは男性のようですね。》


「いまは?!ねぇ!いまはって言った?!

俺どうなっちゃうの?今度女の子になっちゃったりする予定とか入っちゃったりしちゃったりなんだりすることが無きにしも非ずな感じがしちゃったりなんだりなの??!」


《はい、マスター。マスターはヒューマノイドですので、性別は些末な問題です。

今後、お好きにカスタマイズなさることが可能です。また、それらの詳細をお聞きになりたい場合は、少々長くなりますので、お時間の許す場合、改めてお問い合わせください。》


「えぁ?あ、はい。わかりましたと思います?」


なんか反射的にわかったって言ってしまったが、正直全然頭に入ってこない。

は?カスタマイズ?性別のカスタマイズってどういうこと?

設定がどうのこうのって言ってたけど、俺って・・・なんか生物じゃなさそうじゃね?

キャラメイキング的なアレコレができちゃうってことなの?

なんか訳わかんなさ過ぎて聞くのが怖すぎるからもうコレもアレもなんもかんも保留でいっか。

ムリだよ。

もうこれ以上俺のメンタル耐えられないもの。うん。ムリムリ。ムリプー。もうダメぽ。俺のライフはもう0よ!


この件に関して、俺は考えることを放棄した。



お読みいただき、ありがとうございます。


説明会、続きますがなるべくテンポよく進んでいきたいです。

寄り道ばっかりしちゃいますけども・・・。


次回予告。

衝撃のな

贈られるな

諦めが肝心

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