数は暴力 暴力には暴力を
うぐぅ。
雨の中歩いたせいで足がぐちょぐちょです。
雨靴にすれば良かった・・・。
皆様もお足下お気をつけください!
そしてそして、なんとブクマ登録者様がお2人も増えています!
ありがとうございます、ありがとうございます(*´∇`)
今後もどんどんガンバりますので、お付き合いいただけると幸いですm(_ _)m
前回のあらすじ。
お外をお散歩
岩場でピクニック
ウサギを狩ったらゴブ遭遇
<ピクシー・ゴブリン>
名前は本気でふざけているが、れっきとしたモンスター。魔物だ。
灰色に近い緑の皮を持つ。尖った耳。コブのような鼻。
噛み合わせ悪そうな歯は、犬歯が発達していてちょっと飛び出てる。
体長は100cm程度。細くてガリガリのクセに骨は丈夫そうだ。
日本的に言えば、餓鬼っぽい見た目。
常に複数で行動し、自分たちより弱いと思った相手に襲い掛かる習性がある。
ここで重要なのは自分より弱い、ではなく自分たちより弱いという点だ。
こいつらは粗野で野蛮で頭もそんなによくないが、数の暴力を理解している。おそらく本能レベルだろう。
その為、行商や新米冒険者や新兵なんかをよく襲う。
もちろん、一般市民なんか格好の的だ。
そして、目的は単純明快。殺して喰う。それだけだ。
完全な雑食性で、腹が減れば木の根でも食べる。
だが、好みは肉。特に軟らかい肉が好きらしい。実に要らない情報だ。
コイツらはカナデさん情報にあるように、手先が器用らしい。
自作の石斧や、拾った剣やナイフも使うし、弓矢なんかも作ったりする。当たり前だが粗悪品だ。
ただ、その粗悪品だって数が揃えば脅威だし、コイツらは人と違って爪や歯だって使ってくる。
しかもばっちい。やられたら病気確定間違いなしだ。
精神的にもイヤだ。気持ち悪い。
ゴブが好きな人、ごめんなさい。
現代日本で出たら、間違いなく大きな被害をもたらすだろう。
一般人じゃ対処はムリ。
凶暴な野犬の群れが、病原菌と共に襲い掛かってくるイメージに近い?
武装してるから比較が難しいな。猿の○星?観たことなかった・・・。
しかもあのお猿さんたちは知能もあるから下位互換か?
ギャギャギャと喧しく奇声を発し、手にした武器を掲げ駆けてくるゴブ。
ってはやっ?!も少しボケッとしといてよ!もうっ!!
「4~10」
とにかく全力!残弾全部つぎ込むべし!
「我が敵は此方 射ち穿て 炎弾 発射!!」
魔法円が7つ中空に浮かび上がり、すぐに炎弾がその魔法円をくぐって駆けていく。
醜いゴブリンA~Cにそれぞれ不規則な赤い軌道線が吸い込まれていく。
ボボボボッ
6つの着弾を確認。ゴブたちは頭や腹が弾け飛び、吹っ飛ぶ。
そして、ヒュンッと軽やかに飛び去っていく一筋の光。
「10がどっかに飛んでくな?」
ボッ
「ゴギョオォッ」
変な鳴き声が聞こえた。
「10のヤツ、さっきの弓持ちを殺ってくれたのか?だとすればありがたい!
これでわかってるヤツは全滅か?」
《はい、マスター。10は弓ゴブリンに当たったようです。
ただ、ここからでは生死が不明・・・》
「ギョォォォン
ギョォォォン
ギョォォォン
ギョォォォン」
「なんか気持ち悪い鳴き声出してるのってさっきの弓持ちゴブリンD?」
《はい、マスター。どうやらゴブDが仲間を呼んでいるようです。
これは少々・・・まずいかもしれません。》
カナデが不吉なことを言う。そういえば俺も「全滅か?」とか余計なフラグを立ててたような気もしないでもない。
本格的にマズい。
慣れない魔法を使った影響か、かなりの倦怠感を感じている。
「カナデさん。あの救援要請でどれくらい来ると思う?」
《現状ではわかりません。ただし、<ピクシー・ゴブリン>は集団生活をするタイプの魔物です。
先程の4体は散らばっている一部、と考えるのが妥当でしょう。》
「マジかよ・・・。」
好転しない情報に歯噛みする。
ぶっちゃけさっきと同じ数くらいなら、もう一度炎弾を打ち込めば終わるんだが、更に数が増えるとMPが絶対保たない。
いまでさえ軽く車酔いに近い感覚があるのに、何回も使えるようなもんじゃない。
せめてもの抵抗にと、森から遠ざかる方向に歩を進める。
森から離れたがらない習性が、うまいこと仕事してくれることを祈りながら。
さっきの戦闘場所より、多少離れた所に生えている木に回り込み、森の様子を伺うこと暫し。
「ギャギャッギャギャッ」
「ゴブブゴブブ」
複数のゴブ音が近づいてくるのがわかる。
声のする方へ視線を向けると、森の中から複数の<ピクシー・ゴブリン>が出てくるのが見えた。
「1、2、3、4・・・6。いや、あっちにもいるから8か。
微妙にリアクションに困る数だな。」
もっと30とか40を想像してたから、少し少なくてちょっと安心?
《いいえ、マスター。この数は少々多いですね。
救援要請を受けてこの数となると、本隊はもっと数がいると予測されます。
マスター、運が悪いことにどうやら群れの移動に当たった可能性が高いです。》
「はぁ?マジかよぉ。勘弁してくれって。俺、今日が冒険者業初日なんだけど?いくらなんでもハードモード過ぎない?
絶対色々イベント逃してるって。ムリぽー。ダメぽー。もうイヤぽー。
引っ越しは明日にしてくれよー。」
《はい、マスター。マスターには少し、いえ、かなり荷が重いイベントですね。
残念ながら、マスターくらいのレベルの人族なら先程戦闘したゴブA~Dに襲われた時点で死んでいるでしょう。》
「まぁ、普通は冒険級の魔法なんてもってないだろうから、そうだろうけど。」
《はい、マスター。厳密に言えば冒険級の魔法を持っていたとしても敗れているでしょう。
普通なら、魔力量が足りず冒険級の魔法は発動もできませんから。》
「効率とか、適性とかの話しか。」
たしかそんなことを言ってた気がする。
《はい、マスター。また、同量の魔力を注いだとしても、同威力の魔法も放てませんので、結果放てたとしても敗れます。》
「あー、そんなもんなのか。思えば俺のレベルは3だしな。
よくよく考えてみれば、普通は冒険級の魔法の取得はレベル20くらいの人が取れるんだもんな。」
《はい、マスター。必要な取得SPが20ですので、基本的な最低取得レベルは20です。》
「んむ~。カナデが言いたいことはわかった。
でもさ、結構絶望的な状況なのになんで悠長にそんなお話を?」
《それは、マスターには秀でた戦闘力があることを誇示するタメです。》
「えっと、なんで?」
《おそらくこのままだとマスターの匂いを辿り、ゴブたちが襲ってくるでしょう。》
「うんうん。そうだよね。」
《ですが、マスターは強いので、ゴブたちを倒せる可能性があります。》
「うん?うん、まぁ、可能性ね。確かに可能性はあるね。」
《なので、マスターには最善を尽くしその可能性を上げていただきたいのです。》
コレはいったいどうしたことか。
カナデの言ってることはわかるんだけど、何を言っているのかよくわからない。
違うか。何を言いたいのかがわからないんだ。
普通はできないことができる俺、強い。
強いからゴブを倒せる。倒せるから、努力しろ。
多分要約するとこんな感じ?
「ってことは、カナデは俺のこと慰めたり励ましたりしてくれてるってこと?」
《はい、マスター。》
「回りくどいよ?!これまでそれなりに会話してきて、結構ストレートに色々言われてた気がしてたんだけど!
なんでこんな時だけ回りくどいの?仕様なの?!」
《・・・こういった際にどういった言葉が必要になるのかは、記憶情報に記載がなかったのです。》
「えーっと。多分普通に頑張れーとか、ファイトーとか、そんな感じで良いんじゃないんでしょうか?」
《・・・マスター、頑張ってください。》
「あ、はい。ども。」
いったい俺はいま何をしているんだろう?
近くに人喰い鬼が徘徊してるのに、AIさんと雑談。
ちょっと自分を見失いそうだ。
でも、まぁ?カナデさんに応援されちゃった手前、もうちょっと頑張ってみますかー。
まだ死にたくないし。改めてゴブの様子を伺う。
ゴシゴシ
えーっっと。もう一度伺う。
ゴシゴシゴシゴシ
あれ?あれれ?なんか急に疲れ目かな?
さっきまで8匹の<ピクシー・ゴブリン>しかいなかったハズなんだけど。いまは違うのもいる。
9匹目がいるんだよ。しかもちょっとデカい。
他のに比べて40~50cmくらい大きいし、体格もいい。
俺の記憶の中の日本版ゴブリンさんより若干体格よくなってるかも?
「カナデさんカナデさん!あのデカいの何?ついに本物のゴブリン出た?もしくはボブゴブリン的な?!」
《いいえ、マスター。あれはレベルが一定以上まで上がった<ピクシー・ゴブリン>です。
同種族は、ゴブリン種の中でも最も緩い条件で職業持ちになります。
いま見えているのは恐らく<ウォー・ピクシー・ゴブリン>と言われているタイプですね。
ただし、これは人族の中でだけの呼称で、実際にはただのレベルが高い<ピクシー・ゴブリン>です。》
なんか、人族さん色々思い込みや勘違いとかで種族増やし過ぎじゃない?
なんでそんな下手な分類するかなぁー。ややこしいじゃんね?
《ちなみに、<ウォー・ピクシー・ゴブリン>は<ピクシー・ゴブリン>よりも高額な討伐報酬が設定されていました。》
「それなら仕方ないな!差別化も時には必要だっていう確かな例だった訳だ。
種族分け?分類法?そんなことよりお金だお金!」
未だに収入が全然ない俺、異世界生活そろそろ半月。
いい加減収入をしっかり確保しないと生活がままならない。
実際こんなキツい思いしてるんだから、多少の見返りでもないとやってらんないっつーの!
新しく現れたゴブ達は、倒れている弓ゴブの近くで何かをやっている。
情報交換でもしているのだろうか?草が邪魔でちょっと見えない。
しっかり倒したゴブA~Cにも5匹のゴブが近づこうとして、デカいゴブに止められている。
めんどくさいからデカいゴブはデゴブと略そう。
デゴブはリーダー的な立ち位置らしく、他のゴブ達が従っている。
弓ゴブの話しは聞けたのか、会話(推定)は終え、いまはモグモグしている。
うん。ダメなヤツだな。ゴブが、ゴブを食べている。
デゴブは足がお気に入りらしい。つまりはそういうことだろう。
かなりの衝撃映像に、心がゲンナリする。
下手に『視覚強化』が効いててこの距離でもそれなりに見えちゃう自分が恨めしい。
そして、多分残りのゴブA~Cもご飯になるのだろう。ゴブ達が移動を始めた。
ココからゴブ達までは結構距離がある。多分200mくらいは離れてる。
森からなら300mくらい離れてると思う。ココからなら狙い撃ちが可能だ。いま殺るしか、ない!
「カナデ、ココから撃つ。」
《はい、マスター。》
残りの魔力量に不安があるし、しっかりと術式を練り上げて魔力ロス最小化を目指したい。
息を整え、深く、深く集中する。
『魔力感知』でしっかりと自身の魔力を感じながら。
「術式 冒険級火属性 実行」
さっきと同じように俺の足元を中心とした魔法円が広がり構成されていく。
「火の精霊よ」
さっきよりも全然多い数の小さな赤火が生まれていく。
「我が魔力を糧に、20の炎弾を成し、回り、廻りて、待機せよ。」
数多の小さな火が寄り集まって、次第に大きな炎になる。
そして、大きな炎が凝縮して20の炎弾ができあがる。
炎弾は俺の周囲をらせん軌道で忙しく飛び交う。
「対象は前方、<ピクシー・ゴブリン>および、<ウォー・ピクシー・ゴブリン>の各頭部に設定。」
さっき倒したゴブA~Cの元に到着したゴブ達は、早速食事を始めようとしてる。
いまならしっかりと狙いをつけられる。
<ピクシー・ゴブリン>のそれぞれの頭を指差して、意識をセットする。
あまり意識していなかったが、多分俺が元々持っていた能力、『精密作業』、『並列作業』も良い感じに補助してくれてるっぽい。
「1(アイン)、2(ツヴァウ)、3(ドラー)、4(フィー)、5(フィンフ)・・・18(アハツェーン)」
20の炎弾の内、1番~18番までを指定。
俺の前方中空に小さな魔法円が内円に8個、外円に10個並列状態で構成される。
「我が敵を射ち穿て」
小さな18個の並列魔法円がゆっくりと回転を始め、青い光を放ち輝き始める。
「炎弾 制圧発射!!」
総ての魔法円が強く、強く輝き、炎弾が勢いよく飛んでいく。
キュキュキュキュキュキュキュキュンッ
赤い光の束がゴブ達の元へ高速で襲い掛かる。
「ギギャ」
「ガギャ」
「ゲギュ」
ボボボンッ
炎弾は遠く離れたゴブ達の頭に見事的中していく。
1匹辺り2発の炎弾が炸裂し、ゴブ達を沈めていく。
「うぐぅ・・・。」
その光景をしっかり見届けたかったが、半端ない酩酊感に襲われる。
血の気が引き、頭痛がする!足に力が入らない。
ガクガク震える足を必死に手で押さえるが、耐えきれず前のめりに倒れてしまう。
「ぐっ・・・はぁ、はぁ、はぁ。」
ムリだ!壮絶にキツい!あぁっ!貧血よりキツい!!
「うえっ。うぐぅ。あ、あ・・・。」
物凄い不快感に襲われるが、きっと多分コレがMP枯渇状態なんだろう。
知識ではしっていても、ヤバい!コレヤバい!
「はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ。」
それでもゴブを全部殺れたか確認をしないと。
俯せに倒れたまま、なんとか頭を上げるけど、目が涙で霞んでよく見えない。
(カナデ。ごめん。ゴブ見える?)
《はい、マスター。どうやら指定したゴブは総て倒せているようです。》
よかった。コレでなんとか生き残れた。
《ですが、新たに2匹森の中から近づいてきます。
<ピクシー・ゴブリン>と<ウォー・ピクシー・ゴブリン>のようです。》
・・・マジか。完全にMP切れてる状態で新手とか、マジムリなんですけど・・・。
あ、でも、幸い俺いま倒れてるし、森まで距離もあるから見つからないかも。
このままの状態でやり過ごすしかない、な。
頭を伏せ、完全に地面と一体化を進める俺。
体調の悪さも相まって、極限まで気配消せてるんじゃね?
コレならいけんじゃね?
心の中で祈りながらそっと呟いてみる。
《マスター。地面から伝わる振動からの推測ですが、どうやら見つかったようです。》
なのに見つかったらしい。
(なんで?俺そんなに匂うかな?!)
自分の体臭が気になる!焦る!
《いいえ、マスター。恐らくは残っていた<ピクシー・ゴブリン>が見張り役をしていたのでしょう。
魔法が飛んでくる所を見られたようです。》
言ってる間にゴブリン達は残り200m程まで近付いてきたらしい。
速い!
間もなくゴロゴロしている俺の姿を補足されるだろう。
そうなったらマズい。
なんの抵抗もできずになぶり殺される。
「くそっ、くそっ、くそっ、くそぅ!」
最後の気力を、体力を振り絞って立ち上がる。
ゴブ、残り距離100程度。
「あぁぁぁぁーーーーもうっ!お前らなんか嫌いだ!!俺は絶対ゴブと仲良くなれないみたいだな!!なんで勝手に襲ってくるんだよ!!」
ゴブ、残り50m。
「19(ノインツェーン)、20(ツヴァウンツェッヒ)!」
最後の弾を指定。
「我が敵は此方 射ち穿て 炎弾 発射!!」
すぐそこまで迫るゴブ達に向け、最後の魔法を放つ!
炎弾が<ピクシー・ゴブリン>の左側の頭を吹き飛ばす!
次いで、<ウォー・ピクシー・ゴブリン>へ炎弾が当たる!
「ゲギョギョギョギョギョ!!」
最後の炎弾が<ウォー・ピクシー・ゴブリン>の右胸から肩の辺りを吹き飛ばし、千切れた腕が宙を舞う。
皮肉にも俺と同じ右腕を失った<ウォー・ピクシー・ゴブリン>だが、その目には確かな殺意がある。
「ヤバい!殺しきれてない?!」
<ウォー・ピクシー・ゴブリン>は腕を失いバランスを崩したのか、転びそうになりながらも左手に持ったくたびれたショートソードを振り上げた!
俺は咄嗟に腰からダガーを抜き、全力で<ウォー・ピクシー・ゴブリン>の首を突く!!
「グギョッ」
「うぐぅっ。」
俺のダガーは<ウォー・ピクシー・ゴブリン>の首へ刺さり、ヤツの命を奪った。
しかし、<ウォー・ピクシー・ゴブリン>の振り下ろしたショートソードは接近しまくったせいか俺の背中の方へと抜け落ちていった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はっ・・・あぶ、あぶなか・・・った。」
俺にもたれ掛かる<ウォー・ピクシー・ゴブリン>を必死に押してどかし、木の幹を支えにへたり込む。
「もう限界だ。」
俺は意識を手放した。
お読みいただきありがとうございます。
なんとか、どうにか想君生き残りました!
わーぱちぱちぱち(*’ω’ノノ゛☆
ですがここは街の外。
安全の確保されない場所でとっても危険です。
早く起きないと不味いかもしれないよ!?
あ、振りではないです(ヾノ・∀・`)
ちなみに、誤字や脱字、ルビミスや読みにくいなどありましたら、お気軽にご報告いただけると嬉しいです!
自分でも見返してますが、注意力ががががが。
次回予告。
陽のあるうちが頑張り時
なかなか便利な火魔法
汚れててごめんなさい




