終焉・邂逅・転移
初めましての方も、お久し振りな方も、どうもこんにちわー月姫です。
全体的に明るめの作品を目指そうと思っています!
なるべくリロセーゼンとした文章を書いていきたいと思いますが、変なところがあったらご指摘いただけると幸いですm(_ _)m
ある日、唐突に俺の人生は終わった。
まだ人生これからの若くてピチピチの19歳だったんだが、ちょっとした不注意でこの世を去った。
死因は溺死。
ただし自宅で。
遡ることややも少し。回想というのもおこがましい程ついさっき。
俺はついに倒したのだ。魔王を。
この世の総てを手に入れようと悪の限りを尽くしていた、ヤツを。
ヤツの名前は魔王ユークイチ。
正直かなり手強かった。
何度も諦めそうになりながらも粘りに粘って倒したものの、ちょっとバランスが悪かったかもしれない。
全クリまでの想定時間は100時間と設定し、実際かかったのは96時間。
内容を知っていながらギリギリということは実際はもっとかかってしまうだろう、と思われる。
少しやり込み要素を詰め込みすぎたか、もしくは想定するレベル設定を髙くしすぎたのだろうか。
様々なミニゲームもテンコ盛り。
そのミニゲームのクリアボーナスをうまく使ってレベルも上げてたから尚更初見では不可能なクリア時間である。
後でなんやかんやと直したりしますかー。そんなことを考えつつデータを保存しPCを落とす。
俺が作ったゲーム【ファンタジー・オブ・ラストストーリー】に思考を巡らせつつ、服を脱ぎ脱ぎ風呂に入ったんだ。(俺的略称は、F・S)
思えばここ1週間ほどゲーム作るのに夢中になってあんまり寝てなかったのがいけなかったのかもしれない。
入って速攻寝落ちした。そして溺死した。
まったく気付かなかったし苦しくなかった。
むしろ気持ちよかった感さえあるかもしれない。
ていうかぶっちゃけ自覚もなかった。
なのに何故俺は自分の状況を理解できているかというと、見せられているからだ。
いや、視せられているからだ。
床も、空も、地平の彼方も、何もかもが真っ白なこの空間で、宙に浮かびつつも寝転がるという器用な真似をする自称神(笑)とやらに。
映画館にあるような巨大な投影機が、神(笑)と同じく宙に浮かぶスクリーンに映し出しているのは正に死んでいる俺、現在進行形。
湯船の中ゆったりのんびり頭の先までどっぷり浸かって揺蕩っている。
アレがリアルタイム映像というのだから、ダメ絶対!感がハンパない。
うん、ご臨終だな。
なんか色々な穴から色々な物が出てきちゃってるし・・・確実にアカンやつや。
死ぬと穴から色々出てくるとは聞いていたが流石にこいつはショッキング。
俺の数少ない尊厳を守るためにも、是非ともモザイクプリーズ、神様(笑)・・・orz。
まさか自分が裸で死ぬことになるとは思ってもみなかったが、死んでしまっては仕方がない。
さっさと頭を切り替えて目の前の自称神(笑)に向き直す。
「神(笑)よ、俺が死んでしまったのは理解したが、何故俺はここにいるのか。」
「不遜というべきかふてぶてしいというべきなのか悩むところじゃが、説明するのがワシの役目。
どれどれ、汝が切り替えの早い童でよかったのか悪かったのか。」
のらりくらりと話す様子はどことなく中庸な印象を受けるものの、煮え切らなくて余り好ましくない。
うん、ぶっちゃけ嫌いかもしれない。
ていうか宙に浮いて寝そべったままだし。
不遜なのそっちだし。
「汝はな、死んでしまった。しかしながら消えゆく運命ではないが故にそれが終わりではない。
いやなに、終わってしまったのじゃが次の機会に巡り合えた稀有な存在というだけなんじゃがな。
目出度く汝の才が拾われての、輪廻の輪の外、理の外。
すなわち転生が叶うことと相成った。
ワシ、一応は汝担当の神でな。
真に面倒ではあるものの、お役目からは逃げられぬゆえ、汝の道先案内人を務めておる。」
「そうなのか。なんの才を評価してもらったかはよくわからんが、折角拾って貰えるのなら転生とやらの話を聞こうじゃないか。」
「汝、肉より解放されたばかりで気が軽くなっておるな?
それとも元より持ち合わせている性根なのやもしれぬな。
それも含めて適正か。
それ故に不適当なのか。
なんとも因果なモノよな。
しかしながら、相分かった。
説明するのも面倒なのでな。
ちと失礼するぞ。」
言うなり爺さんが俺のことを指差した。俺、というより俺の頭だな。
すると軽い衝撃と共に何かが俺の中に入ってくる感覚があった。
頭の中・・・じゃないな。なんとなく俺のもっと深い何かの中に・・・。
「うえっ。おええぇぇぇぇっ!」
そしてえずく。何これめっちゃ気持ち悪い!
頭ぐわんぐわん!視界ぐにゃんぐにゃん!上下左右なんもわからん!
気持ち悪い!気持ち悪い!やだ!もうやだ助けて神様!
ごめんなさいもう無理だから誰か助けてどうにかして!
「ううぅえええぇぇぇっ!!」
ダメだ何も吐けない。
涙も涎も出るのに吐しゃ物だけ出てこなくてより気持ち悪い・・・いつまで続くの?もうホントやだ!
どんどん
気持ち悪いのが
増していく中
神(笑)は
ぶつくさ
と
念仏の様なものを
唱えていた。
こっちは気持ち悪いっつーのになんだよお前。
禿げろよ。
同じように苦しめよ!
うぇっ。
ダメだこれ。
マジダメだ・・・。
――――――――――――――――――
・・・ん~、段々と治まってきたな。
なんだってんだいったい。有り得ないくらい気持ち悪かったし?
時間的にはそんな長くなかったんだろうけど、体感的にはマジ超長かったし?
いくらなんでもメーターぶっちぎりの気持ち悪さはマジ勘弁なんですけど!
てゆうかいまの絶対このじーさんだよな?マジキチだなこのじーさん。
もう神(笑)ですら生ぬるいわ。じーさんだじーさん。じーさんで十分すぎるくらい十分だわ。
蹲り震える手足でどうにか体を支えながらじーさんを睨みつける。
「どうやら無事に終わったようでもあるし、そうでないとも見受けられる。
小さき童よ。
力加減に些かばかりの不安もないではなかったが、知識の継承は事なきを得たようであるな。
まっこと重畳である。」
「は?なんだよその言い方!まるで失敗の可能性もあったかのような言いぶりは!
いくらなんでも聞き流せないんですけど?!説明して欲しいんですけどっ!!
失敗してたらどうなってたか知りたいんですけどっっ!!」
「ふむ、確かにそうであるな。
あくまでも可能性の話であるが、誠、小さき童の申す通りである。
曲がりなりにも我は神であるでな。
説明してやらんでもないでもないが、すでに汝は知っておろう。
そうなるようにそうしたであるしな。
しかしながら、我に問うてくるということは、未だ整理がついていないのか、はたまたうまく使えていないのか。」
じーさんは勿体つけた話し方を続け、中々教えてくれなかったが、要約するとこうだ。
・様々な知識と、今回の転生に至った経緯的な情報を俺の頭にぶち込んだ。
・俺の脳?魂?はキャパを完全にオーバーした。
・場合によってはそこで「あべしっ」や「ひでぶっ」して消滅していた。
・一応うまくいったので安心であるが、予想以上に苦しんでいた。
・対策の為、不要な知識を封印したり色々した。
つまりはこういうことらしい。
って殺人未遂じゃん!俺、既に死んでるけど殺人未遂じゃんね!
あっぶなー!マジキチぃってこのじーさん!あったまおかしいんじゃないの??!
魂の消滅って、俺の存在全部消えんじゃん!マジで怖いんですけど?!
しかも、俺消滅事件の動機は面倒って!面倒って!!つーか色々ってなんだよ!端折りすぎだろ!
なんなん?なんなんこのじーさん!もう神っつーか悪魔だよ!
あんたの大罪言ってみろよ!怠惰とか傲慢とか司ってるよ絶対!
「いくら面倒だからって、俺を消そうとすんなよじーさん!
もう少し物事考えてから実行しろっつーか、普通にヤベ―ことすんなし!
二度とすんなよ!絶対すんなよ!返事は?!返事返してくれないと不安なんですけど!!
てゆうか、知識や情報貰ったはずなのに、何一つ分からないままなんですけどっ!」
「ふむ、儚く、誠小さき童よ。
汝の述べることは当然であるな。
先程少々詰め込みすぎたでな。
このままでは埒が明かぬゆえ、汝の頭の中に我が埋め込んだモノの管理を担当する意識・・・のようなモノを作っておいた。
故に汝の知識はそのままに、管理者が総て答えてくれるであろう。
我は十分働いた。
これ以上は億劫であるでな。
疾く行くが良い。」
じーさんが虫を払うかの様に手をしっしっと、如何にも煩わしそうに振ってくる。
その様、その顔たるや筆舌に尽くし難い程になんともムカツク顔である。殴りたい。
すると俺の足元に青光が眩き煌めく、巨大な魔法陣が出現した。
また、その法円の外周部からより強く半透明にも見える光の柱が天高く伸びて行き、俺を完全に外界から隔離した。
「ちょっ、待てよ!!くそじじぃ・・・」
俺が一言物申すより早く、俺の足元で青白く光る巨大な円・・・魔法円が回転しながら浮かび上がる。
魔法円がせり上がり、通過した俺の下半身が消えていく。
それと同時に意識が吹き飛ぶ感覚に襲われ、俺の視界は暗転した。
お読みいただき、ありがとうございます。
これくらいのボリューム感でやっていきたいと思いますが、あくまでも予定ですので、今後どうなるかはちょっとよくわからないですごめんなさい。