18. ぼっちの出会い part3
遅くなりました、すみません!年末は忙しいですね…
「…最悪」
夕暮れ時の部屋の中。凛は部屋のすみっこで一人、膝を抱えてずうぅぅんと落ち込んでいた。トイレでの極めて不本意な羞恥プレイの後、凛は固まる面々を押しのけて、部屋へと戻っていた。
もう涙は出ない、枯れ果てた。
「…ふふふ…」
前世以前の記憶では、その気がなかったにも関わらず、無防備な体を他人に晒したことは一度や二度のことではなかった。だが、今回のように同じ人間に何度も見られたという経験はなかった。
乳丸出しに尻丸出し。言葉だけ聞くと卑猥だが、そんな艶っぽいものではない。女性として、いや人として、こんなに恥ずかしい格好があるであろうか。いや、ない。
『り、リン?あの、入りますね』
ノックの音がして、部屋の外から声がかかった。遠慮がちな、柔らかな声。アイリスだ。
「リン、あの…」
「アイリス…」
隅で体育座りをしている凛の背後から、アイリスが戸惑ったように声をかけた。どうしようか躊躇う気配に、凛はふうっと息をついて顔をあげた。
(…これ以上心配かけるわけにはいかないよね)
「…ごめん。ちょっと…、その、ショックで」
「だ、大丈夫です!何も見えなかったですよ!」
「…ありがとう」
そんなわけない。ないが、アイリスの優しさにほんの少し気持ちだけ気持ちが落ち着く。必死に慰めてくれようとしているアイリスに、凛は立ち上がると後ろを振り返った。途端、アイリスは小さく悲鳴を上げる。
「す、すぐに治療しましょう!」
「…そんなに酷い?」
凛の顔を見た瞬間、顔色が変わったアイリスの姿に少々不安になる。自分は一体どんな状態になっているのか。相変わらず尻もじんじんするし、押さえつけられたり殴られたりしたせいで、体中がきしむ。慌てたアイリスにバスルームへと連れて行かれる。
「…これは酷い」
そこでようやく見ることができた、自分の顔。洗面所の鏡に映った自分の姿に絶句した。なんだろう、あれだ。日本の怪談に出てくる、お岩さんのようだ。目元と両頬が酷く腫れ、青くなっている。口元はタラコを上下に並べたように赤黒く腫れ、端が切れて流れた血が固まっていた。一方的に殴られまくったボクサーだってここまで酷くはならないだろう。よく見ると、洋服のあちこちが破け、出血している。痛ましいを通り越して悲惨な状態だった。
(…これは。見た相手がトラウマなのでは)
この状態で露出したわけだ。正常な状態ならまだしも、喜ぶ人間がいるとは思えない。
(それはそれで悲しい…)
「ヒール!」
「―おお」
温かい光に包まれたと思うと、見る見る間に治っていく。じんじんとした痛みが癒されていく感じに、ほっとする。酷く傷ついていた顔が、尻が、背中が、治っていく。強く掴まれて青くなっていた腕も、ずきずきとする身体の痛みもなくなっていた。相変わらず見事な腕だ。あっという間に元に戻り、鏡には黒髪の地味な女の姿が映った。
「…一緒だ」
映る顔は、前世と同じもの。ほっとするような、少し残念なような。絶世の美女とまではいかなくとも、もう少しだけ美人度がアップしていてもよかったのに。
「これで元通りです!綺麗なリンに戻ってよかった!」
「ありがとう、アイリス」
少しだけがっかりしていると、横からアイリスが覗き込み微笑んだ。そんな風に言われると悪い気はしない。にこにこと微笑んでいるアイリスにお礼を言うと、アイリスは新しい服を手渡してくれた。
「これに着替えてください」
「あ、ありがとう。…ごめんね、服、ダメにしちゃって」
「そんな!リンが無事なら、服なんてどうでもいいです!…リンを見た時、心臓が止まりそうになりました」
「アイリス…」
そんなに酷かったか。いや、確かに酷かった。自分でもトラウマになりそうだ。
「もう、こんな怪我しちゃ駄目ですよ?」
「…はい」
凛とてごめんこうむりたい。素直に頷くと、アイリスは少しだけ背伸びしていいこいいこしてくれる。誰かにこんな風にされたのは初めてで、思わず照れてしまった。そんな凛の様子にくすっと笑うと、アイリスは「外にいますね」と言いおいて出て行った。
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