17. ぼっちの出会い part2
大変長らくお待たせしました。久々の更新です。よろしくお願いいたします。
「うっうっうっ…」
凛は泣いていた。
滝のように流れる涙が、凛の視界を滲ませている。ここはトイレだ。
凛の恥ずかしい姿が衆目に晒されて、早一刻。あまりの衝撃に部屋を飛び出した凛は、そのままトイレに飛び込んだのだ。
『り、リン、お願いです、出てきて下さい』
『そうよ~リンちゃん、こんなところに閉じこもってても何も解決しないわよ?』
『大丈夫だ。私達は何も見ていないぞ?』
(嘘だ…!)
扉の外からかけられる声に心の中で叫びながらがっくりと項垂れる。何も見ていないはずないではないか。
驚愕の表情を浮かべて絶句していた顔が思い浮かぶ。
「死にたい…!」
便座の上で体育座りしながら呻く。
咄嗟のこととはいえ、一人になれる場所がここしかないことに情けなくなった。
『し…!?リン!?お、お願いします、出てきて下さい!』
『こんなことで死ぬなんてダメよ。しかもこんな場所でだなんて』
『死ぬなんて馬鹿なことを言うな!リン、頼むから出てきてくれ!』
でも、なんだか妙に落ち着くのはなぜだろう。
考えてみれば、前世でも何か辛いことがあった時はいつも、こんな風に一人膝を抱えていた。
いつだって、時が過ぎるのを待つしかなかった。そうして辛いことや苦しいことをやり過ごしてきたのだ。
(けど…)
ちらりと視線を上げた。先ほどからずっと、扉の外から声がかけられている。必死に凛に呼びかけられる声は、以前はなかったものだ。苦しい時も悲しい時も、たった一人で乗り越えてきた自分には。
『リン!お願いします!出てきて下さい!』
『仕方ないわね。こうなったら、私が』
『ヴィオラ!?だ、だめだぞ、ファイアは!』
この世界で出会った、自分を助けてくれた人達。
凛には何一つ持っている物などない。それなのに、なんの見返りもないのに、助けてくれた。
『仕方ない。私がやろう』
『やろうって何をするつもりですか!?』
『ちょ、まさか腕力で壊すつもり!?』
ひょっとしたら、初めてかもしれない。
こんな風に、誰かに心配してもらえるのは。
(――初めて、ではないか)
一度だけあった。あの時も、こんな風だった。
前世のことが、既に懐かしい。少しだけセンチメンタルな気持ちになりながら、ふっと息をつく。
『おい、彼女は大丈夫か?』
『…何してるの、ヴィオラ?』
『み、見ればわかるでしょう、エルバート、あんたも止めるの手伝って!』
『ヴィオラ、なぜ止める!?こうなったら無理にでも引きずり出すしかないだろう!』
『だ、ダメですよ、扉壊したら!』
心配してくれる人がいるというのは、ありがたいことだ。それが、これから一緒に旅をするかもしれない“仲間”となれば、嬉しいことではないか。まだそうなると決まっているわけではないが、そう思うだけで気持ちが浮上する。気持ちの切り替えは得意だ。よし、と気合を入れて立ち上がる。
(その前に、ちょっと―)
緊張がとけたせいか、はたまた気持ちが落ち着いたせいか、体が反応したらしい。
用を足そうとズボンをおろす。その途端、忘れていたお尻の痛みを感じて顔をしかめた。尻だけではない。体中が痛む。滑り込んだ背中も痛い。凛の後ろはどうなっているのかと、シャツをまくりあげた。
(…うう、じんじんする。お尻が割れてたらどうしよう)
確認しようとそうっと後ろを見た、その瞬間だった。
『もう待てない!開けるぞ!』
『ちょ―』
ドッカン!!!!
「―――え?」
「「「「「あ」」」」」
ノックの音とは到底思えない、ダンプカーがぶつかったような物音。
ズボンをおろしかけた中途半端な姿勢のまま、凛は固まった。ギギギギ、と音がしそうな機械じみた動きで、前を見る。そこには、凛と同じように固まった“仲間”(予定)がいた。
別作品も投稿しています。よろしければご覧ください。
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