その3 亡霊と神様
暇つぶしに読んでもらえれば幸いです。藤波真夏
その3ではアヤカシ草子に深く関わってくる人たちを紹介します。
藤原千智と瀬織津姫です。この二人は物語の核心を語る上では決して外せない位置にいます。
まずは瀬織津姫のほうからお話させていただきます。
瀬織津姫は古事記・日本書紀には描かれてはいないものの、水の女神・河の神としても有名な神様であまり表舞台には登場しないそうです。西日本のほうの神社では祭神としてお祀りしているところもあるそうです。その瀬織津姫に登場していただきましたが、史実とは多少異なりフィクションですので、改めてご了承ください。
これはネタバレになってしまうのですが、十六夜の本当の名前である「闇美津波姫」という名前ですが、適当につけたわけではありません。
闇美津波姫の元ネタであるクラミツハは日本神話に登場する水の神様です。女神ではなさそうなので多分男性の方かと思います。漢字は私の考えた当て字ですが、古事記・日本書紀にも書かれているそうです。(名前表記が違いますが)
そこから二人の水の神様の名前が誕生しました。
そして藤原千智と瀬織津姫ですが、瀬織津姫が神滅したことをきっかけに復讐に走りましたがこれは誰もが知っているであろう7月7日の「七夕伝説」がモチーフです。七夕といえば織姫と彦星ですが、織姫のモデルが瀬織津姫ではないか、と言われています。(私も驚きました)
離れ離れという点では合致しており、愛し合っていたという描写はあまり書きませんでしたが、相思相愛というイメージを持っていました。そこで七夕とは少し残酷なことをしますが、永遠に会えないという筋道ができました。
陽と千智の亡霊が対話するシーンがありますが、当初は考えてはいませんでした。
千智直筆の手紙とかにしようかな? と考えていましたが、むしろ陽が自分の前世や役割などを自覚させたほうがいいのかな、と思ってこのような形をとりました。
そして刻まれた運命に抗え、というセリフを書きました。これは私自身の体験からきていると思います。
私自身、「〜のくせに」と言われることが多く、プレッシャーを覚えることが多々ありました。そして失敗すれば、ひどいしっぺ返しが来ていました。
「そんな自分自身のことに縛られることなく、前に進んでほしい」という私自身への戒めでありエールとしてこのようなセリフを書かせていただきました。
千智のセリフをそのように捉えてくれたら、私もとてもスッキリします。
調べる上で私自身色々と勉強にもなって、楽しかったです。なんか七夕の見る目が少し変わった気がします。きっと七夕の夜に雨が降ると、織姫と彦星が再会の涙を流していると私は祖母から聞きました。今では、それも然りですが、千智と瀬織津姫が天界で再会して再会の涙を流しているように錯覚してしまうのです。
あ、ひどい妄想でしたね、すいません…。
最後まで読んでくださりありがとうございます。藤波真夏