実験スタート #1
場所はとある惑星の研究室。2人の男がモニターに映し出される映像と睨めっこしていた。
「……。冴木さん、これ、本気でやるんすか…?」
と、怪訝そうな顔で尋ねた。
「あぁ、もちろん!ていうかここまで来たからには試すしかない!お偉いさんには話通してあるから大丈夫大丈夫!!俺を信じろって、天田」
と、嬉々として答えた。
天田は、呆れ顔で俯きながら言った。
「どーなっても知らないですからね…。なんでこんなことやろうと思ったのか、自分でもわからなくなってきた…。」
冴木は満面の笑みで、天田の肩を叩きながらこう言った。
「ネガティブだなぁ、迷うな迷うなぁ!このために惑星一つ丸々買ったんだから!さぁみーんながどう動いてくるのか、見守っていこう!」
はぁ、とため息をつき、諦めた表情で画面に目を向けなんともやる気のない声で、カウントダウンを始めた。
「やっぱ、あんたには勝てそうにないなぁ、色々と。
んじゃいきますよー。5、4、3、2、1。
………スタート。」
この掛け声と同時にホログラムキーボードのEnterを押した。
「さぁ!"リアルシュミレート"の始まりだ!」
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遥か遠い未来。太陽系が太陽の膨張により崩壊し、地球もろとも消滅してしまった。幸い、人類は地球環境が狂う前に宇宙空間への脱出に成功し、地球に環境が限りなく近い惑星である「Koplar」に移動し生活していた。無事に危機から逃れた人類は次々と文明を発達させ、非常に長い年月をかけて元の暮らしを取り戻した。生活が安定してから約1ヶ月後、とあるゲームが世界中の若者の間で流行り始める。そのゲームの名は…
"リアルシュミレート"
日本領土のS-1区画に住む、大学3年生の月城 新汰、陽山 紅輝もそのゲームのユーザーである。
「なぁ、新汰、今月いくら稼げた?」
「今月は…だいたい24万カルだな。紅輝は?」
「俺は、約10万カル。新しく事業を始めてみたもののウケが悪い。このゲームのNPCはよーわからん。」
紅輝は頭を掻きながら困った声で言った。
新汰は少し茶化すように言う。
「まーそう絶望すんなって。粘り強くやってりゃぁ毎月20万くらいまで戻せるだろ。」
「あーあ、こんなんだったらもうちょい前の事業で金貯めとくべきだったか…くっそぉ…。」
顎に手を当て悩むそぶりを見せる。結構落ち込んでいるようだ。
「お前はコロコロ変えすぎなんだよ。もうちょい長い目で見てみるとかしないと、まーた失敗するぞ。だいたいこういうゲームはだな…ん?」
ここで新汰はある情報を目にし、喋るのを一旦やめた。
「リアルイベント?なんだこれ。」
「あーこれか、この情報なら昨日から出てたぞ。詳細は不明だが、ネット上ではかなり話題になってるな。リアルシュミレートが現実世界でプレイ可能か!?だってよ。」
と、苦笑いしながら紅輝は言った。
「へー面白そうだな!紅輝は参加するのか?これ」
「馬鹿言うな。詳細がほぼほぼ明かされてないイベントに行く気はねーよ。しかも、参加するために惑星移動が必要らしいぞ。これ。」
「開催場所は惑星ティファス…?ここって最近誰かが買い取った惑星じゃ…。」
すると驚いた様子で紅輝が聞き返す。
「買い取ったって…運営がか?」
新汰は表情曇らせながら答える。
「昨日深夜のニュースでやってたんだけど…半分寝ながら聞いてからよく覚えてないなぁ。確か学者の誰かっていってた気がする…。」
紅輝は手元の端末を手早く操作し、検索をかける。
検索結果が表示されると紅輝は目を見張った。
「……!!買い取った人物の名は冴木 秀。日本人学者だ。その金額は約8900億ドル…!?」
「はぁ!?1人でそんな…。アホだろ…。だいたい何が目的で惑星なんて…。いやもしかして、その冴木って人が運営なんじゃないか?」
紅輝は更に検索をかけ、冴木について調べ始めた。
「冴木は数々の賞を受賞している天才学者らしい。経済学を専攻しつつ、ゲームのグットデザイン賞も取ってる…。」
「なんだそりゃ…。こりゃあますますこの人が運営である可能性が高くなったぞ。よし、紅輝、行くぞ!」
「行くぞってどこに?まさか参加する気かお前!俺は行かないからな!」
「まぁそう言わずに行こうぜ!大丈夫だって!たかだかゲームのイベントだろ?もしいかないなら、そうだなぁ〜あれどうしようかなぁ〜」
ニヤニヤしながら新汰は言った。
焦った顔で紅輝が答える。
「わかった!わかったよ。行けばいいんだろ行けば!ただし、なんかあったらすぐに俺は帰るからな!」
「そうこなくっちゃ!日程は明後日の12時、空港集合らしいから、遅れるなよ。」
こうしてリアルイベントに参加することになった2人だが、この後大規模シュミレーション実験の被写体になるとは、思う由もなかった…。




