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3.わたしには見えない

2016/07/24 誤字、脱字の修正

「こいつはヤバいな、烏森健一……!」

 宇曽利は、城東ハイツに着くなり言った。なにがヤバいのか、俺に言わせればお前もヤバい。

「なにがだ……?」

 宇曽利は宮司をしているらしかった。昨日今日会ったばかりというわけではなかったから、かなり驚いた。もともとは亡くなったお爺さんが、俗にいう神主だったが、いまは彼女が継いだという話だ。そして、嘘か真か、エクソシストじみた徐霊も、神職の仕事の一つだということで、こうして城東ハイツまで来てもらっている。ちなみに、賽銭は弾めと言われた。無料ではないらしい。

「二階が途切れている」

 と、宇曽利は階段を指差した。

 たしかに、入居当初は少し驚いた。二階への階段は、全部で三つあり、直接それぞれの玄関に繋がっている。最初からこうではなかったらしい。建てられたあとの改築によるものだと、不動産屋から聞いた。

「誰の仕業か知らないが、それは悪意があるな。このアパートは、吹き溜まる(・・・・・)ぞ」

「な、なんだそれ……」

 雪など降る土地ではない。それなのに、いったいなにが吹き溜まるというのか。

 空はまだ明るい。太陽は相変わらず燦々と微笑んでいるのに、俺自身は、まるで真夜中の道路に突っ立っているような気分だった。視界が暗く青く沈んでいき、明確に現実とのズレを感じた。ぼろぼろと、足元のアスファルトが風化していく。

 まさかと思い、宇曽利を見やると、またあの目をしていた。カッと見開かれたまぶた。子供のころに家族旅行で行った青い池。それを思わせる瞳。青池をガラス玉に封じ込め、眼孔にはめ込んだら、きっとこういう風になる。

「霊魂というのは、道に沿って流れている。意思もなく、ただ、流れているんだ。わたしたち生者より、少しだけ上をね」

 上、と言って立てられた宇曽利の人差し指。その先に、そこはかとなく、暗い流れのようなものを感じた。ちょうど、アパートの二階くらいの高さだった。なぜだか、それに対しては、気味の悪さはいっさい感じない。

「綺麗に流れているからだな」

 俺の気持ちを見透かしたように、宇曽利は言った。

「つまり、城東ハイツは……」

「誰かがなにかを加えない限り、彼らは何色でもないんだ。生者にとっては、存在しないのと同じさ。でも、ちょうど彼らの流れに沿って建てられてしまったアパート。それが、城東ハイツだ。たぶん立てた当初は繋がっていて、問題なく流れていたものを誰かが断ち切った。彼らに対して、なにかしらの意図をもってね」

 だから、吹き溜まる。

 宇曽利の言葉が本当なら、俺の部屋がある二階には、とんでもないものが吹き溜まっている。だけど、気味の悪さは感じても、とくにアパート自体に異変は見当たらない。

「烏森健一。もう、取るものも取らず、このアパートから離れるんだ」

「ま、待ってくれ……。そんなにヤバいのか?」

 ヤバいんだろう。宇曽利の瞳は、相も変わらず煌々と青く輝いている。ちょっと風変わりなだけの、なんの変哲もないアパートを睨みつけ、頭から血を垂らす女を見たら、誰だって気付くだろう。ただ事ではないと。こいつはヤバいと。

「君は、すでに片足を突っ込んでいる。わたしのこの目が見えるんだろ。それがなによりの証拠だ。でも、アレ(・・)が見えないなら、まだ逃げればなんとかなる」

 アレ、とはなんだ。ズレた宇曽利の目は、ずっとアパートに据えられていた。降り注ぐ陽光と、セミの鳴き声と、暑さに身をよじる木々。そんな、初夏に佇む平凡なアパートだ。平凡な大学生が住む、平凡な住宅だ。いや、ちょっと贅沢な間取りだったか。いずれにしろ、俺にはアレなんてものは、見えない。

「おかしなところは、とくにないように見える。そんなことより、お前、頭から血が……」

「ん……。体質みたいなものだから。これこそ、そんなことより、だ」

 宇曽利は、自分の頭をぐいぐいと服の袖で拭った。彼女はいつも黒い服を着ていて、単純に趣味なんだと思っていた。だが、いまのを目の当たりにすると、黒い服しか選択肢がないのかもしれない。血を流すことが、あまりに日常的すぎて、血痕の目立たない服しか選ぶことができないんだ。

「色彩感覚が乏しいんだと思ってた。ごめん」

「急になんだ。張り倒すぞ」

 気が付くと、宇曽利の目は半開きになっていた。いつもの真顔にホッとする。

「友達の家でも、ネットカフェでもいい。とにかく、人がいて、活気のある場所でしばらく過ごすんだ。アパートには、わたしが良いと言うまで近付くな」



 ◆



 烏森健一。

 これから死ぬと予告された男。大学生。刑事に私立探偵を派遣され、もともとの依頼主は宮司という、なんとも稀有な状況にある人物。彼を見張り、殺人者から保護するためには、彼だけでなく周辺の情報も重要だ。とくに、依頼主である宮司には直接話を聞きたい。が――、

『そのとき、生きていれば可能』

 と言っていたそうだ。つまり、すでに何某かに殺害されている可能性があるということ。つまりそれは、烏森と同様に、その宮司にも危機が及んでいるということだ。さきほど携帯電話に連絡してみたものの、電源が切られているようだった。もしかしたら、こちらもすでに殺害されている可能性があった。しかも、殺人者は人間ではない可能性が高いらしい。

『ちょっと無理して警察を動員してもいいんだが、幽霊に殺されるかもしれない、といわれて警察が動いたら、大騒ぎだ』

 まったくだった。正直、私立探偵だって大騒ぎだ。

 幽霊など、わたしはまったく信じない。というより、関係がない。実在しようがしまいが、死者に手出しされるほど、生者は弱くない。そんなことを簡単にされるなら、この世の中は死者のものになっている。たぶん、殴れるものなら、わたしは幽霊だって殴り倒せる。

 ともあれ、わたしは、烏森の自宅である城東ハイツに来ている。道に迷っている人間を装い、携帯電話で地図を表示させ、困った顔をしながら周辺を観察した。ここで彼を発見できれば、御の字だった。

 時刻は十八時を回っていたが、空はまだ明るく、アパート全景を見通せた。一番大きな窓のある面を眺める。全部で六つの窓。二階建て、各階三戸の計六戸。不動産情報に載っていたものと差異はない。カーテンは、二階の真ん中――二○二号室だけ閉じられていて、薄く明かりがもれていた。

 空き部屋はないらしい。ここに来る前、この城東ハイツを管理する不動産業者に連絡し、転居を考えているから詳細をくれ、といって話を聞いた。それとなく、住人の話もいくつか聞いたが、あからさまに怪しい人間の話は出なかった。隠されているのだとしたら、さすがに電話だけではわからない。

 今度は、玄関がある方へ回ろうと足を踏み出したとき。ずりっと、靴底をアスファルトに擦った音がした。自分で出した音に少しビックリしてしまう。あまり履きなれていないサンダルのせいで、脚の取り回しに支障をきたしていた。たまらず苦笑する。パンツスーツばかりじゃなく、普段からいろんな服を着たほうがいいなと、反省した。

 うちの所長曰く、『変装は設定が細かいほどいい』らしい。それは、見た目だけの話ではないんだろうけれど、見た目の優先度が高いことは間違いない。今回、わたしは大学生に扮している。以前、数週間にわたっていくつかの大学で張り込み、平均的な服装を割り出した。そして、友人に頼んで、近い服を一緒に探しに行った。いまはその衣装を身に着けている。夏バージョンだ。卒業してしばらく経つが、まだ大学生で通るはずだ。通す。うるさい。

 と、そこで、わたしは違和感を感じた。自分の服装にではない。城東ハイツにだ。前面から見たこのアパートには、なにか妙なところがある。直感でそう思った。しかし、その違和感は、具体的な形になることはなく、もやもやと消えてしまった。

 烏森の部屋である二○三号室をなんとなく見やる。そこに誰もいないことは、さっき窓を眺めてなんとなくわかっていた。すでに時間的には夜に突入するころだというのに、肌をじりじりと焼く日差しがしつこく残っている。そんな日に、エアコンの室外機が見当たらない部屋の窓は締め切らない。誰もいない可能性が高かった。

 わたしは、彼の部屋をノックしようかどうか迷っている。ノックして、気配を探って、いない可能性をもっと高めたい。しかし、いざというときまで、彼の身辺にはなるべく近づかないほうがいい。関係者だと知れたら、殺人者に警戒されてしまうだろう。でも、そいつが幽霊だというのなら、こんな逡巡も無意味だ。だから、よけいに迷う。

 わずかな逡巡の結果、幽霊など存在しないという、わたしの意思を押し通すことにした。つまり、相手は人間だとして行動する。わたしの職業は、人間を相手にするものだ。決して、エクソシストではない。

 わたしは踵を返し、烏森健一を探すため、彼の通う大学へ向かおうとした。そのとき――。

 誰もいないと思っていた二○三号室から、小柄な女の子が出てきた。それだけなら、どうということはない、恋人かなにかだと判断しただろう。しかし、その彼女の様相が尋常ではなかった。後ろで束ねていたであろうワンレングスの長髪がこぼれ、紙のように真っ白な顔半分を覆っていた。そして、見えているもう半分には、いくつかの赤い筋が流れている。ふらふらと階段の手すりに近寄った彼女は、流れ出す鼻血をぐいっと腕でぬぐい――、落ちた。

「マジすか……!」

 わたしは思い切り地面を踏み抜いた。サンダルの紐がぶつりと切れた感触。ほとんど飛ぶようにして階段めがけて突進する。がーん、と鉄の階段がわたしに踏まれて絶叫を上げた。肩から手すりにぶつかりながら、転げ落ちそうだった女の子をどうにか抱えるようにして受け止めた。足と、肩と、小柄とはいえ人間を抱えた腕が、ちょっとどうにかなってしまったかもしれない。

「どうしたの!?」

 二階から声が降ってきた。七十代くらいのお婆さんだった。これだけ派手に騒げば、とうぜんの事態だ。目立つな、が基本の探偵としては、失格もいいところである。

「す、すみません! 友達の家に遊びに来たんすけど、熱中症かなんかだったみたいで、ふらっと……」

 わたしは咄嗟に取り繕う。女の子の血塗れの顔は、抱きかかえて見えないようにした。

「あら、あらら。救急車を呼ぼうかね……!」

 と、お婆さんは慌ててみせ、部屋の中へ戻ろうとした。

「いえいえ、大丈夫す。車で来ているので、このまま病院に運びます」

「そう? なんなら――」

 うちへ上がって休めと言われたが、それを固辞して女の子を車まで運んだ。少し離れた駐車場に、事務所で使っている古ぼけたキャロルという車をとめてあった。

「生きてるすか? 宇曽利さんでしょ?」

 軽く頬を叩いて、宮司に呼びかけてみる。胡乱としていた瞳が、やや震えたあと、瞳孔が閉まってわたしを見た。

「あ……葉月、さん? ほんとだ。長倉さんが言ってたとおり、眠そうな目、してる」

「宇曽利さんに言われたくないすねえ……」

 依頼主である宮司、宇曽利巫女(うそりみこ)のことは、入道太さんから予め聞いていた。宮司なのに巫女とか面白れえ、と言うと怒られるから気を付けろと言っていた。実体験らしい。アホだ。あの人は、一足飛びに相手の懐に入っていく。多少強引でも、そうしたほうが結果として良い関係になる人間は、意外と多いんだそうだ。

「平気? いますぐ手当ては必要?」

 わたしはバッグからタオルを取り出して、宇曽利さんの血をぬぐってあげていた。不思議なことに、どこにも傷は見当たらない。まるで、毛穴から血が吹き出ていたかのようだ。血汗症というやつだろうか。

「大丈夫です。申し訳ないのですが、このまま少し休ませてもらっていいですか?」

「いいすよ。狭い車でごめんね。いま冷房もいれるすから」

 わたしがエンジンをかけると、キャロルはぶるるっと震えて、勢いよく風を吐き出し始めた。

 宇曽利さんが、渡した飲み物を飲みながら大きく一息ついたのを見て、わたしは自分の体の点検を始めた。腕は、少し筋を痛めただけ。肩は、赤く内出血しているが、骨に異常はなし。足は、擦りむいてしまったが、サンダルのほうがむしろ重症。

 肩の内出血と、血に濡れたシャツが目立つので、濃い色のカーディガンを羽織る。足に絆創膏を張って、ヒールの低いパンプスに履き替えた。全体的に、かすり傷といっていいだろう。

「申し訳ないです……」

「問題ないすよ。宇曽利さんのほうこそ、ホントに大丈夫すか?」

 わたしは、にっこりと笑って見せた。事実、わたしは問題ない。うちの親父に殴られたときなんかのほうが、よっぽど酷い。

「はい。わたしも大丈夫です。もう、かなり落ち着きました」

 それは良かった。しかし――。

「いったい、なにがあったんすか?」

 わたしが聞くと、宇曽利さんは眠たそうな目でじっと見つめてくる。ちょっと照れくさい。まつげ長いなあ、などと思っていると、「へっ」と彼女は笑った。

「わたしが落ちたとき、葉月さんには、なにが見えましたか?」

 宇曽利さんの質問の意図は、なんだろうか。探偵に対する挑戦だろうか。たぶん違う。入道太さんの、『幽霊とか興味あるか?』という質問を思い出す。それと、意図としては同じだと感じた。だとすると、答えは否であり、わたしは、わたしが見たままを話せばいい。

「頭と鼻から血を流した黒尽くめのヤバめな女が、男の部屋からふらふら出てきて、貧血を起こしたみたいに階段から落ちた」

 宇曽利さんは、また真顔のまま、「へっ」っと笑った。

「よかった。長倉さん――、葉月さんにお願いして、ホントによかった……」

「それは、つまり?」

「わたしは、突き落とされたんです。二○二号室の住人に……。葉月さんがいなければ危なかった」

 さっきの質問は、まさに分水嶺だったわけだ。わたしの現実と、彼女の現実。わたしは、彼女の側に立つわけにはいかない。なぜなら、わたしは探偵だからだ。

「そんなもの、自分には見(・・・・・)えなかった(・・・・・)すねえ」

 わたしは、にたりと笑ってみせた。それでいい。事実、見えなかったんだし、わたしの担当はそこではない。

「はい。向こう側は、わたしに任せてください」

 小柄な体で、わたしには触れられないなにかと戦う彼女は、とても頼もしく見えた。不思議と、胡散臭いとは思わなかった。

 それよりも胡散臭いのは、あの婆さんだ。二○一号室に住んでいるという七十代の女性。最初、城東ハイツの玄関側を見たときに感じた違和感。その正体に気付くと同時に、婆さんの正体がわからなくなった。

「宇曽利さん。このアパート、二階への階段はすべて別個すよね?」

「はい。それが、良くない状況を加速させてる」

 わたしは、不動産情報をファイルケースから引っ張り出す。やはり、そこに載っている写真は、実際の城東ハイツとは別物だった。写真のアパートには、階段が一つしかない。二階は廊下で繋がっている。しかし、城東ハイツの二階は、玄関に直接階段がかけられている。

「宇曽利さんが落ちたとき、顔を出した婆さんがいたんすけどね……」

「うん? そういえば、烏森くんが、二○一号室には気さくなお婆さんが住んでるって……」

「あの婆さん、二○二号室の階段に立ってたんすよ」

「え!?」

 宇曽利さんが落ちるのを見て、二○一号室の階段を下り、二○二号室の階段を上って声をかける。そんなことをするわけがない。時間もない。婆さんは最初から、少なくともあのときは、二○二号室にいたんだ。そして、宇曽利さんは、二○二号室の住人に突き落とされた、と言った。つまりそれは、あの婆さんが少なからず関与しているとみて間違いない。

 入道太さんの資料によれば、あの婆さんは、“寺山淑子(てらやまよしこ)”という人で、二○一号室の住人だ。付属の別紙には、寺山淑子の家族構成と住所が書かれている。しかし、時間がなかったからか、続柄などの詳しいことは省かれていた。さらに、寺山淑子の名前を二つも書くという誤記をやらかしていた。あとで、これをネタに入道太さんを弄って遊ぼうと思った。

「おそらく、あの婆さんは今回の件に深く噛んでるすよ」

 宇曽利さんの話がなくとも、わたしは臭いとにらんでいた。直感ではない。わたしが宇曽利さんを抱きとめたとき、婆さんはハッとした。宇曽利さんじゃなく、わたしを見て驚いた。背が高いからとか、怪力女だからとかじゃなく、いるとは思わなかった人を見て、しくじったという顔をした。それだけでも、宇曽利さんがわたしという探偵を雇ったことは、正解だったように思う。

「あぁ……、そういうことか。失敗した。そうか、だから護符も効かず、うちにまで入られたのか……」

 宇曽利さんは、蒼白な顔で呟いた。

「どうしたすか?」

「烏森健一は、もっとずっと前に、招きに応じてしまっていたんだ。残された時間なんて、もうほとんどなかった……」

 宇曽利さんは、なにかに合点がいったようだった。それは、わたしの現実とは違う、向こう側の理由だろう。心なしか、冷房が強すぎる気がして、わたしはエアコンのつまみを弄った。

「婆さんが、烏森健一を殺そうとしている?」

 どうやって? なんのために?

「経験上、彼女は黒幕です。でも、もう一人います。生者ではありませんが……」

「死人すか……」

「二○二号室には、その人の遺体があるはずです。えぇと、どういうことかというと、おそらく――」

 そこで、宇曽利さんの携帯電話が、着信を知らせる振動を発した。画面には、烏森健一と表示されている。

「烏森!? わ、わたしは、烏森健一を引き戻すために、もう一度あの部屋に行ってきます。彼は……、まだ!」

 宮司は、その小柄な体躯に並々ならぬ闘志を湛えている。着信を知らせる携帯電話が、彼からの救難信号だとでも言うようだ。彼女の面構えは、まるで、SOSを拾った救助隊員のそれだ。引き止めるのは野暮というものか。危険だぞ、なんてのは、百も承知だろう。危険だからこそ、普通は逃げるような場面だからこそ、彼女のようなものは、行かなければならない。

「わかった。部屋には鍵をかけるように。それで、件の烏森健一は、いまあの部屋のなかに?」

「彼の体は、うちで寝ています。中身はおそらく、あの部屋に」

「ほ、ほう……?」

 わたしは目を細めて、フクロウの物まねをしてしまった。

「あの、葉月さん。お願いがあります」

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