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神霊はかく語りき②

 お・か・え・り・な・さーい!


 なんでそんな嫌そうな顔するのよ。え? 三生分の記憶が蘇って一気に疲れた?


 おかしいわね、肉体がないから疲労はないはずなのに。


 どうして三生分なのかって? ここでは、あの世界と関わり始めて以降の記憶だけしか有効にならないから、ってところかしら。


 どうだった今度は? うふ、そうよ、あれ、黒騎士ちゃんよー! 楽しかったでしょ!


 あら、ため息なんかついちゃって。


 え? だって、本人が、人間以外がいいっていうんだもの。


 影響が大きすぎる? だってそういう生き物だし。ちゃんとあたしたちの意図をくんで使命を果たしてくれているから問題ないわよ。


 そうよぉ、いい気になってた竜族は適度に間引いてくれたし、腹黒もいき過ぎた魔族はへこませてくれたし、お馬鹿すぎた獣族は調教してくれたし。


 これで、もうしばらくは均衡が保たれるでしょうね。平和なうちにもう一回くらい転生しておく?


 黒騎士ちゃんがいなくなってからがいい? そうなるとかなり長くかかるから、直であたしを手伝ってもらうわよ。


 え、やだ、今更! あたしの加護を一度受けた以上は一般人に戻られるわけないでしょ。


 どうしてもっていうなら、そうねぇ、白騎士ちゃん、いえ、聖王ちゃんの娘ちゃんあたりに肩代わりさせることもできるけど……あら、やっぱりいい?


 そうよね、白騎士ちゃんってそういう子よねぇ。親心ねぇ、ほろっとしちゃうわぁ。


 そう思うなら、他の人に肩代わりさせろって? いやん、それとこれは別・問・題! 白騎士ちゃん級の魂はなかなかいないのよぉ。


 ん、どうして未だに白騎士ちゃん呼びなのかって? それはもちろん、あたしたちが初めて出会ったときの思い出の呼び名だからじゃなーい!


 それとも、「全世界に光をもたらしたる聖王」ちゃんがいい? 前の「混迷の世を導く聖者」ちゃんでもいいけど。


 痛い? なに? 精神的苦痛? 白騎士ちゃんでいいの、そう。


 あら、そういう呼び名をつけるのはあたしたちじゃないわよ。そこまで干渉しないわ。


 え? 黒騎士ちゃん? あれはほぼ固有名詞よ。「破壊と再生の神獣」、役職名そのまんま。


「厨二病くっさぁ~!よし、それでいってみよー!」ってノリノリで黒騎士ちゃんは転生してったけど。


 え? 黒騎士ちゃんの享年? 聞いてないけど……白騎士ちゃんとのお別れは十五年前だったとかいってたかしら。


 やあねぇ、魂に年齢なんて関係ないわよ。時間の問題じゃないんだから。


 あ、そうそう、黒騎士ちゃんからの伝言、「人生、いや、人とは限らないけど、楽しんだもん勝ち!」ですって。


 あら、もう行くの? さすが黒騎士ちゃんの励ましはよく効く……違う?


 そうねぇ、今すぐというのは……あまり白騎士ちゃん向きじゃないけど、やってみる? 好き放題に暴れられるわよ。


 ほら、あれ、封印されし邪神のかけらとかいってたでしょ。そうそう、それ、聖王ちゃん時代には休眠中だったのよね。そうよ、あれは時々目覚めて暴れまわるように定められているの。


 今ならひと暴れして、さくっとやられてくるだけの簡単なお仕事よ。短期だし、悪くないんじゃないかしら。


 んー、そうね、五十年後くらいかしら? 孫ちゃんあたりとは会えるんじゃない? 敵としてだけど!


 大丈夫、大丈夫、黒騎士ちゃんがいるからすぐ片付けられるわよ。


 あら、やっぱりダメ? そうよねー、白騎士ちゃんだもの。


 地味な使命はないのかって? んー、もうちょっと経験が足りないわねぇ。あと五回くらい使命こなしたら、お望み通り、地味な使命につけるわよ、ひたすら裏方の。


 表に出ないし、直接、人前に出ることもないし。やってみたい?


 調停者って呼ばれるの。あたしの後継者。


 ちょっとぉ、なんで嫌がるのよ!


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