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grave ーTrue storyー  作者: 久遠芽愛
episode1 一本の白き刀
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第六部

設定を緻密にする程、文面にまとめるのが大変です。(自分で首を絞めてる)

【7月 18日 午前11時 学校にて】


 この世界はおかしい。


 かなりの猛暑日だった。世の中では今、地球温暖化が叫ばれている。地球温暖化…その単語を聞くだけでこの暑さが、どれだけ尋常が実感できる。

「死、ぬ……」

「おい雅雪。しっかりしろって」

 体育館の床に大量の汗が滴りたる。

 そう、今は体育の授業をしているのだ。

 いつも通りだ。

「なあ…顕治。バスケってさ…冬のスポーツだよな?」

 顕治はこちらに呆れた表情を見せた。

「また変な屁理屈が始まるのか?」

「……悪りぃ。」

 しかし時間という物は速く動く物。

 気づけば授業は終わり、午後を向かえているのであった。


「あれ、そういや高田は?休みか?」

 高田。クラス委員長である、誇り高き存在だ。多分。

「もう昼だぞ、気付くの遅すぎ」

「いつもの事だろ。…にしてもあいつ滅多に休まねえからな」

「お前、もしかして高田に気でもあんのか…?お。うっす、(もも)

「うっすうっすー!二人とも!」

 俺と顕治は昼休み、いつもなら二人席をくっ付けてホモホモしく食事するスタイルだが、今日は華が混じるようだ。

 忽那(くつな)桃。人気者の存在の女子だ。とても頭が良く、スポーツもできる。

 非の打ち所がない、まさにこいつの事だ。羨ましい。

 俺たちとは違うクラスだが、何と言っても幼馴染でね。

 いつも通りに三人で食事をしている。


 いつも通り…?


 俺はこの、たった一言に引っかかる。

「いつも通り」。そう、いつも通りだ。

 なのに何故…いつも通りじゃないモノを感じるのだろう。不安が込み上げる。

 夢の続き、か…?

「ユッキーどうしたの…?大丈夫?」

 桃が心配する。因みに「ユッキー」は俺の事だ。

「あぁ、大丈夫。寝不足だわこりゃ」

「ははっ。どうせまた授業中に寝るんだろ!」

「黙れ廃産物」

「酷いっ!?」

 夢の続き…夢の続き…

 昨日俺はとんでもなく変な夢を見たんだ。

 どんな夢…思い出せる。

「そう、グレイヴだ」

「どしたのユッキー?」

「こいつ最近流行りのキチガイになっちまったんだよ」

「うるせえ黙れ死ね」

「………」

 話の内容はともかく、記憶がまだ鮮明に残っている。

 昨日俺は、少女に誘拐された。

 更にはその少女、幽霊だった。

 そして、謎の研究室に連れ込まれ…

 その旨を、二人に話した。

「………と言う夢を見たんだ」

「お前創作好きなら小説くらい書いて出版しろよ」

「いや、悪魔で夢なんだ。夢……そう、夢…」

 夢……なのかな?

 夢じゃなかったら困る。

 俺、幽霊に狙われてる事になってたんだから。

「おいお前、顔色悪く無いか?」

「いや、大丈夫だが」

「なら良いんだが…」

 グレイヴ…

 幽霊が成仏するゲート。

 霊王…

 ルエイターの王、宇宙人。グレイブを破壊し、カルメルの魂を用い、復活を目論む幽霊。

 白妖刀………

 ………何故だ。

 夢と言えど、こんなに鮮明に記憶に残るはずがない。

 夢という気がしない。

 頼むから夢であってくれ。

「…………」




(貴方が刀を振らなければ、貴方は死ぬ)

 聞き覚えのある言葉が脳裏に蘇る。

 もうすぐ授業が終わり、放課後になりそうな時間であった。

 今夜もまた、悪夢にうなされるのだろうか。

「雅雪!」

「あぁ?何だよ」

 こいつの焦り方は何だ。

 この後デートでもあるのだろうか。

「今日さ…実は用事があってさ…」

「うん」

「掃除当番なんだ、今日」

「で?」

「あの…変わってくれないか?」

「デートか?」

「…違うわ!と、とにかく頼むわ!」

 とことんせっかちな奴だった。

 依頼を残すなり、顕治は早々と教室を去っていった。

(……明日殺す)

 面倒は承知の上。掃除道具を手に取る俺だった。


 この学校には掃除の習慣はあまり無い。

 掃除当番はクラスで約月1で回ってくるものの、サボる事だってできる。

 よって環境は劣悪。

 でもどうやら俺は綺麗好きな訳で。

 面倒と言いつつも、やり出せばそうでも無い。

 汚ねえ奴は嫌いだ、顕治。

 もう直ぐ俺だって掃除当番だろうが。

 俺は黒板の横に掛けてある、当番チェック表を手に取る。

 そして今月の当番の表があるページへ。

「……ん?」

 表中の、俺の名前がある日付は7月16日。

 今日は7月19日だ。

 …俺掃除当番やったっけ……?

 あれから三日…そうだ三日だ。

 何が起こった、この三日間。

 …思い出せ!この三日間の出来事を!

「……?」

 物音がした後ろを振り返る。

「………」


「…今夜の天気も……あまり良く無いですよ?ねぇ…」

 俺は正夢だったとは言わせない。

 しかし夢の中で出会った少女と、今目の前に居る少女は似すぎていたのだった。

「…雅雪、君?」

「お前…!」





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