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grave ーTrue storyー  作者: 久遠芽愛
episode1 一本の白き刀
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第五部

大分空いてしまいました。すみません。相変わらず幼稚な文面ですが、よろしくお願いします。

  【7月17日 午後11時 研究所にて】

 少女の警告と、教授の焦りに俺は緊張を感じた。

 単刀直入に彼女は言った。「幽霊が迫ってきている」と。

「お…おい!やられちまうぞ!?逃げた方が良いって!」

「…………」

 と、教授は手に取った白妖刀を、書類の広がる机の上に置いてあった、鞘に入れる。

 そしてその刀を━━━━

「なっ…何だよ…!?」

「…持っていけ。私の目的は、この刀の適合者を探し出す事だったのだ」

「適合者って…俺の…」

「セシルは初代にして、最期までよく戦い抜いたよ」

 彼は俺に刀を突き出す。

「紅葉。少年と共に━━━━」

「…い、嫌です!私も戦います!今回の敵の量は並じゃありません…」

 教授は少女に立ち寄る。

「紅葉、私の役目はこれだ。もう終わったのだ。後は彼に託そうと思う」

「そんな……。じゃあ、じゃあ教授は一体…?」

 教授は眉間にシワを寄せた。

「ヒューネラル、とか言ったなあの組織は。そいつらに情報を渡す訳にはいかんだろう」

「…ヒューネラルって何だよ」

「……時間が惜しい。次の時代を生きる少年。否、君は『カルメルの魂』を持つ人間だ。ついでにこれを持っていけ」

 教授は俺に、一つのUSBメモリを渡した。

 何かしらのデータが入っている、ということだろうか。

「良く分かんねえけど、逃げろって事か?」

「ああ。あいつらとここは任せてくれ」

 その言葉を聞くと共に、少女は俺を裏の出口へ誘導しようと、振り返る。

 振り返るその表情は、とても慈悲ある様な…教授と呼ばれる男に対してそんなものがあったような気がした。

 俺は研究所に背を向け、不穏な夜へ、再び走りかける。

 この、刀と少女と共に━━━。




【7月18日 午前0時 住宅街にて】

 ドン!

 俺はベットから盛大に落ちた。

「いでえええええ……!!ぐぅ……夢オチかよ…っ!」

 それにしても変な夢、というより夢の続きを見たようだ。

 まず昨日の出来事が夢なのか分からないが。

 あの少女…また出て来やがった。

 ここまで悪夢を見せるとなると、悪霊…とかそういった類になる。

「……てか、俺はいつ帰って来たんだ?」

 状況は前回と全く同じ。

 変わった事と言えば…

「これ?何だ?」

 それは俺の机の上のデスクトップパソコンに目を向けた時に気がついた。

 端子に見知らぬUSBメモリが刺さっていたのである。

 USBメモリ…?

 繰り返される夢の中での言葉…

 教授、USBメモリ…!

「後は…!?」

 俺はクローゼットを開けた。

「嘘、だろ…」

 クローゼットの中には、隠してあるように、刀がしまってあった。

 夢じゃなかったのか…?

 それともこれも夢なのか?

「雅雪君。貴方は目に見える物だけを信じ過ぎなのですよ」

「ッ!?」

 三度目の正直。

 俺の目の前に現れる少女が本物の幽霊というのだろうか。

「馬鹿なッ!そんなはずが…」

「先程の夢は、夢なんかじゃありませんよ?」

 俺をどれだけ否定すれば気が済むんだ。

「じゃあさっきの教授はどうしたんだよ?あの後…何かヤバかったろ!?」

 少女は黙り込んだ。

「教授は…貴方と一緒、と言えば分かってもらえるでしょうか…。貴方に託したんです、教授は」

 何を言っている、こいつは。

「そのUSB、見てもらえますか」

「……」

 俺は後ろを取られないように、と警戒しつつ、パソコンを起動させた。

「先の話で、貴方には『死者を蘇らせる事の出来る魂』…もとい『カルメルの魂』を持っている。それ故に、死霊から狙われている。これで話は通りますか?」

 カルメルの魂、ねぇ…

「雅雪君を狙う死霊の事は『ルエイター』と言います」

 ルエイター…。俺を狙う、死霊…

「となると、あんたは一体?」

「私、ですか?…うーん、一種の守護霊…的な感じですね。一応幽霊ですが、ルエイターとは違ってその人を見守る役割があります」

 じゃあこいつは安心安全の立ち位置で良いのだろうか。

 これは夢では無いのだ。非現実的でも受け入れるしか、無いのだろうか。

 そうこうしているうちに、パソコンが立ち上がる。

 そして俺はUSBメモリに入っていた幾つかのテキストデータに目を通し始める。

 何だこれ。学園祭でもやるのか?

 そう思わせるような、創作みたいな内容ばかりであった。

 データの量は少なくは無い。

 そんな中、最初に目を付けたのは、

「グ、レイヴ…?何それ」

 クレープかと思った。

「よく、資料を見てください」

「グレイブ、これか。えー…この地球上で唯一、異次元接触を可能とし、妖石の囲いを一つでグレイヴが成り立つ。………は?」

 そろそろ頭がイカれそうだった。

「要するにですね、青いタヌキが使うアレですよ…どこでもド」

「ちょっと待ったァァァァァァァ!!」

「ひっ!?ど、どうしたんですか!?」

「いや!ここでそれを言うと不味い、消される」

「えっと…何が……ですか?」

「色んな意味で、だ」

「………」

「………」

「ああ、メタ発言ですか、分かりました」

「まあその何たわ。どこでもドアみたいな物って事は、グレイヴを使えばどこでも移動できちゃうってことか。…あっ……」

 言っちゃった。まあいいか。

「しかしながら、グレイヴは繋がる側のグレイヴが無ければ移動手段としては成り立たないのですよ。例えば、ケータイ。メールを送っても、受信側のケータイが無ければ、そのメールは行き届かないでしょう?」

「なるほどな…不便っちゃ不便だが、使えば時代がまた一歩先に進むぜ?そのグレイヴはどこにあるんだ?」

「分かりません。そして、グレイヴはルエイターに支配されているんです」


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