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チョコレートは苦くもあります
何か言おうと千歳の方を向くが
千歳はもうクラスに移動していたようだった。
諦めて教室に向かうと俺は
衝撃的な場面に出くわした。
千歳が俺と同じ包装紙のチョコレートを
クラスの男子に手渡していたのだ。
「…俺は他の野郎と同じ扱いってか?」
俺は小さく呟いたつもりだったが
近付いてきていた千歳には聞こえたようで、
千歳は少し戸惑った顔になった。
それでも怒りが収まらなかった俺は
千歳に酷い言葉を放った。
「そうかよ、俺は彼氏じゃなかったんだな。
いいよ別に、こんな物、要らないから。」
俺はその言葉と共に
チョコレートを床に叩きつけた。
その瞬間だった、
千歳が床に崩れ落ちて泣き始めたのだ。
よく見るとそのチョコレートは
売っていた物ではなかった。
俺が前に好きだといった千歳特製の
チョコマカロンだった。
俺はその時気がついた。
『俺はとてつもなく酷いことをした。』と。