流れ星
バカップル短編第二段。
相変わらず大甘です。今回は少し?春都の独占欲も見えるかも。
その日、神風豹牙(jb2823)の家に泊まりに来ていた私は、
豹牙がお風呂に入っている間に手持ちラジオで明日の天気を聞いていた。
理由は、この家にテレビが無いからだ。
川の傍にあるこの家は、豹牙の手作り。
職人技とも思えるログハウスには必要最低限の水道と電気しか通っていない。
・・・というか、どうやって通っているのかも不思議だ。
テレビが無くても別にあまり興味が無いので、
私も豹牙も不便とは思っていないが、
流石に明日の天気だけは知りたいのでこうやって
豹牙が居ない間にラジオで聞いている。
そんな時だった。
ラジオから流れたあるニュースに私は目を見開いた。
「春都(jb2291)~? あがったよ~」
「あ、うん! おかえり~」
お風呂から上がった豹牙を笑顔で迎える。
もちろんラジオは既に鞄の中。
濡れた髪をそのまま放置する豹牙を座らせて、
タオルでわしゃわしゃしながら、さりげなく聞く。
「ねぇ、豹牙。 ちょっと後でお散歩行かない?」
「散歩? いいけど……もう真っ暗だよ?」
「うん、でも行きたいの……ダメ?」
「くすっ。 春都が行きたいならいいよ」
「ありがと!!」
どうしても外に連れ出したかったので、
ちょっとわがままかな? と思ったけど、
すぐに許しをもらったので嬉しかった。
その後、豹牙が湯冷めしないように時間を置いて、
わくわくしながら一緒に外へ出た。
少しずつ夏が近付いている今の時期の夜は、
寒くも無く、暑くも無く。
涼しくて過ごしやすかった。
「もうすぐ夏だね~」
「そうだね~」
「夏といえば……夏祭り!!」
「祭りかぁ……いいね。行こうね」
「うん!!」
なんて、手を繋ぎながら会話をしていき……結構暗いところまで来た。
そこで手を引いて歩いていた私は、ピタッと止まった。
「ん? どうしたの?」
「……豹牙」
ゆっくり振り向いて近付く。
ちょっと雰囲気が変わった私に、焦りだす豹牙。
「え? え? ど、どうしたの?」
「豹牙…………上……」
「へ?」
「上、見て?」
「上になにが……あ」
突然の事で言われるがままに上を向いた豹牙。
でも、次の瞬間ため息が聞こえたので、こっそりガッツポーズ。
「すげぇ……流れ星がたくさんだ!!!!」
そう、さっき聞いていたラジオで今日は
おひつじ座流星群が活動になるらしい。
澄んだ空がよく見えるこの辺りなら、と思って来て見れば
予想通り、とてもよく流星群が見えた。
「くすっ。綺麗だね」
「うん!!あ……もしかして、今日散歩行こうって言ったの……」
「あ! 豹牙!! お願い事しよう!!」
豹牙の言葉をわざと遮って、袖を引く。
優しい彼は、苦笑しながらそれ以上は聞いてこなかった。
「お願い事?」
「うん! 流れ星にお願い事を3回言うと、叶うんだって!」
「へぇ? 願い事、ねぇ……春都は何をお願いするの?」
聞かれて私は……微笑んだ。
「豹牙がずっと幸せでいられますように……」
「…………意外、だな。」
「え? なんで?」
「いや、さ……ずっと一緒にいられますように、とか。
春都なら願いそうだったから」
そう言って頭を撫でる豹牙。
私は微笑んだまま、撫でたその手を掴んで両手で握り締める。
「だって、ずっと一緒にいるのはあたり前でしょ?
私が豹牙から離れる理由がないし、
今更豹牙を手放す事も出来ないからね。
だから……そんな私のそばで豹牙が幸せであること。
私はそれを願うの」
独占欲が強くて、もう豹牙を手放すことが出来ない私は。
せめて、そんな私の隣で豹牙が幸せでありますように、
なんて身勝手なことを願う。
「……あのさ、春都ってバカだよね」
「はい?!」
大きなため息をつかれて何を言うかと思えば罵倒ですか?!
「なに言って……」
「俺が」
ぐいっと引っ張られたと思ったら、豹牙の腕の中に居て。
痛いと思うほど強い力で抱きしめられた。
「俺が春都にそんなに思われていて、
幸せじゃないわけないだろ?!
手放す事が出来ない?そんなの俺だって同じだ!
今更春都を手放せる筈なんて無いし、
俺が春都から離れる理由だってない!!
……星に願う必要なんてない。俺は充分幸せだ。
今も、これからもな」
ぎゅっと力強く抱きしめられて、震える豹牙の声に、
ああ幸せだなぁなんて思って。
胸の中で渦巻いていた不安が消えていった。
(ふふっ。 じゃあもう、願うことなんてないや)
(ああ。 願う必要もない。 春都の望みは全部俺が叶えてやるよ)
えーっと・・・独占欲全開?
糖度200?もう、書いている自分がイタイけど、楽しんでる自分も居ますね。ごめんなさい。