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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

東京ミッド・ナイト・サバイバル

作者: Reiji

これは実体験に基づき書かれた小説ではありません。

あくまで人から聞いた話をつなぎ合わせた小説です。

そしてこれは男の教科書です。

<比叡山・本堂(序章前夜)>

京都の北東に位置する比叡山に野原天聖教の総本山はある。

野原天聖教は1000年前に発足した占いの宗派である。

歴史のある占い宗派であり非常に当たるとの評判で、政財界にも多くの顧客を抱えている。

現在、182代教祖は野原光江、野原田吾作の母である。

野原光江著書の「あなたの人生を変える野原天聖教」「人生を諦めない野原光江100の言葉」などは今年のベストセラーであり社会現象となっている。

そんな野原天聖教の1000年の歴史の中で最大のピンチが訪れている。

大聖堂に集まった7人の女性。

あるものは泣き崩れ、あるものは怒りに我を忘れ周囲に怒鳴散らしている。しかし、いずれも憎しみの矛先は一人の男に向けられていた。

その男こそ野原田吾作である。

弟子たちがなだめようとしても7人の女達の怒りは収まらない。

ついに光江自ら話を聞く事になった。


話を聞いて光江は深いため息をつき、7人の女性の前で三つ指をそろえ土下座をした。

「このたびは我が息子・田吾作が皆様にご迷惑をお掛けしてしまい・・・大変申し訳ございません。」

それだけじゃ怒りがおさまらないわよ!!罵声が容赦なく光江に突き刺さる。

「そうですか、この度の愚行をわが息子に知らしめる他ありません。・・・皆の者!例の物を。」

光江は弟子に号令を掛けた。

しばらくして弟子は7つの大きな箱を持って来た。

「皆様に私からささやかな贈り物でございます。中に入っている贈り物で息子を煮るなり焼くなり好きにしていただいて結構です。女性を傷付ける男に息子を育てた覚えはありません。そんな男はもはや息子ではありません。そんな男・・・・殺してしまいなさい。」

言い終えると光江は不敵に笑った。


<序章>

東京・六本木。この街は日本中の欲望が集まり、人々は偽りの愛に一喜一憂する。

今宵も愛を餌に蝶を誘き寄せる一匹のサソリが獲物を求めてさまよう。

俺の名前は天馬光(てんまひかる)本名を野原田吾作(のはらたごさく)

なぜ本名を女性の前で名乗らないか、理由は二つある。

一つは本名を知られてしまうと足がついてしまうからだ。女性とは一夜の夢。

一晩に全てを掛ける事により最高の時間を過ごす事が出来る。(ただ、おイタをした後に問い詰められるのが嫌なだけなのだが。)

もう一つは田吾作ではあまりにも芋過ぎる。野原も春日部の幼稚園児を連想させる為、女性には失笑の的になってしまうからだ。

ちなみに俺は163cm、職業は自動車のセールスマン、年収は300万台と言っておこう。ルックスも良いほうではない。

しかし、夜の街では「スコーピオンの光」としてその地位を不動の物にしている。

狙った女は必ず落とす・・・スコーピオン(サソリ)という通り名の由来である。

こんなルックスで金も無い俺がなぜこんなにも女性を落とす事が出来るのか?

まあ、それは今晩の獲物を頂いてからにしよう。

ここは六本木のとあるビルにあるバー「サリトス」

店にはアクアリウムがいたるところに設置されており、熱帯魚たちが六本木の夜に鮮やかに舞う。ブラックライトの照明を中心とした店内ではまるで深海にいるような錯覚に陥る。

しかもオール個室。個室こそワン・ナイト・ラブへの方程式である。

閉じ込められた空間こそ人を解放する。

今宵も開放的になった雌が俺の横に座っている。

「素敵なお店ね。私こんな素敵なお店初めて~。」

先ほど道で声をかけた女だ。名前は真梨子?真理?真理江?名前は忘れてしまった。

とりあえず俺のバストスカウター(男には誰にでも付いている。)ではおそらく88cmのおわん型、左側の乳首が陥没している事が俺の目からは読み取れる。

顔が瓜実顔の女は性欲が強い・・・おそらく今晩は激しく行けそうだ。

「今夜、六本木に来て本当に良かった。君に出会えたんだから。この出会いに乾杯。」

「嬉しい・・・乾杯。」

この真理だか真理江だか解らない女は声をかけた時にはすでに酔っていた。

酔っている女にはクサイ言葉が一番効果的である。

乾杯をして俺は真梨子だか真理江だか解らない女の髪をなで、唇を重ねた。

一度唇を重ねたら、二度、三度は簡単だ。

だんだんキスを深くして真理江だか、真理だか解らない女の乳房をゆっくり揉み始めた。

「ん・・、あっつ・・・んん・・」

真理だかマリアだか解らない女は口の間からいやらしい吐息を漏らした。

今宵の一匹目は簡単だったな。

女なんてちょろいもんだ・・・。


<地味な女>

「勘違いしないでね、普段は初めて会った人にこんな事する女じゃないの。」

「解ってるよ。そんな女だったら声をかけないよ。」

初めて会った男にこんな事する女じゃなかったら逆に声をかけない。

とりあえず六本木で胸が大きく、馬鹿そうなOLがいないか探していたら真理子だか、マリアだか、マリリンだか解らない女を見つけた。

俺はもう一度マリリン(日本人だがとりあえず決定)とディープな口付けをした。

「ごめん、お手洗い行っていかな。」

「えー、寂しい。」

面倒くさい女だ。もし政府が「面倒くさい女処分法案」を作ってくれたらいいのにと心の底から思った。

「大丈夫だよ。すぐに帰ってくる。」

「待ってるわ。」

トイレに立つのも一つの作戦だ。キスをして、乳を揉んで、あえて焦らす。

「どうしてなの?」と女に思わせる。

押すのも大事だが、引くことも使えなければ女は落とせない。

トイレに向かう途中、バーのマスターが腕を組んでこちらに向かってきた。

「何か用か?」

「ご子息、最近少しお遊びが過ぎるのでは?」

実はバーのマスターは母親からのお目付け役である。

野原天聖教の跡取り息子に何かあってはならないと上京と共に付いてきた。

「いいって、女なんて所詮はゲームだ。俺はそのゲームに勝ち続けているだけさ。跡取り修行が始まったらこんな事できないだろ?今ぐらい遊ばせてくれよ。」

「やれやれ、せめて女性に刺されないよう注意して下さいよ。」

「巨乳ちゃんには一度刺されてみたいもんだね。」

バーのマスターが頭を抱えているのをよそに俺はようをたした。

手を洗い終え再度香水を振りなおす。本日はシトラス系のセクシーな香りだ。

香りは女性を落とす上で重要なポイントとなる。

元来、女は男より嗅覚が鋭い。

それは自分が持っていない免疫を求める習性があり、それを女は嗅ぎ分ける事ができる。

なので、香水は自分の好みや値段ではなく、一番人気の香水をつける事をお勧めする。

現代の女性が求めている免疫の匂いがその香水である。

前髪をワックスで整え決めてみる。よし、完璧!

鏡の中の自分に指を刺しながら言う。

しかし、鏡の隅にある異変を感じた。

白いワンピースを着た、髪の長い女性、何か持っている?・・・・斧?

すると鏡に映った白いワンピースの女が斧を振りかざした。

次の瞬間!鏡が斧によってバラバラに砕け散った!

俺は間一髪で横に避け難を逃れた。

そう思ったのも束の間、白いワンピースの女は斧を横に振り回した。

俺はもう一度避けたが、斧がトイレの壁に刺さった。

女は鬼の形相で斧を壁から引き抜こうとしている。

俺はその鬼の形相を見て驚いた。「・・・・奈々?」


俺が藤井奈々(ふじいなな)と出会ったのは合コンの席である。

「あの、藤井です。・・・よろしくお願いします。」

俺のチャラ友達の主催した合コンだが女性メンバーはなんとなく垢抜けない地味なメンバーだった。

その中でも一際地味だったのは奈々である。

案の定、少し前のファッションをしており、化粧も薄く、可愛らしいルックスを活かせていない。

男から相手にもされずおどおどしていた。

しかし、俺のバストスカウターは見逃さなかった。

藤井奈々 160cm B88 W61 H89 A型 24歳 お椀型

この狭い日本の土壌ではこの数値を叩き出す事は難しい。

俺はこの女を落とす事にした。

「隣いい?」

「あっ、はい・・・どうぞ。」

「楽しい?」

「ええ・・・まあ・・楽しいです。」

「俺、実はみんなで飲むの得意じゃ無いんだ。」

「え、本当ですか?なんか慣れてそう・・・」

「上手くあわせてるだけだよ。営業だし、職業病かな。」

「そうなんですか、私も合コンとか得意じゃなくて。」

「そうなんだ、一緒だな。」

まずは共通項を見つけ距離を近づける。

「普段は何してる人?」

「幼稚園で保母をやってます。」

「そうなんだ。子ども好きなの?」

「はい!大好きです!子ども達は天使ですよ。」

「そうなんだ、もっと話聞かせてよ。」

自分の得意な話は誰でも饒舌になる。奈々も例外ではない。

しばらく奈々は楽しくしゃべり続けた。

俺は聞き上手に相槌を打ちながら、話の途中で奈々の顔をじっと見つめた。

「?どうしました?」

「いや、子どもの事を話している藤井さんって素敵だなと思って。」

「そ、そんな、恥ずかしい・・・。」

かかったな。普段地味な女だから褒められていないんだろう。

ただ褒めるだけではなく急に褒める。これが効果的だ。

少しして席替えタイムで俺と奈々は離れた席に着いた。

その間にも少しづつ奈々に視線を送る。

奈々もちらちら俺を見ている。

奈々がトイレに立つ瞬間を俺は見逃さなかった。

俺は後をつけ偶然を装いトイレの前で待ち伏せした。

「あっ・・・トイレですか?」

「ん?まあね。それよりアドレス交換しようよ。」自然にフランクに言うのがコツだ。

「あ・・・はい。」

自然に言うことで意外にアドレスをゲットできる。

こうして藤井奈々のアドレスを手に入れた。

翌日から一日一回は必ずメールをし、少しづつ距離を縮めた。

2週間後、映画のチケットが余っていると言って奈々をデートに誘った。

公園のベンチに腰を掛けて話す。

「すごい面白かった。こーちゃんありがとう。」

「なーちゃん泣くから驚いたよ。」

ちなみになーちゃんとは奈々だからなーちゃんだ。俺は天馬光だから光=こーちゃんだ。

公園では子ども達が遊んでいる。

「私ね、幼稚園の子供達もかわいいけど、自分の子供が欲しいの。こうやって天気のいい日に家族で公園でピクニックするのが夢なんだ・・・。」

俺はまた顔をじっと見た。

「ちょっと、何?」

「子供の話してるお前、やっぱかわいいわ!」

「ちょっと!こーちゃん!やめてよ!」

「照れた顔もかわいいな。」

「やめてよ~~~。」

やっぱり可愛いなど、再度褒めるのも非常に効果的だ。

この女は完全に俺に心を許した。

その一ヵ月後、奈々は俺の前で股を開いた。


そんな奈々が今、斧を持って俺を襲っている。

子供が好きで、引っ込み思案な奈々が斧を振り回している。

「奈々・・・どうしたんだ?・・・そんなもの振り回すなよ。」

俺は壁から斧を引き抜こうとしている奈々に声を掛けた。

「・・ぎりもの・・・・せない!」

「ん?よく聞こえないな。何て言っているの?」

「裏切り者、許さない。裏切り者!許さない!!うあああああああああああああああああ!!!!」

奈々は斧を力ずくで引き抜き、俺に襲い掛かって来た。

俺はトイレから逃げ出した。

「あ~、もう!遅いぃ。」泥酔のマリリン(仮名)が俺に抱きついてきた。

「馬鹿!離れろ!!」

次の瞬間、斧が飛んできてマリリンの頬を掠めて柱に突き刺さった。マリリンの頬から血が一筋流れ出た。

「きゃあああああああああああああああああああああ!!!!」

マリリン(仮名)は尻餅をついて発狂している。脚を開いて尻餅をついている為パンツは丸見えで、恐怖で失禁している。顔は涙と鼻水でメイクがぐちゃぐちゃだ。これではまったく抱く気になれない。


奈々の目は充血し、もはや俺の知っている子供好きの奈々ではない。

奈々は柱から斧を引き抜き俺に飛び掛って来た。

するとマスターがすぐさま奈々を羽交い絞めにした。それでも奈々は振りほどこうと暴れている。

「ご子息!!!お逃げ下さい!!!!」

俺は頷きバーから飛び出した。


<プライドの高い女>

「はぁ、はぁ、くそ!なんなんだよ!」

俺は六本木ヒルズのベンチに腰を掛けた。すると携帯が鳴った。

ゴッドファーザー・愛のテーマ。俺がこの世で最も恐れている人物・・・・母親だ。

俺は恐る恐る電話に出た。

「もしもし、ママ?」先に言うが俺はマザコンではない。

「田吾作かい?日々精進していますか?」

「はい!日々精進しております!」思わず直立不動になる。

「嘘をついてはいけません。あなたの愚行にはもううんざりです。

貴方に傷つけられた女性達に貴方を殺すよう命じました。その女性達が貴方を殺しても私が政財界の方々に口利きしてもみ消してもらいます。」

俺は青ざめた・・・昔から母の言う事は全て本気だ。間違いなく俺を殺しに掛かっている。

「ただし、母親である私からの最後の愛情です。AM6:00羽田発アメリカ行きの飛行機を一台チャーター致しました。それに乗れたら貴方は生き残る事ができます。それでは田吾作、健闘を祈ります。」

ツー、ツー、ツー。電話が切れてしまった。

状況としては非常にまずい。ママのニュアンスだと女性達と言っていた。恐らく俺の命を狙うのは奈々だけではないだろう。だれだ?何人だ?

しかし、朝の6時までに羽田に行けばいいだけの事、今は六本木で最終がまだ残っているはずだ。

電車で六本木→大門→浜松町→羽田空港でいける。最悪はタクシーで羽田に向かえばいい。

ママ、悪いがこの勝負俺の勝ちだ。

「フェー、フェフェフェフェフェフェフェフェフェフェフェフェッフェ!!」

俺は心のそこから嬉しかったり、面白かったりすると奇怪な笑い声を出す。今がその時だ。

「パン!」

「フェ?」手元の携帯が真っ二つに弾け飛んだ。

チュン!チュン!チュン!立て続けに頭上から狙撃された!

俺は慌ててビルの影に隠れた。

チュン!チュン!チュン!明らかに俺を狙った狙撃は止まない。

「くっ、誰なんだ。」

ビルの屋上にいる狙撃手が誰なのか良く見えない。

一瞬、ビルの広告灯で耳の辺りが十字に光ったのが見えた。

十字の耳飾・・・俺があげたプレゼント。

おそらく、狙撃手の招待は田代香奈枝だ!


俺が香奈枝と出会ったのは異業種交流会である。

異業種交流会とは名目上であって体のいい婚活パーティーの様なものだ。

女どもはITや一流企業の男に貪り、俺の名刺など見ただけでゴミ箱行きだった。

そんな中、俺のバストスカウターが反応した。

B90 W60 H87 29歳 釣鐘型

その女はグリーンのパーティー用のドレスを身にまとい、細いヒールを履いており、肩まで伸びた髪にゆるいパーマをかけている。身に付けている物はブランド物が多く、ある程度の地位がある人間だと推測できる。

その女は男を物色しようとシャンパン片手にウロウロしている。

この女を落とそう。

「お一人ですか?」

「ええ、貴方は?」

「私もです。ああ、失礼。こういうものです。」

「天馬 光さん・・・自動車のセールスマンの方ですか?」

女の目が一瞬見下したようになる。

「私、田代香奈枝と申します。品川で経営コンサルタントをしております。」

自慢げに名刺を見せる。この女、相当プライドは高いな。

「経営コンサルタントの方ですか!それはいろいろご教授して頂きたい。」

「いえいえ、そんな・・・ところで自動車関係でしたよね。T社の車がまたリコールを出したようですが、原因はやはり企業の体質にあるのかしら?」

この女は俺を試している。まともな返答をしなければこの女の思う壺だ。

しかし、経済の話をしてこの女に勝てるはずがない。

「良くご存知ですね。さすが経営コンサルタントをされているだけある。しかし、一概に経営体質だけでは無いと思われます。以前リコールが起きた時、T社の経営陣は一掃されています。しかし、現場員は何も代わらず働いています。販売会社も同じです。あのリコールはお客様の手元に行く前に販社の人間でも気づくレベルです。販売会社の人間が自分の商品のメンテナンスに気をつけていればエンドユーザーに渡る前に防げた問題です。」

この香奈枝という女は自分の得意な経営の話で展開をしようと思ったのだろう。しかし、自分より頭のいい人間と話すときは相手の土俵で戦わない。必ず自分の得意分野で話をする。

そうする事により自分が教える立場になり、会話の上で優位にたてる。相手も自分を認めてくる。

今回の話も無理やりだが販売の現場の話に持ち込んだ。

しばらく俺は販売の話、旅行、美味しいお店、スポーツの話をした。香奈枝が気分を害さないように彼女の発言や考えには全て共感し、反応した。


会も終わり俺は香奈枝と二人で二次会に行くことに成功した。

「もう!やってやってらんないわよ~!どいつも、こいつも使えないのよ!!」

香奈枝は泥酔しながら部下の文句を言っている。

「みんな、私のいう事を聞いていればいいの!ロボットみたいな部下でいいの。」

そろそろ、ころあいだな。俺はある言葉を言った。

「それは違うと思うな。」

今まで全てに共感、賛同してくれた俺が急に否定をした事で香奈枝は鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔になった。しかし、すぐ様喰らい付いてきた。

「私が間違っているというの?なぜ?理由を具体的に答えて!」思った通りの反応だ。プライドの高い女ほど扱いやすいものはない。

「確かに君の部下は、君より劣っているかもしれない。一方で君は部下に何を教えた?君の行動は一人善がりで、組織としてふさわしくない。」

「くっ、けどそれは・・・」プライドの高い女はすぐに返してくる。ここで打ち合いになってしまっては喧嘩になってしまう。しかし、そういう時は・・・、

「なにより俺は君の事が心配だ。部下が育たなくて君が潰れてしまわないかが一番気になる。組織や部下の事なんかどうでもいい!俺は君が心配なんだ!」

「光さん・・・・」

プライドの高い女はまずは叱る、そして優しくする。この二つを効果的に使えば落ちない女はいない。

「光さんかぁ・・・、こーちゃんでいい。俺も香奈枝だからなーちゃんて呼んでいいか?」

「なーちゃんか・・・さっき会ったのに何か恥ずかしい。けど嬉しい。」

香奈枝は俺の肩に頭を乗せてきた。プライドの高い女ほどドMが多い。

香奈枝も例外じゃなかった。

俺は無理やり香奈枝を抱き寄せ、バーの真ん中で口付けをした。

唇を離す時、唾液の糸が二人を繋いでいた。

「俺の女になれよ。」ドMにはこの言葉が一番効く。

「はい。」香奈枝は催眠術に掛けられたように頷いた。

その晩、香奈枝は俺の前で股を開いた。


俺はビルの影に隠れながら慎重に香奈枝のいるビルに進入した。武器はライフル、至近距離からでは狙いにくいはずだ。屋上まで一気に駆け上がった。

勢いよく屋上へ続く扉を開けると赤外線の赤い点が俺の額に着いた。

香奈枝は俺が屋上まで来ることを予測していた。しまった・・・!

「久しぶりね。」

「ああ、こんな形でだけれど君にあえて嬉しいよ。」

「ふふ、相変わらず上手いこと言うわね。他に何人騙してきたの?私を含めて。」

「そんな、人聞き悪い。お前だけだ・・・」

チュン!

俺の頬を銃弾が掠めた。

「ふざけないで!!」香奈枝の目は怒りに満ちている。

「おい、止めるんだ。こんな事をして何になる?俺を殺したって君の人生に汚点が着くだけだ。」

「人生?キャリア?そんなもの今はどうでもいいの!そんなものはどうでもいい。そう思わせてくれたのがこーちゃんだった。けど、貴方は私を裏切った。だからこれは報復なの、当たり前の事なの。」

「それが人を殺すという事なのか?」

「そう・・・私は正しいの!」香奈枝は聞く耳を持たない。万事休すか・・・、俺は黙って香奈枝を見つめている。

「さようなら、私の愛しい人。」香奈枝は引き金に指を掛けた。

俺は覚悟をし目を閉じた。


ガシャン!!!

何かが激しく壊れる音がした。目を開けてみるとライフルに斧が深く刺さっている。

香奈枝のすぐそばに奈々が亡霊のように立っていた。

「・・・しないで、邪魔しないで!!ああああああああああああああああああああああああ!!!」

奈々は発狂して香奈枝に飛びついた。

「このクソアマ!!あんたこそ邪魔するんじゃないわよ!!!」

香奈枝も奈々の髪を引っ張り応戦する。

かの有名な巨匠・パブロ・ピカソは愛人2人に「どちらか決めて!」と迫られた時に「自分達で戦って決めなさい。」と言い放ったという。

愛人2人は取っ組み合いの喧嘩をはじめその横でピカソは「ゲルニカ」の作成に取り掛かっていたと言われている。ピカソが見た光景はこんな光景だったのだろうか?

2人の激しい取っ組み合いの隙をついて俺はビルから脱出した。


<人の女>

ビルから脱出した俺は大江戸線に飛び乗った。最終電車がタイミングよく駅に到着した。

ふぅ・・・、俺は一息つくため席に腰を下ろした。ここから大門まで寝ていこう。

目を閉じた瞬間!車両内の窓ガラスやつり広告がけたたましい音を立てて弾けとんだ。

パラララララララララ!!その音と共に乗客の悲鳴がこだまし、列車内が蜂の巣になっていく。

俺は座席の物陰に隠れ銃撃犯を確認した。

「こーちゃん!隠れてないで出て来なさいよ!!」

その女はフェミニンな服装とそれに不釣合いなサブマシンガンを片手に狂ったようにわめき散らしている。

怪我をして動けなくなった乗客に「邪魔よ!!」と言い放ち、蹴りを入れている。

俺はあの女を知っている。

あの女は上谷久美(かみやくみ)だ。


俺が久美と出会ったのは六本木のクラブだった。

奈々が出席していた地味な女の合コンでもてあましていた俺は、ワンナイトラブを求めクラブに足を運んだ。

かつてはディスコと言われた男女の社交場も今ではクラブと呼ばれ、若年齢化が進んでいる。

クラブは合法的にナンパのできる桃源郷である。路上ナンパよりも格段に成功率は高い。

狙い目はダンスホールから離れて休んでいる女の子、酒を持っていない女の子、酒の注文で並んでいる女の子である。

ナンパの第一声をどうしようと悩む世の男性は多いと思われる。

しかし、粋な殺し文句よりもシンプルな言葉で話しかけた方が引っかかりやすい。

「こんにちわ」「どこから来たの?」「お酒おごろうか?」「このクラブよく来るの?」

上記が代表的な例である。

それとナンパで一番重要な事、それは「失敗を恐れない事」である。

女は世の中に星の数ほどいる。そのうちの一人に無視されようが、ビンタされようが、消えてと言われようが星の数ほどいる女の一人だ。チャンスはいくらでもある。

女性に話しかけるのが緊張するのなら豚の貯金箱だと思えばいい。しゃべる豚の貯金箱に頭から水を掛けられようが、興味ないと言われようが、消えてと言われようが所詮は豚の貯金箱だ。

気にする事は無い。

久美に話しかけた時は確か「お酒おごろうか?」だったと思われる。

「え!いいの?」ちなみにこの女は久美の友達である。女性が一人でいることは少ない。久美はこの時友達と二人で来て浮かない顔をしていた。友達の顔は覚えていないが俺のバストスカウター久美に反応した。

B91 W63 H93 A型 25歳 御椀型+丸型

「いいよいいよ、好きなの頼んでよ。」

「じゃー私はぁ、シャンパン!」久美の友達が頼む、お前じゃねーよ!

久美はキティを頼んだ。

「カンパーイ!!」

「二人とも可愛いね。二人はどういう友達?」

「私達、会社の同僚なんですよ。」久美の友達が答える。だからお前じゃねーよ!

しばらく、話していると久美はどうやら友達の付き添いで来たらしい。

何とか友達と久美を引き離して二人の時間を作りたい。

「踊りに行こうよ!」俺はダンスホールを指差した。

「うん!いくいく!!」久美の友達が元気よく答える。何度も言うがお前じゃねーよ!

俺達三人はダンスホールに入り踊り狂った。

俺は少しして久美の隣に陣取った。

俺は久美の耳元で話しかけた。

「もう一度飲みなおそうよ!もっと話したい。」

「え、けど、友達と二人できたから・・・」戸惑う久美。

「いいって、また合流すれば。」

俺は久美の手を少し強引に引っ張りダンスフロアから出た。

お酒を飲みお互いほろ酔い気分になり俺と久美の話も弾んだ。

「久美ちゃん面白いね!アドレス教えてよ。」

すると久美の顔が曇った。

「ごめんなさい。私ね、今、彼氏がいるの・・・、だから・・・その。」

この台詞を聞いた時恐らく多くの男性が諦めるだろう。しかし、それは多きな落とし穴だ。

皆さんも振られた経験はあるだろう。その中にこんな台詞を別れ際に放たれた男性も多くないか?

「他に好きな人が出来たの。」

女とは常に男を品定めする生き物である。女を清い生き物だと思っている男性がいるならその考えを今すぐ燃えるゴミに捨てるべきである。

女は狡猾で男の1000倍強い。古来より怒ればむくれる、叩けば泣く、殺してしまえば化けて出る。お菊さんも、お岩さんも、般若も、雪女も、鬼婆も全て女性である。

話は戻るが男を品定めしている女達は付き合っているという口約束などあって無いようなものである。

それに、美味しい無農薬野菜には必ず虫が付いている。

いい女がフリーでいる訳がない。彼氏がいるという事はいい女の当たり前の条件だと考えた方がいい。

「・・・そっかぁ、残念だな。じゃあ、友達になろうよ!今度皆で飲みに行ったりしようよ。友達なら問題ないでしょ?」

「え・・・あ、友達なら・・大丈夫だよ。」

こうして俺は久美と番号を交換することに成功した。

ここからが重要である。彼氏のいる女は意外と彼とのつながりが強い場合がある。

しかし、所詮は他人同士、不満は必ず出てくる。

その不満を聞いてあげる相談相手になりきる事が第一歩だ。

久美の場合は彼氏が最近かまってくれないと言うのが悩みらしい。

「デートを約束しても予定が出来たってすっぽかされるの。ひどくない!」

①「ひどいな・・・、彼女より重要な予定なんてあるのかな?」

「まさか、他に女が出来たとか?」

②「そんなことは考えすぎだよ。なーちゃんより可愛い子なんてこの世にいないよ。それになーちゃんが好きになった人なら俺は信じてあげたいな。」

「こうちゃん・・・、やさしいね。」

③「まあ、いつでも連絡してくれよ。なーちゃんが困ったときは俺が助けるから。」

「うん、ありがとう。」

ここで重要なのは不安にさせる事、彼氏の悪口を言わない事、いつでも相談に乗ってくれると思わせる事である。

①で女がいるのではと思わせる。

②では悪口は言わず相手を上げる。

③で心の支えになる。

①②③のローテーションを守れば案外簡単である。

ちなみに感の良い読者様ならお気づきだろう。女のあだ名を全て「なーちゃん」に統一している。

たとえば違う女と会っていた時、名前を言い間違えた経験は無いか?男の浮気は大体名前の言い間違いでボロが出る。それならあだ名を統一してしまう方が浮気の成功率は上がる。

ちなみに上谷久美(かみやくみ)でぜんぜんなーちゃんでは無かったが、バナナが好きだったので無理やりなーちゃんと命名した。

ゴリ子とかのあだ名でなければ呼んでいるうちに様になってくる。

そして、人の女に手を出した時に最も最悪なのが自分の存在がばれた時だ。


その時は来た。ある日「どうしよう、彼氏が怒ってる。」と久美から連絡があった。

選択肢は二つ、逃げるか奪い取るかである。

よっぽどの女で無い限りは前者をお勧めする。

しかし、おれのバストスカウターが反応するような女である。俺は後者を選択した。

喫茶店で俺と久美、久美の彼氏が座る。彼氏は鼻ピアスに金髪のロン毛、いかにもアホそうである。

「てめー!よくも俺の久美に手出しやがったな!」彼氏はすごんでくる。

この手のタイプは一番やりやすい、俺はこの手の男がめんどくさい女と同じ位嫌いだからである。

悪いが容赦はしない。

まずは場の空気に飲まれない事、「てめー!よくも俺の久美に手出しやがったな!」をメイドが言っていると思えばいい。「ご主人様、私の久美様に手をだしちゃいましたか?」頭の中でアニメ声に変換すればさらに笑える。

「てめー!何笑ってるんだよ。」

これは失礼。

「君は彼女がどれだけ悲しんでいたか知っているか?俺はそんな彼女を見ていられなかった。俺は彼女さえ幸せであればそれでいい。しかし、俺の愛する久美をこれ以上苦しめるのは止めろ!」

こういう時は毅然と言い放つ、誰よりも彼女の事を愛している事をアピールする事だ。

「ふざけんじゃねー!」彼氏は俺の右頬にパンチを喰らわした。

「きゃー!!」久美が悲鳴をあげる。

チャンス!俺は激しく机の物と一緒に雪崩落ちるように倒れた。派手に倒れて周囲に暴力を振られた事をアピールする。

「俺の事は好きなだけ殴ればいい。しかし、久美をこれ以上苦しめるな!」

痛いのは我慢しもう一度言い放つ。2~3発殴られても当たり所が悪くない限り人は死なない。

「くっ!てめー!」彼氏がもう一発ろうとした時、

「もう、やめてーーーー!!」

久美が泣きながら大声で叫んだ!

「としくん最低!人を傷つける人と私はもうやっていけない!もう終わりよ!帰って!」

久美は俺に抱きつき泣いている。

「けっ!こっちこそ願い下げだ!この、浮気女!!」

さようなら、としくん。君には負け犬が良く似合うよ。君の彼女・・・元カノは俺がたっぷり可愛がってやるよ。ふぇふぇふぇ・・・・。

「こーちゃん、大丈夫?痛くない?」

「久美を守れたんだ。こんなの何ともないよ。それより・・・ごめんな、泣かせちゃって。」

「こーちゃん・・・大好き!」

久美はもう一度俺に抱きつきキスをした。

その一週間後、久美は俺の前で股を開いた。


その久美に俺は追い詰められている。

パララララララララララ!!

その音がするたびに列車内が地獄絵図に変わる。

俺は隙を見て前の車両に逃げた。

「逃がさない!!」久美が俺に向かってサブマシンガンを放つ。

「ぐあぁ!」俺は2発右肩に被弾した。どす黒いネバネバした血液があふれ出てくる。

早く止血しないとマジで死ぬ、俺は席の影に隠れた。

「こーちゃん・・・、かくれんぼは終わりよ。早く出て来なさいよ。私の幸せを奪った愛しいこうちゃん。」パララララララ!!!銃撃は止まない。

「さっきね!としくんとたまたま街で会ったの。頭の軽そうな女といちゃついてたわ。

だから、このマシンガンで蜂の巣にしてあげたの・・・・女と一緒にね。

としくんとその女ね、いろんなところに飛び散っちゃって人間のかたちしてないの。赤い血が噴水みたいで綺麗だった・・・・今度はこうちゃんの噴水が見たい。あは、あははは、あ母は母は母は母は母は母は母は母は母はははははははははははははははははははははは!!!!」

やばい完全に狂ってる。どこか逃げ場所は無いのか?

俺はあたりを見回した。すると俺の顔を風が撫でた。そうか!

俺は一か八かの勝負に出た。

3、2、1!マシンガンで割れた窓から俺は勢いよく窓の外にダイブした!


<年上の女>

俺は勢いよく地下鉄から飛び出した。反対車線から地下鉄が来ていたらアウトだったが、何とかそれは免れた。真っ暗闇の中を俺は負傷した肩を抑えながら走る。

傷口から血があふれ出てきて止まらない。「はあ、はあ、はあ・・・・」

心臓の鼓動と共に激痛が走る。俺は次の駅を目指し走った。

しばらくして赤羽橋駅にたどり着いた。ここから浜松町までならタクシーを拾えばすぐだ。

俺は力を振り絞り駅の外に出た。

冷たい風が俺の頬をなでる。俺はその場にへたりこんだ。

今まで俺の彼女達が持っていた武器は斧、ライフル、サブマシンガン。おそらくサブマシンガン以上の武器は女性では扱えないだろう。勝機は見えた。

コツ、コツ、コツ・・・・

ハイヒールの靴音が聞こえてくる。「ずいぶんボロボロね。いい男が台無しじゃない。」

俺は声のするほうに顔を傾けた。そこには月光に照らされた大島美佐子(おおしまみさこ)が立っていた。


俺が美佐子に出会ったのは出会い系サイトだった。

「最近、夫が冷たいです。よかったらメールから仲良くなりたいです。」

そんな書き込みに返答したのが俺だった。

夫への不満や愚痴を聞きながら少しづつ美佐子と仲良くなった俺は、美佐子と会う約束をした。

吉祥寺の指定したカフェで俺はダージリンをすすりながら待った。

「あの・・・ルパンさんですか?」ルパンは俺のサイトネームだ。

「みーさんですか?はじめましてで・・いいですかね?」

「思ったとおりの人でした。私・・・おばさんでがっかりしたでしょ?」

そんな事はございません。なぜなら俺のバストスカウターがギンギン反応していますから。

B95 W64 H94 32歳 垂れ型 O型 

身長は172cmと長身のモデル体系だ。主婦にしておくのはもったいない。

しかし、流石は32歳、主婦。服が地味すぎる。

これは調教が必要だな。

しばらく俺と美佐子はたわいも無い会話をして盛り上がった。

「旦那さんとは出かけないの?」俺は唐突に聞いてみた。

「・・・あの人、もう私には興味が無いんです。あの人から見たら女じゃないんです。」

少し悲しみを帯びた笑顔が俺をくすぐる。

「そうかぁ・・・・よし!遊園地行こう!」

「え!ちょっと・・・急に言われても・・・。」

流石に美佐子は戸惑いを隠せなかった。

「いいから行こうぜ!」俺は美佐子の腕を引っ張りカフェを後にした。

すぐさま俺は車を飛ばし、横浜みなとみらいまで車を飛ばした。

みなとみらいで俺と美佐子はジェットコースターや観覧車に乗って沢山はしゃいだ。

一緒にソフトクリームを食べてて休憩をする。

「あっ、口についてるよ。」

美佐子は俺の口元をハンカチでぬぐった。

それは付いているに決まっている。付けるように食べたのだから。

年上の女には母性本能をくすぐらせる事が勝利への第一歩だ。

その日はみなとみらいで一日中子供に戻った様に遊んだ。


何回か美佐子とはデートを重ねた。

原宿でデートをした時の事、

「あっ、あの子の服可愛い。」

美佐子の目線の先には丈の短い花柄のワンピースを着た20代前半くらいの女性が歩いていた。

「私もあと5年若かったら着てみたかったなぁ。」少し自虐的にため息をつく。

「着ればいいじゃん。」

「無理よ。あれは若い子が着るから似合うのよ。私みたいなおばさんが着たら笑われちゃうわ。」

「けど、俺はなーちゃんがあのワンピース着てる姿見たいな。」

ちなみに美佐子は中野区在住なのであだ名はなーちゃんだ。

「もう、こーちゃん困らせないでよ。私みたいなおばさんが着たらいい笑いものよ。」

「なーちゃんは服を選ぶのは俺に見てほしいから?それとも待ち行く人に振り向いてほしいから?」

「それは・・・こーちゃんに可愛いって言ってもらいたくて・・・・。」

「よし!なら決まりだ!」


その一時間後、俺たちはそのワンピースが売っているショップの試着室にいた。

俺が更衣室のカーテンの前に立っていると、美佐子がカーテンからひょこっと顔を出した。

「着たけど・・・・やっぱり、恥ずかしいよ・・・・。」

「いいから、見せてみろって!」俺は強引にカーテンを開けた。

そこには丈の短い花柄のワンピースを着た美佐子がモジモジしながら立っていた。

元々スタイルのいい美佐子なので短いワンピースから美脚が出ており大変魅力的あった。

「いいじゃん。君はどう思う?」俺はすぐ近くにいた女性店員に聞いてみた。

「チョー☆可愛いジャン!おねーさんスタイルいいから超似合うし!」

ちなみにこのアホ店員のマイかマイミか解からない女は美佐子が試着をしている間に番号を聞きだし、翌日頂いた。好き嫌いなく食べないと大きくなれないと奈々が幼稚園児に教えていたからだ。 

「そうかな?ふふふ。」美佐子は思いの他、上機嫌らしく鏡の前で何度かまわって見せた。

「なーちゃんは俺の前では一人の女の子だよ。年齢とか関係ない。俺の目の前にいるのは俺の大好きな女の子だよ。」

「こーちゃん・・・ありがとう。」試着室の中で俺と美佐子はキスをした。

その二時間後、美佐子は俺の前で股を開いた。


そんな美佐子が俺を見下ろす様に立っていた。

「悪いな、怪我しちまった。ちょっと手を貸してくれるか?」俺は手を差し出した。

その手を美佐子は思い切り叩いた。「触らないで!汚らわしい!!」金切り声がこだまする。

「あなたは、私を騙した。愛してるって言ったのに・・・・それは全て嘘なの?」

「うそじゃない。俺は君を・・・」

「言い訳は聞きたくないわ!!」美佐子は頭をかきむしりながら叫んだ。

「貴方は私の手で殺してあげる。私の手で貴方を死刑にするの。」美佐子の目は血走っている。俺は何とか立ち上がり身構えた。

見たところ美佐子は武器を持っていない。ショルダーバックの中から何かを取り出そうとしている。

女性物のショルダーバックに入る代物など拳銃までが限度だ。幸い今は橋の上にいる。

拳銃の場合はすぐに川に飛び込めば暗くて照準を合わす事が出来ないはずだ。

しかし、美佐子の手には意外な物が握られていた。小さな無機質の笛のような物だ。

美佐子はそれを口にくわえると思い切り吹いた。

フィーと少し間の抜けた音が辺りにこだまし、俺は思わず笑いそうになった。

しかし、その笑いもすぐに吹き飛んだ。茂みから黒い物体がすばやく飛び出てきた。

それは二頭のドーベルマンた。

グルルルルルル・・・・二頭は俺をにらみつけ、低い体制で威嚇している。

「お行き!」美佐子がそういうと二頭のドーベルマンはものすごい勢いで襲い掛かってきた。

おい、マジか!!

俺は必死に走って逃げた。

しかし、所詮は人間と犬である、一匹が俺の右ふくらはぎに噛み付いた。

「ぐわあ!」歯が食い込んでいる事が解かった。

俺は近くにあった鉄パイプでふくらはぎに噛み付いているドーベルマンを思い切り殴りつけた。

ドーベルマンは離れたものの、さらにもう一匹が右腕に噛み付いてきた。激痛が右腕に走る。

右腕を近くの壁に思い切りぶつけ噛み付いた一匹を引き離した。

俺は壁を背中に鉄パイプを振り回しドーベルマンが襲ってこないように抵抗した。

ドーベルマンも体制を低くし襲い掛かるチャンスを見計らっている。

しばらくにらみ合いが続き、体力の限界が近づいてきた。

先ほど噛まれた右ふくらはぎが痛み、俺は思わず膝を付いてしまった。

その瞬間を逃すはずがない。二匹は勢いよく俺に飛び掛ってきた!

万事休す!そう思った。

しかし、次の瞬間!二匹のドーベルマンが炎に包まれた。

キャイン、キャインともだえているうちに二匹は動かなくなってしまった。

「ちょっと、邪魔しないでくれる?オバサン。」

俺と美佐子は声のする方に顔を傾けた。

そこには金色に染めた髪と、小麦色の肌をした小さな女の子がいた。

「・・・・由紀!」俺はその子の名前を読んだ。

「こーちゃん久しぶり!元気かな~?」

その明るい笑顔がなぜだかものすごく不気味で恐ろしく感じた。


<年下の女>

「いらっしゃい!おにいさん安いよ!よってかない?」

俺が具志堅由紀(ぐしけんゆき)に出会ったのは去年の雪の降る寒い日だった。

飲み屋を探し錦糸町をさまよっていた時に彼女に声を掛けられた。

「悪い、持ち合わせないんだ。またな。」子供に興味の無い俺は呼び込みをやっていた由紀を軽くあしらおうとした。

「わー、待って、待って!!ビール200円にするから、寄って行ってよ。」由紀は俺の前に立ちはだかった。しつこいガキだ。俺は無視をしようと思ったが、ジャンパーの下に隠れるふくらみが気になった。

「君、ジャンパーの下はTシャツ?」

「そう、由紀は雪に負けない元気な子!ほら、Tシャツも由紀の地元・沖縄の海人Tシャツだよ。可愛いでしょ!」由紀は自慢げにジャンパーを開きTシャツを見せた。

ピコーン!!俺のバストスカウターが反応した。B87 W60 H88 18歳 丸型 やや陥没

こいつはダイヤの原石だ。俺は逃すまいと由紀を落とすシナリオを考えた。

「丁度飲み屋探してたし、お姉ちゃん可愛いから行くよ!」

「やったぁ!!お兄さん男前!!こっちだよ!」由紀がキャッキャ騒ぎながら店まで誘導してくれる。

案内された店は沖縄テイストの明るい雰囲気だ。結構満員で店の中は騒がしい。

「ゆきちゃーん!ビールお変わり!」

「あいよー!よろこんで!」

由紀があちらこちらとせわしなく動く。どうやら由紀はこの店の看板娘のようだ。彼女目当ての客も多い。

「お兄さん!何にします?」

「とりあえず、生とあとおすすめは?」

「ミミガーが美味しいよ!ここにきたら是非食べてほしいな。」

「じゃー、それと由紀ちゃんの笑顔をもらうよ!」

「あはは!よろこんで!」

しばらく俺は酒を楽しみながら時々注文を取りにくる由紀と話をした。

由紀は沖縄から上京してきた専門学校生らしい。

将来は介護士になるのが夢でこの沖縄居酒屋でバイトをしている。

俺は友人と一緒の時や錦糸町を通る時は必ず由紀の店に立ち寄った。

皆さんは俺がワンナイトラブばかりを狙っていると思われがちだが、女を落とす上で最も重要なのはマメである事である。

マメに足を運ぶ、マメにメールする、マメに電話する、マメに話しかける。その一発づつの積み重ねが大きな一撃になる。

しばらくして何の苦も無く由紀のメアドをゲットできたのは親しくなるためにマメに店に通ったからである。

最初のデートでは二人で海にドライブに行った。

女、特に年下の女は男の運転に弱い。男性が女性が足を組む姿にエロスを感じるのと同じで、女性も男性の運転する姿にエロスを感じるのだろう。

車の中で由紀は良くしゃべった。バイトの事、友達の事、沖縄の事・・・。俺は常に聞き役にまわりながらも話を合わせた。

年下の女性は自分の周りの事にしか興味が無い。学生であれば世界が狭いのでなおさらだ。

①話の合う人、解かる人になる。

②話を聞いてくれる人になる。

③相手の知らない大人な存在になる。この三つが重要だ。

俺は上記三つを守りながらデートを進めた。

「こーちゃん、話おもしろいね!あははは!」

由紀はどんどん俺に心を許してくれる。

夜になり俺は由紀を車に乗せてある場所を目指した。

「こーちゃん、どこ行くの?この道暗いよ・・・・。」由紀は不安そうに俺に聞いてくる。

「いいから、なーちゃんに見せたい物があるんだ。」

ちなみに漫画「NANA」の愛読者だったからなーちゃんだ。

しばらくして俺はある場所についた。

「すごーい!やばいよ!」由紀が感動する。そこには都内の夜景を一望できる高台があった。

男として夜景の穴場を見つけておくのは最大の武器になる。年下の女に限らず、女は夜景好きだ。

近づき方が解からなかったら夜景というカードを切ればいい。

「こんな綺麗な夜景初めて、こうちゃん大好き!!」由紀は抱きついてきてキスをしてきた。

ちなみにこの日は由紀を帰した後、香奈枝の家に泊まり朝まではげしく求め合い、翌日お昼を奈々と食べて激しく求め合い、美佐子と映画を見て激しく求め合い、久美と飲みながら激しく求め合った。流石に眩暈がした。

また、突然プレゼントを渡すのもひとつの手だ。

「はい、これ。」

「?私、今日誕生日じゃないよ?」由紀が不思議そうに首を傾げる。

「いや、なーちゃんににあいそうだったから。俺、なーちゃんに似合うと思った時買ってあげたいんだ。」

「ほんとに!やだ、申し訳ない。わー、このネックレス!雑誌に載っていたやつだ!高いでしょ?」

「まあ、ざっと10万くらいさ。」

「えー!私にはもったいないよ!」

「いや、由紀に付けてもらいたいんだ。」

「ありがとう。えへ、似合うかな?」由紀はご満悦である。

たかが1000円のネックレスで・・・・え?今千円って言わなかったかって?

いいましたよ!10万ではありません。

最近は模造品、わけあり商品、在庫処分などで10万とは言わなくても2万、3万のアクセサリーが1000円で手に入れる事が出来る。雑誌に載っている、芸能人が同じものを付けているなど得点が付いていればなおのこといい。

しかし、そういった特化セールものは本体のみの販売で非常に安物に見える。

そのため、アクセサリーなどを高級に見せる箱を手に入れる事が重要だ。

アクセサリーの箱は質屋で500円ほどで売っている。

次にラッピングだ。アクセサリーショップや、ジュエリーショップで一番安い商品を買い、一緒にラッピングをしてもらうのが一番簡単であろう。

1,000(模造品・在庫処分品など)+500(箱)+300(アクセサリーショップで一番安い商品)=1,800円

本物を知っている女にはあまりお勧めできない作戦だが、年下は雰囲気に流される。

年収300万台の俺が女に対してプレゼントを欠かさない事が出来るのはこんなからくりがあるからだ。

「由紀、よく似合ってるよ。それをつけて食事いこうな。」

「うん、こうちゃん大好き。」

次のデートで由紀は俺の前で股を開いた。


「結構探したんだよ。足が疲れちゃった。けど会いたかった。」少し舌を出しておどけたように言う。

普段なら可愛いなと言いながら頭をなでるが今日は目の前にいる由紀が不気味でしかたない。

俺の目の前には黒こげになったドーベルマンが二匹。

「あんた!何をしたのよ!!!」俺の変わりに美佐子が疑問をぶつける。

「あれ、おばさんまだいたんだ。」由紀は感情の無い目で美佐子を見た。

奈々と香奈枝の時もそうだが女はベタという熱帯魚によく似ている。タイでは闘魚として改良されたこの魚は美しいひれを持つ半面、同じ水槽に入れると殺しあうまで戦う。女とは決して同じ水槽に入れてはいけない生き物なのかもしれない。そうでなければ殺しあってしまう。

「さっきからオバサン、オバサっていわないで!あんた、どきなさいよ!!今からこうちちゃんに止めを刺すの!!」美佐子は半狂乱で由紀につめよろうとする。

「きゃは!こわ~い。オバサンうるさいから、黙ってて!」

由紀が美佐子のいる方向に手をかざすとそこに大きな炎の壁が出来た。

「きゃあ!」あっという間に美佐子は炎の壁の向こうになってしまった。やがてその壁は延びていき、由紀と俺を囲った。

「えへ、やっと二人になれたね。」由紀は嬉しそうだった。

「由紀・・・これはいったい?」

「パイロキネシス(発火能力)って知ってる?私が念じるとその生物、場所なんかが燃えるんだ。最初武器の箱をもらった時はハズレ引いたとおもったよ~。皆、マシンガンとか斧とか持っているのに私だけ注射器だった。

不思議そうに見てるとこうちゃんのお母様が注射打ってみなさいって言うから、打ってみたの。そしたらこんな便利な能力が手にはいったんだ。」

由紀ははにかんだ笑顔をこちらに向けてきた。

「浮気してないって、こうちゃんの事信じてた・・・・。私ね、こうちゃんの事今でも大好きだよ。けど、少しひどいんじゃない?だからお仕置きしないとね。どこから燃やしてほしい?頭?腕?心臓とかもできるんだよ。きゃははは!」ねずみをいたぶる猫のように由紀は楽しそうだった。

このままでは由紀に焼き殺されるのも時間の問題だ。どうする?

そんな時、俺は橋の上に今いる事を思い出した。逃げる方法はただ一つ!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

俺は自分のうしろにそり立つ炎の壁に突進した。

体中が炎に包まれる「ぐあああああああああああ!」火傷の痛みが体中に走る。意識が飛びそうだ。

それでも俺は全力で走り川へ飛び込んだ。そこからがむしゃらに泳いで由紀のいる場所から遠くに逃げた。


<プロの女>

「ぐっ!はあ、はあ!げほ!げほ!げほ!」どのくらい泳いだだろう?ようやくどこかの川岸にたどりついた。俺は川から上がって仰向けに寝そべった。

もう、体の感覚がほとんどない。打たれた右肩と嚙まれた右ふくらはぎからはまだ血が止まらない。

体中が火傷を負っている。俺は・・・・死ぬのかな?そんな事を思いながら月を眺めていた。

「一緒に、いたいと、はじめて~思った。」どこからか綺麗な歌声と高級な香水の匂いがする。

この女に殺されるのか・・・・顔を見なくても解る。あの歌声と香水の主は岡田民子(おかだたみこ)である・・・・。


「こんにちは、アゲハです。お隣失礼します。」俺が民子と出会ったのは歌舞伎町のキャバクラであった。俺は意外にもキャバクラには行かない。なぜなら相手は恋愛のプロである。

付き合えるとか、やれるとか甘い幻想を持つだけ無駄である。キャバクラの女の子は客を金づるとしか見ていない。それだけは覚えておいてほしい。

どうせこの女もそうだろう。俺はそんなことを思いながら席についたアゲハという女を見ていた。

すると、あろうことか俺のバストカウンターが反応してしまった!

岡田民子 B94 W59 H92 24歳 釣鐘型 感度良好

俺もそろそろプロに通用するか試してみたいな。日本のプロ野球選手がメジャーリーグに挑戦するのと一緒の気持ちになった。

「初めまして。アゲハです。」

「君がこの店ナンバー1のアゲハちゃんか!光です。気軽にこーちゃんて呼んで。」

「ふふ、解りました。こーちゃんは仕事帰り?」

「まあ、そんなところだな。

君は可愛からたくさん指名取れてるんじゃない?」

「全然、けど今日はこーちゃんの隣につけて嬉しい。ねー、お酒もらっていい?」

「いいよって言いたいがまだ駄目だな。俺がお酒頼みたくなるような言葉をささやいてくれたら入れても良いよ。」

まずは酒を入れる前に焦らして楽しむ。


しばらく楽しんだら、

「お前可愛いいな。」

「嬉しい。ありがとう。」

「いや、耳が可愛よ。」

「え?耳?」

「小さくて可愛い。もっと見せてよ。」

「えっ!やだ!やめてよ恥ずかしい。」

そう言いながらもアゲハは顔を真っ赤にしている。

キャバクラの女は可愛いねなんて事はおはようと同じ位言われ慣れている。

普段誉められないところを誉める。耳だったり、指だったり。意外に効果的だ。


しばらくして、

「他の席から呼ばれてる。場内指名してよ。ずっと一緒にいれるよ。」

「悪い。持ち合わせないんだ。またな。」

「そっか・・・ご馳走様。」

アゲハがグラスを合わせ、席を立とうとした瞬間。

「ちょっと待てよ。」俺はアゲハの腕を強引に掴んだ。

「え!何?何!」動揺するアゲハ。

「俺、この子指名します!」

店中に響き渡るように言う。インパクトとしては最高だ。

第一印象を印象付ける。まずはそこからスタートだ。


初日は忘れられないインパクトを残す。

それからはメールは毎日する。

ただし、店に行くのは決まった日にちの決まった時間、そして決まった量だけ飲んでお金を払う。

キャバクらの女は一晩で大金を使う客を大事にしない。

むしろ安定して来てくれる息の長い客を大事にする。

それを1年以上続ける。

世の男性がキャバ嬢を落とすため短期間でお金を使うがそれは大きな間違えである。

そんな客は彼女たちにとって金づるでしかなく、金が無くなったら切り捨てる男である。

プロの女を落とすのに必要なのは実はお金ではなくて時間なのである。

時間を掛けて仲良くなったら今度は愚痴を聞いてくれる存在になる。

水商売とは常にストレスと隣り合わせの職業である。

アゲハ(民子)の場合はそれが後輩の女の子であった。

「あいつ!ちょーむかつくんだ!私のこと影でひどく言うの!」

「そうか・・・、それは許せないな!こんなになーちゃんは可愛くてがんばっているのに。ひどい!」

プロの女のときは100%肯定の方が落としやすい、なぜなら彼女たちはどこかで自分を認めてほしいという欲求が普通の女性よりも強いからだ。

ちなみに長崎県出身だからなーちゃんだ。

「こーちゃんだけだよ。私の味方は・・・」

「おいおい飲みすぎだぞ。」

その晩、民子は俺の前で股を開いた。


秋の風が焼けどの体にひんやり気持ちいい。

このまま眠ってしまいたい。

「この歌、覚えてる?貴方とカラオケに行った時必ず歌っていた曲よ。」

「ああ、そうだったな。」

「貴方は不思議な人だった。最初はただのお客だったのに。気が付いたら私の心を鷲掴み・・・、もう貴方無しの人生なんて考えられない。」

「そうか・・・できれば見逃してほしいんだけれども。」

「それはだめよ、貴方は私を裏切った。私の他に6人も女がいたんですって?

ふふふ、私もキャバ嬢として修行が足らないわね。いいわ、この武器を飲んで貴方を永遠に私のものにするわ。」

・・・?武器を飲む?俺は仰向けになりながら首だけを民子の方に向けた。

そこにはナンバーワンに上り詰めるだけあり、文句なしに美しい民子と・・・その手には風邪薬のようなカプセルが・・・・。

民子はそれを口の中に放り込むと一本1000万円はするへネシーで薬を飲み込んだ。

「ごくごく、くは~、いいわ、この感じ。体が熱い。SEXしてる時みたい。ああ、ぞくぞくする。気持ちい!こんなの初めて!ああ、あああああああ、エクスタシー!あああああああ!ぐあ?ぐおおおおおおおおおおおおおおおお!」

途中から民子の声が急に太くなり、肌の色が緑に変色しだした。見る見る体が大きくなり、異常なまでの筋肉が民子の体の中から湧き出てきた!


「ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

民子は満月に向かい雄たけびを上げた。

そこには美しい民子の姿はなく、5mを越す緑色の肌をした巨人が立っていた!

これはまずい、流石の俺も飛び起き全力で逃げ出した!痛いなど言ってられない。このままでは民子・・いや元民子である巨人に食われる!

民子は周囲のビルや電柱を破壊しながら俺を追いかけてくる。

やばい、やばい、やばい!俺は死に物狂いで逃げた。

民子は俺に向かいこぶしを振り上げ殴ろうとした!

俺は間一髪避けたが後ろにあったマンションが民子の拳により倒壊した!

嘘だろ!?俺は青ざめた。

すると民子は路上駐車してあるワンボックスカーを軽々持ち上げ俺に向かって投げつけた!

とっさに俺は避けたが左足が壁と投げつけられたワンボックスカーの間に挟まった。

「ぐわわわわわわわ!」俺の左足がつぶれ意識が飛びそうな激痛が走る!

何とか左足を引き抜いたが左足にはもう感覚がない。

走ることは出来ず、歩く事もままならない。

迫り来る民子を見てもう終わりだ!と、覚悟をした。


「キキーーーーー」後ろから車が急ブレーキを掛ける音がした。

真紅のフェラーリが颯爽と登場し扉が開いた。

「こーちゃん!掴まって!早く!」

中から女性の手が出てきて俺を車の中へ押し込んだ!

そのままフェラーリは発進し民子を振り切り首都高に乗った。

俺は安心した。今フェラーリを運転している女は何があっても俺を裏切る事の無い女・・・・高橋優子(たかはしゆうこ)だからだ。


<ガードの堅い女>

俺が優子とであったのは会社の会計監査の時であった。

優子は会計士として俺の会社に来た。

髪をアップにし、瓶底眼鏡を掛けた優子は完全にガードの固い女だった。

しかし!俺のバストカウンターは反応していた。

B100 W62 H97 27歳 出ましたついに3桁!!

俺は優子に話しかけた。

しかし、優子は「仕事ですので。」の一点張り。

仕方なく優子の後を追って休日何をしているのか探った。

優子の休日は読書をするか、ジムで汗を流すかどちらかである。

俺は優子行き着けの図書館とジムの会員になりさりげなく優子に近づいた。

それでも優子は心を開こうとしない。女性に特有の偶然でのときめきは彼女には通用しなかった。

会計監査の合間にも俺は彼女の読む本を全て読んで話掛けたが、彼女は心を開こうとしない。


こうなったら・・・、

「もういいです!!!」俺は急に大声をだした。

流石に優子もこれには驚き「どうしたのですか?」と聞いてきた。

「優子さん!僕は貴方と仕事を円滑に進めたくて、こうやってコミュニケーションを取ろうとしている。なのに貴方は!決して心を開こうとしない!なぜですか?」俺は涙を流した。

ちなみに口の中に忍ばせた唐辛子を噛んで涙を流しただけだ。

「いや・・・・あの。そんなつもりじゃ!」優子は動揺している。

女の涙はずるいと言うが、男の涙もそれ以上の効果を発揮する。

「じゃあ!どういうつもりですか!」俺はさらに押した。

ガードにひびが入ったらそこから猛烈プッシュだ!

「えええ・・・・、その、あの、私、女子高育ちで、実は男性とあまり接したことがないので・・・。」

何!この女!巨乳バージンだと!

現在、オオサンショウウオよりも少ないといわれている巨乳バージンをこの目で拝めるとは!俺はついている。

「僕は貴方に信用してもらいたい!生まれたときから全てを話します!」一見むちゃくちゃだがストレートに誠実さを語る。ガードを崩すのはストレートな誠実さに限る。

「解かりました!解かりました!貴方の事は信用します。だから泣かないで下さい。」

優子は困りながらも動揺しきっている。

「ありがとう。僕は嬉しいです。」俺は唐辛子をもう一度噛んで再度大粒の涙を流した。

その後、決まった時間にメールや電話をして、ベタな動物園デートや水族館デートに優子を誘った。

ちなみに6月7日が初デートの日だからあだ名をなーちゃんにした。

その3ヶ月後、ようやく優子は俺の前で股を開いた。


フェラーリは100kmで首都高を飛ばす。

「こーちゃん、大丈夫?」

返事をしたいけれどもはや声も出ない。

「けど、こーちゃんが生きていてくれて本当に良かった。」

俺もお前が助けてくれて良かった。120km

「私ね。こーちゃんのお母様からもらったのがこの車のキーだったの。これでこーちゃんを早くみつけて逃げようって、心に決めたの。」

ガードの固い女はガードを崩しさえすればとことん尽くしてくれる。

優子は間違えなく俺を助けにくる。俺は計算済みだった。140km

「私ね、こーちゃんと結婚するのが夢なの。」

そうかぁ、いい夢だ。このままアメリカまで飛んで夢をかなえようか。160km

「郊外に白い小さな一戸建てを買って・・・・犬と子供は5人くらい欲しいな。」

いいなぁ、犬でもドーベルマンはだめだぞ笑、5人か・・・・今晩頑張っちゃおうか、ふぇふぇふぇ。

180km。

「一緒に幸せになろ。・・・・天国で。」

そう、幸せになろう!・・・・?天国?200km!

「わたし・・・・ひっく!・・・・知ってたんだ!・・・ううひっく!・・・こーちゃんが浮気してるの!・・・・けど、怖くていえなかった。・・・・こーちゃん・・・・・言ったらこーちゃんがいなくなっちゃわないかって。不安だった。」

優子は泣きながらアクセルを踏み続けた。220Km!!

「けど、もう大丈夫。二人だけの国へ行こう。天国で幸せになろ。」優子は天使のような微笑を俺に向けた。

240Km!!!!!!

ちょいちょいちょい!!俺は思い切り抵抗しようとしたが声が出ない。

「喜んでくれてるの?嬉しい!」

ちがーーーーーーう!おれはおもいきり首を横に振った。300km!!!!!!

「もうすぐ急カーブがあるんだ。300kmで突っ込んだら・・・天国いけるね。」

やばい・・・・この女一番いかれてる。どうする?優子の言うカーブまで後少し、右肩を打たれ、両足も使えない。俺に残っているのは・・・左腕のみ!

俺は左腕腕をのばし無理矢理ハンドルを掴んだ。

「ちょ!何するのよ!離して!」

優子はハンドルから俺の腕を引き離そうと必死になる。

しかし、俺は最後の力を振り絞りハンドルを思い切りまわした。

キュルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!!

激しく車はスピンし車内は揉みくちゃになった。

ガッシャン!!スピンしたまま高速の路肩に激しく衝動した。

バリバリ!俺はシートベルトをしていなかった為、フロントガラスを突き破り外に投げ出された。

俺は地面に激しく打ち付けられ4回転ほどしてようやく止まった。

体の至るところの骨が折れているのがわかる。

被弾し、ドーベルマンに噛まれ、火傷を負い、体中の骨が折れた体は痛みという感覚を感じない。

俺は優子の乗るフェラーリを見た。

バンパーは激しくへこみ、フロントガラスは割れているがボディに影響は無いようだ。

優子も気を失ってはいるものの、エアバックに守られ大きな外傷はなさそうだ。

立てない・・・後続車が来たら轢かれておしまいだな。

そう思っていると破損したフェラーリの手前で一台のセダンが停車した。

「ご子息!ご無事ですか!」

無事じゃねぇよ・・・けど助かった。

バー・サリトスのマスターが俺を抱え車に乗せた。


〈7人のなーちゃん〉

セダンは俺を乗せて羽田に急ぐ。

途中でマスターから応急処置は受けたが重傷なのは変わらない。アメリカに着いたらまずは入院生活だな。首都高から夜景を眺めながら俺は苦笑いをした。


「・・・なぁ、マスター。俺はそんなに悪い人間か?」

マスターは何も答えない。

「確かに俺は女性の心を踏みにじった。けど彼女達を愛していなかったわけではない。全員を全力で愛した。」

「東京に出てきた時、本当は寂しかったんだ。仕事と会社の往復でいつも一人。東京には家族も恋人も友達もいない。俺が死んでもこの街は何もなかったように動きつづける。だから誰かに愛して欲しかった。たくさんの人に必要とされたかった。それだけなんだ・・・。」

マスターは何も喋らない。車は羽田空港にむけて走る。

5時40分、ようやく羽田空港に着いた。

サリトスで飲んでいたのが20時頃、ほんの数時間ほど前の事が大昔のように感じる。

「マスター、世話になったな。しばらくしたら手紙でも書くよ。アメリカに遊びに来てくれ。」

俺はよろよろしながら搭乗口に向かった。

「ご子息!」

後ろからマスターの叫ぶ声がした。振り返るとマスターの頬に涙が伝っていた。

「私はご子息がした事は正しいのかどうかはわかりません。ただ、ご子息の事は好きです!」

「おい、俺はそっちの趣味はないぜ。」

するとマスターはふっと笑い。

「Loveではありません。Likeです。」

・・・俺は大声で笑った。

「嬉しいよ。またな。」

俺は振り向かず手を振った。


搭乗手続きを済ませ俺はチャーター機の搭乗口へと急いだ。


しかし、そこには世の中で最も恐ろしい世界が広がっていた。

搭乗口前に立ちはだかる・・・・・・・・・七人のなーちゃん。

ここまで来てそれはないぜ。

俺は落胆した。

七者七様のなーちゃんが立っていた。

この七人に共通するのはあだ名が同じ事と俺を愛していた事・・・待てよ。

俺はたった今、うかんだアイデアに運命を託してみようと思った。俺はなーちゃん達の正面に立った。

七人の殺気に満ちたなーちゃんが俺を睨む。

俺は思わず息を飲んだ。しかし、一度深呼吸をして世界中に響き渡るような声で叫んだ。

「なーちゃん!聞いてくれ!俺はお前を愛してる!一緒にアメリカに行って幸せになろう。」

細かい言い訳はいらない。そう、俺は彼女達を心から愛してる。

さあ!武器を捨てて俺の腕に飛びこんでおいで!

一瞬・・・七人のなーちゃんは呆然と俺を見つめた。

成功か?ドラマのようなフィナーレだな。やっぱり俺は何か持ってる!



と、思ったのも束の間・・・。

「きゃああああああああ!」

七人がそれぞれ奇声を発し、武器を振りかざして俺に向かって走ってきた。

まずい!マズすぎる!どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?えーい!こうなれば!

俺も叫び、手をひろげながらなーちゃん達に突進していった!その後、視界が真っ白になり思考が停止した。そこからの記憶はない。


〈マイアミの太陽に愛されて〉

「ねぇ、トム。貴方は何でそんなにセクシーなの?」

ジェシカは目を潤ませながら目の前の日本人男性に釘付けだ。

「それは当たり前さジェシカ、マイアミの太陽がそうさせるのと、君という素敵な女性と出会えた事がより僕をセクシーにさせるのさ。ところで俺の右肩の傷の話し聞いたかい?」

「いえ、聞きたいわ。」

「オーケー、これは俺がまだ中東でアメリカ軍の兵士として戦っていた時の傷だ。」

「まあ、そうだったの!」

「俺は前線で負傷した仲間をかばいながら戦った。その時、爆風で負った火傷がこれさ。」

俺はトム・T・エドワード、本名を野原田吾作という。

ミドルネームのTは田吾作のTだ。

あの事件のあと俺はアメリカ各州の女を抱く事を目標にアメリカを横断している。

アイオワ州はこのジェシカかジェシ子か解らない女で決まりだな。

今晩も俺の股間は合衆国だ!・・・・フェフェフェフェッ!


俺は車の中においてある花束を取りに表へ出た。

表にはおれの相棒である赤のキャデラックが止まっている。

「今日もご機嫌だな相棒。」

俺は上機嫌なのかついつい車に話しかけてしまった。

しかし、次の瞬間ものすごい爆音と共に赤のキャデラックが木っ端微塵になった。

あまりの衝撃でおれはおもわずしりもちをついてしまった。

すると、携帯からあの着信音が・・・・!

「もしもし、ママ。」何度も言うがマザコンではない。

「田吾作、アメリカで日々精進していますか?」

「もちろんですとも!日々しょうじ・・・」

「嘘を仰い!あなたの嘘にはもううんざりです。この間もアメリカの女性達が押しかけてきてもう大変。説明しなくてもわかってるでしょ?彼女たちに武器を与えました。たしか・・・・トマホーク(低空弾道追跡)ミサイルもふくまれています。それでは田吾作、体に気を付けて。」


馬鹿な!トマホークだと!

しかし、さっきの爆破は間違いなく・・・・、

俺は周囲を見回した。すると・・・・地平線の向こうからミサイルが俺をめがけて飛んでくるのが見えた!!



結婚前のプレゼントです。

私の学んだ全てをこの小説においてきました。

この小説を全ての男性にささげます。

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