メリーさんの牛
昔、フランスの田舎にメリーという娘がいました。メリーの親は、牧場を営んでいて、メリーもたまに手伝いをしていました。
しかしある日、幸せに暮らしていたメリー達を、悲劇が襲いました。メリーの父親が、病気で死んでしまったのです。メリーと母親は悲しみました。しかし、母親はたいそう美しかったので、すぐに、半ば無理矢理、遠い所で大牧場を営んでいる男と結婚させられてしまったのです。なので、メリーの父親の牧場もその男のものになったのですが、男は、その牧場の仕事を、全てメリーに任せたのです。そのくせ、メリーが仕事で失敗をすると、ご飯を食べさせてくれないのでした。そうして、メリーはどんどん痩せ細っていきました。
そんなある日、メリーは、牛を散歩させるよう言われました。メリーは大きな牛が逃げないように、紐でつないで、ゆっくり歩きました。しかし、歩き出してすぐに、牛は、走り出して、紐が切れてしまいました。
家に帰って、メリーは泣いて男に謝りました。しかし、男はご飯を与えなかった上に、メリーを鞭打ちました。
その夜、メリーは、死にました。
男は、メリーは、の葬式を簡単に済ませ、また、何事もなかったかのように過ごし始めました。
しかし、メリーが死んでから一月たった頃、急に、家畜が死に始めました。餌を食べずに痩せ細り、苦しげな表情をして、死んでいくのです。そして、家畜は全て死に絶えてしまいました。しかも、その次の日、男はばったり倒れ、死にました。
風の噂に聞くと、男の葬式では、狂ったような、少女のけたたましい笑い声が始終響いていたそうです。