不健全な趣味
短編です
サイトの通知を開いては閉じる、その繰り返し。何も通知が来ていなくても、つい開いてしまう。
何か通知が来ていないだろうかと気になるし、システム通知が来た瞬間に開いてしまう。でも結局何も関りのない何でもない通知なのだ。開いてがっかりするのは目に見えているのだから、開いたって仕方がない。
だとしても、スマホが震えると、つい開いてしまう。
関係ないサイトやSNSの更新通知が来た時もつい開いてしまう。そして「なぁんだ」と思いつつ、結局気にしているサイトも開いて、通知が来ていないことを知ってがっかりする。その繰り返しなのだ。
でも今回は、何か一つでも良いから反応が欲しい。でも来ないということは、そう言うことなのだろう。
あぁ、反応が怖い。でも気になる。
友人にはその癖を辞めるように言われているのだけれど、俺はどうしても反応が気になってしまう。SNSでもそうだった。自分の初めての投稿に、アンチのようなコメントが付いた時、すぐに言い返してしまったんだ。大人気なかったとは思う。だって、ただ自分の思ったことを書いただけなのに、「お前は間違っている」なんて書かれたもんだから、ついカッとなって、罵詈雑言を交えた返事を書いてしまったんだ。
そこからずぶずぶと、論破する気持ち良さにハマってしまって、今や自分から罵詈雑言を書き込みに行ってしまうようになった。友人には不健全だからやめろと言われるのだけど、ストレスが溜まった時に、どうしても、やってしまう。もはや麻薬のような物になりつつあるのだと自覚はしている。やめなくては、と思えば思うほど、俺はずぶずぶと論破はアンチにのめりこんでいった。
今回は、ネットで話題になっている内容だったから、きっと炎上すると、期待したのだけど、何故か返信が来ない。意識高い系のアカウント相手に結構な罵詈雑言をかきこんでしまった。書き終えた後は、妙な高揚感があったし、反応が楽しみ過ぎてついサイトを覗きに行ってしまう。
でも3日経っても返事がこない。SNSやサイトの難しい所は相手がそれを読んだかどうかがわからない点だ。
連絡用アプリは“既読”がつくから、読んだことは確認できる。確実に相手に影響を与えられているとわかるから、なお気持ちが良い。
さて、またスマホを開いてしまった。
もう辞めようと思っているのに、ついやってしまう。俺って意志が弱いなぁ。
よし、決めた、今日中にこの返事が来なければ、俺は、二度と他のアカウントに罵詈雑言をかきこまない。アンチも辞める。
何より自分の精神の安定に良くない気がするんだよな。それはもう十分よくわかっているんだ。
だから、今日、今日で最後だ。
ブブ・・・
スマホが震えた。今日が終わるまであと5分。今日この場で俺は変わるんだ。変われ、俺!
この5分を耐え抜いて、変わるんだ。
スマホの画面を見ると、待ちに待っていたあのサイトからだった。開いてみると、俺の罵詈雑言への返事がきていた。
[あなたを訴えます]
シンプルなその返事に俺の心が震えるのがわかった。
——不健全な趣味——
変われたのか!?




