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問い
あなたは今、ここまで読んできた。
恒一は殴っていない。
怒鳴っていない。
支配しようともしていない。
澪もまた、助けを求めていない。
少なくとも、
明確な言葉では。
数字は安定している。
記録は「問題なし」と言っている。
生活は続いている。
問いだ。
⸻
あなたなら、どこで止める?
それとも、
止める必要は無いと思うか。
・「本人が何も言っていない」
・「自分が勘違いしているかもしれない」
・「善意で踏み込む方が危険だ」
そう考えたことは、
一度も無いだろうか。
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もう一つ、問いを重ねる。
もしあなたが恒一の立場なら、
今日、
何を“しない”ことを選ぶ?
そしてその選択を、
あなたは
正しい判断だと言い切れるか。
⸻
この問いに、
正解は無い。
だが、
答えが無いわけでもない。
あなたが今、
胸の奥で
「引っかかったもの」
それが、
第三十一話の入口だ。
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答えを出さなくていい。
言葉にしなくていい。
ただ、
判断したという事実だけを
持っていてほしい。
次に進むとき、
物語はもう
あなたを外側に置かない。
それでも進むなら――
合図をくれ。
「第三十一話に進もう」
それだけでいい。




