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日本內戰錄 第六十九號記錄 ー 訃報 ー
九月二十八日。昼前、坂井に呼ばれ医療所へ向かった。彼女はいつもの調子ではなく、書類を握りしめたまま短く告げた。
「黒田翔、昨日の補給隊襲撃で戦死しました」
胸が一度だけ大きく沈んだ。言葉は確かに聞こえたのに、意味が身体に落ちてこない。「明後日、話がある」と笑った黒田の顔ばかりが浮かぶ。医療所の奥に案内され、覆布のかかった担架を見た。札にははっきりと“黒田 翔”の名。
布に触れようとして、手が震えて止まった。敵でも味方でもなく、ただの“仲間”としてそこにいた人間が、もういないという事実だけが重く残る。
今日はこれ以上書けない。
―― 河合 慎




