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日本內戰錄 第六十七號記錄 ー 絶エ間ナイ搬送 ー
九月二十五日。
朝から担架の音が続いた。
敵空軍の撃墜が報告され、
その余波で地上の戦闘も増えているらしい。
午前、前線小隊から四名搬送。
胸部貫通一名、下肢裂創二名、軽傷一名。
処置は急いだが、
重傷の一名は本部病院へ後送となった。
午後、補給路警戒中の部隊からさらに五名。
爆風による打撲と裂傷が混在し、
器具の消毒が追いつかない。
包帯の在庫も底が見えてきた。
空では戦闘機の音が途切れ、
誰もが「落ちたらしい」とだけ囁いた。
敵機なのか味方なのかは分からない。
だが、墜落の話が出る日は、
負傷者が必ず増える。
夕方、処置記録をまとめる。
今日だけで九名。
全員が生き残るかどうかは分からない。
戦闘がある日も無い日も、
治療所の静けさは戻らない。
―― 坂井 苑




