日本內戰錄 第四十六號記錄 ― 市街地に残る音 ―
八月三十一日。
市街地北区での巡視中、帝国側の歩兵班と遭遇した。
距離は近く、建物の隙間から突然影が動いた。
先に撃ったのはこちらだ。
迷う暇はなかった。
六名を射殺。
四名は銃を落として座り込み、抵抗しなかったため拘束した。
捕虜にした四名のうち二名はまだ若かった。
十代かもしれない。
だが、こちらも情けを挟める状況ではない。
問題はこっちの被害だ。
交戦の最中、
敵の弾が建物の壁を抜けて味方側に流れた。
七名が重傷。
足を吹き飛ばされた者、背中を撃ち抜かれた者、
出血で倒れた者、
それぞれが呻き声をあげていた。
撃つ時は迷わなくても、
倒れた仲間を見る時だけは気持ちが揺れる。
「慎、運ぶの手伝え!」
後衛の兵が叫んだ。
応急処置をしながら、
七名を順に担架に乗せた。
担いだ肩がまだ痛い。
それでも放り出すわけにはいかない。
坂井の医療所までの道は、やけに長く感じた。
途中で二人が意識を失ったが、脈はある。
間に合うはずだと自分に言い聞かせた。
医療所に着くと、
坂井がすぐに顔を上げた。
今日の彼女の眼は疲れていた。
この人数では当然だ。
「七名? ……分かった。すぐに診る」
短い言葉だったが、
それ以上のものが必要な空気ではなかった。
捕虜四名は後方へ引き渡し。
こちらが運べる限界だった。
今日は、生き残った実感が妙に薄い。
記録は以上。
―― 河合 慎




