日本內戰錄 第四十三號記錄 ― 沈黙の路地での遭遇戦 ―
八月二十九日。
前線に戻った。
体はまだ完全ではないが、
歩けて撃てれば十分だと言われた。
午前の巡回任務で、
小さな工場跡の路地に入ったときだった。
先頭の兵が手を上げた。
その直後、
左の建物の影から三つの影が飛び出してきた。
革命側の歩兵三名。
距離は二十メートルもなかった。
銃声が同時に三方向へ弾けた。
こちらの先頭が胸を押さえて倒れる。
俺は壁に体を押しつけながら発砲した。
一人目が膝を崩し、
そのまま地面に倒れたのが見えた。
もう一人は建物の柱の後ろに隠れ、
撃ち返してきた。
銃弾が足元のコンクリを砕き、
砂と破片が顔に当たった。
呼吸が浅くなり、
胸の奥で心臓が跳ねた。
それでも撃つしかなかった。
二人目が倒れたとき、
最後の一人が逃げようと路地の奥へ走った。
俺が射線を合わせる前に、
後方から来た味方が撃って仕留めた。
短い交戦だったが、
こちらの損害は重かった。
四名死亡。
うち二名は即死。
一人は腹部貫通で意識が戻らず、
もう一人は頭部の出血が止まらなかった。
新兵の一人が震えた声で
「なんで……三人だけなのに……」
と繰り返していた。
答えられる者はいなかった。
撤退行動に移る途中、
別の帝国軍部隊を発見。
隊長同士が短く言葉を交わし、
死傷者をまとめて後送してくれることになった。
歩きながら気づいたが、
銃を握る右手が少し震えていた。
痛みはない。
ただ、震えていた。
野戦病院に着いてすぐ、
軽い処置を受けた。
破片が頬にかすっただけで、
命に関わる傷ではないと言われた。
それでも、
四人の死体が運ばれていく光景が、
目に焼きついて離れない。
今日の記録はここまで。
―― 中原 光太




