表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本內戰錄 ― 彼等ハ 如何ニ戰ヒ、如何ニ散リシカ ―  作者: イグアナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/77

日本內戰錄 第三十三號記錄 ― 病室の窓の外 ―

八月十八日。


病室の窓から見える森は、

前線とは別世界のように静かだ。

ここに吹く風は血の匂いもしないし、

銃声も届かない。


胸の包帯は厚く、

少し動くだけで痛む。

医師は一、二週間は安静と言ったが、

戦場の二週間は永遠に近い。

その間に何がどう変わるのか、

考えるだけで落ち着かない。


昼前、黒田から手紙が届いた。

内容は相変わらず妙に雑で、妙に元気で、

不意に肩の力が抜けた。

補給物資にAKMが紛れ込んでいた話には

さすがに声を出して笑いそうになった。


だが、笑えるのはそこまでだ。


廊下では担架の音が途切れず聞こえる。

誰かが前線から運ばれてきて、

誰かが処置を受け、

誰かがそのまま二度と戻らない。


中隊の状況は分からない。

俺が撃たれた後、

前線がどうなったかも聞かされていない。

知らされていないのではなく、

“まだ分からない”のだろう。


静かな病室にいると、

逆に胸がざわつく。

戦場よりも落ち着かないのはおかしい。


今日はこれで終わりにする。

余計なことばかり考えてしまう。


―― 河合 慎


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ