表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本內戰錄 ― 彼等ハ 如何ニ戰ヒ、如何ニ散リシカ ―  作者: イグアナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/77

日本內戰錄 第二十九號記錄 ― 死亡判定 ―

八月十八日。


午前九時半頃、前線観測班から搬送された兵の状態確認を行った。

担架には榊原明良と記されていたが、

搬入時点で呼吸・脈ともに認められず、

顔色もすでに白かった。


まず気道および胸郭の観察。

胸部の動きはなし。

創部は右胸部に小さな入口創が一つ。

出血は乾き始めており、

搬送中ではなく被弾直後に失われた血液量が大きかったと推測される。


瞳孔を確認。

両側散大、対光反射なし。

皮膚の冷感は肘から下で顕著。

蘇生措置を行う設備がないため、

形式的な確認のみで打ち切った。


胸部を軽く触診したところ、

肋骨の上にわずかな沈み込み。

弾は肺を通過し、

内部で留まったと判断される。

死亡までの時間は短かったと思われる。


同行していた兵が

「撃ち返す余裕はなかった」とだけ言った。

詳しい状況は届いていない。

救護所に運ばれた時点で、

すでに助けようがなかったのは確かだ。


死亡時刻を九時二十五分と記録。

遺品を回収し、

手帳は本部経由で所属部隊へ返還する。


処置台を空けた後、

台布を交換し、

器具を洗浄した。

作業自体はいつも通りだが、

手が少し遅れた。


本日の死亡者一名。

戦闘によるもの。


以上。


―― 坂井 苑


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ