表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本內戰錄 ― 彼等ハ 如何ニ戰ヒ、如何ニ散リシカ ―  作者: イグアナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/77

日本內戰錄 第二十七號記錄 ― 帰隊後の静寂 ―

八月十七日。


前回の戦闘から三日。

敵兵七名を撃ったことは事実だが、

味方の損害のほうが大きく、

胸の奥に何か残っている。

それが何かは、まだ言葉にできない。


大淵隊長の隊に正式に編入された。

隊長は何も問わない。

ただ「動きだけ見ていればいい」と言った。


午前は陣地周辺の見回り。

斜面に残っている弾痕を見た瞬間、

前の戦闘の光景がふっと重なった。

耳の奥に、

あの日の銃声がわずかに残っている気がする。


歩哨の兵が「中原、顔色が悪いぞ」と言った。

自覚はない。

ただ、体が急に熱くなったり冷えたりする。


昼前、南の林から物音。

敵影はなし。

だが銃を構えたとき、

照準の揺れが以前より大きい。

撃とうとしたわけではない。

ただ“撃つときの形”に体が戻らない。


午後、補給路から帰ってきた兵が

「今日の森は静かじゃなかった」と話していた。

黒田という補給兵の名も出た。

負傷していたはずだが、

もう任務に戻っているらしい。

会ったことはないが、

その粘り強さだけで何となく励まされる。


夕方、大淵隊長から指示。

夜間の簡易警戒に就くことになった。

「無理に撃つな。見ていればいい」

そう言われた。


戦場に戻ったはずなのに、

前に進んでいるのか後ろに下がっているのか

自分でもよく分からない。


少なくとも、

七名を撃ったあの瞬間より今のほうが、

体が重い。


―― 中原 光太


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ