日本內戰錄 第二十五號記錄 ― 入院室にて ―
八月十六日。
後送されて四日。
腹の痛みはまだ残っているが、
最初の頃よりは呼吸が楽になった。
食事は流動食のまま。
看護兵が決まった時間に運んでくる。
病院といっても、
元は市の建物を転用したものだそうで、
壁はところどころ塗装が剥げ、
廊下は歩くたびに軋む。
それでも救護所よりは静かで、
夜に銃声が聞こえないのは不思議な感覚だ。
午前、看護兵から手紙を渡された。
差出人は黒田。
封筒は湿気で少し波打っていた。
補給路は雨が多いのだろう。
―― 手紙の写し ――
慎へ。
思っていたよりも重傷らしいが、
生きていると聞いて安心した。
補給任務は人手不足で忙しい。
俺の足はまだ完全ではないが、
とりあえず動けている。
お前が戻るまでの間だけでいい、
誰か代わりを送ってほしいところだ。
ここしばらく敵の動きが多く、
森の道が落ち着かない。
焦らず治せ。
帰ってきたら飯でも分けてくれ。
黒田
――――――――――
読み終えて、
返事を書くつもりだったが、
体を起こすと傷が引くように痛んだので、
今日はやめておくことにした。
病室の窓から外を見ると、
向かいにある校庭跡に、
救急車輌が一台停まっていた。
誰か新しい負傷者が来たのだろう。
戦線から離れていても、
状況は変わらないらしい。
―― 河合 慎




