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日本內戰錄 第二號記錄 ― 七月一日・観測線にて ―
七月一日。
観測線に入った。
空気が重い。風が弱く、射撃には向かない日だ。
本日の任務は前線の状況確認。
第八中隊が数日後にこの方面に入ると聞いた。
まだ顔も知らない兵たちだが、
彼らのためにも地形を掴んでおく必要がある。
前方六百。廃家屋の影が動いた。
敵かどうか判別できず、撃たなかった。
判断を迷ったわけではない。
“撃つべきでない状況”だっただけだ。
松坂は静かだった。
何も言わず、ただ双眼鏡を覗き続けていた。
彼の沈黙はいつも正しい。
帰投後、指揮所で軽い報告を済ませた。
特筆するほどの動きは無い。
だが、動きが無い日のほうが危険になることを、
俺はもう知っている。
明日はまた風が変わるだろう。
銃を整備して眠る。
―― 榊原 明良




