表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本內戰錄 ― 彼等ハ 如何ニ戰ヒ、如何ニ散リシカ ―  作者: イグアナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/77

日本內戰錄 第十一號記錄 ― 七月二十三日・補給路遭遇戦 ―

七月二十三日。


第二補給点からの帰路、

森の奥でかすかな足音がした。

補給兵は耳が鈍いと言われるが、あれは違う。

“こちらに向かって踏み込んでくる音”だ。


警戒の合図を出した瞬間、右から銃声。

乾いた破裂が連続して、木の皮が飛び散った。


敵小隊の奇襲。

数は六か七。正確には分からなかった。


前衛の二人が泥に沈み、

後ろの一人が足を押さえて倒れた。

その時点で三名が動けなくなったが、

俺はまだ状況を把握し切れていなかった。


左の木陰に滑り込んだ瞬間、

脛に重い衝撃が走った。

熱いとも痛いとも違う、

地面に吸い込まれるような感覚だけが残った。


撃ち返さなければ全員死ぬ。

分隊長が怒鳴り、誰かが負傷者を引きずる音がした。

残っていた二名が側面に回り、射撃した。


敵は補給兵の反撃を想定していなかったのだろう。

銃撃は五分ほどだったはずだが、

体感ではその十倍長かった。


敵二名が倒れ、残りは森へ退いた。

返り討ちにしたが、こちらも何人やられたのか…

正確な数は覚えていない。

自分が撃たれたのも、少し遅れて理解した。


足元が急に軽くなって、視界が傾いた。

担架に乗せられるまでの記憶は曖昧だ。


気づいた時には布の屋根が揺れていた。

医療班の坂井という女が、

淡々と傷を洗っていた。


「今のところ、命に別状はない」


その声だけは妙に鮮明に聞こえた。


―― 黒田 翔



七月二十三日。

補給路付近で遭遇戦が発生し、負傷者四名が搬送された。


負傷の内訳は以下。

•脛部貫通

•太腿貫通

•肩部貫通

•腹部擦過傷


いずれも現時点では生命の危険なし。


脛部の貫通は汚泥の入り込みが深く、

洗浄と異物除去に時間を要した。


太腿・肩の貫通は損傷が限定的。

止血・縫合で安定した。


腹部擦過の兵は緊張が強く、

処置後に休息を指示。


処置中、外では断続的な銃声。

前線が近いため、後送は日没以降に延期。


河合という兵が負傷状況を確認に来たが、

特に質問はなかった。

表情は読めないが、静かに頷いて出ていった。


本日の処置は以上。


―― 坂井 苑


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ