日本內戰錄 第一號記錄 ― 七月三日・前線着任 ―
七月三日。
第八中隊は前線陣地に到着した。
地図で見たより狭く、湿った土の匂いが強い。砲声だけが遠くで続いている。
黒田は落ち着かず、銃の安全装置を何度も確かめていた。
俺も似たようなものだ。震えてはいないが、胸の奥が重い。
突撃班は明日の未明に前へ出されるらしい。
指示の理由は知らされていない。
聞いたところで、弾が飛んでくる現実は変わらない。
配られた飯は乾いた米と薄い味噌湯。
味はほぼない。
杉本が「今日が一番楽だ」と笑っていた。
冗談か本気かは分からないが、誰も否定しなかった。
夜になった。
眠れる気はしない。
とりあえず、書けるうちに書いておく。
―― 河合 慎
七月三日。
前線に着いた。想像より狭くて暗い。
土嚢の向こうから、ときどき乾いた音がして、
そのたびに肩が跳ねる。
河合伍長は平気そうに見えた。
いや、平気じゃないのかもしれないけど、
少なくとも俺よりはずっと落ち着いていた。
装具を何度も触ってしまうのを見られて、
「大丈夫か」と一度だけ声をかけられた。
声は優しかったが、返事はうまく出なかった。
明日の未明に、突撃班が前へ出るという噂。
俺も連れて行かれるのだろうか。
考えるだけで手の先が冷たくなる。
食事はほとんど味がしなかった。
杉本軍曹が笑っていたが、
あの笑いが冗談なのか、本気なのか分からない。
誰も何も言わなかった。
書けば少し落ち着く気がしたが、
あまり変わらない。
眠れそうにない。
―― 黒田 翔




