表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本內戰錄 ― 彼等ハ 如何ニ戰ヒ、如何ニ散リシカ ―  作者: イグアナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/77

日本內戰錄 第一號記錄 ― 七月三日・前線着任 ―

七月三日。

第八中隊は前線陣地に到着した。

地図で見たより狭く、湿った土の匂いが強い。砲声だけが遠くで続いている。


黒田は落ち着かず、銃の安全装置を何度も確かめていた。

俺も似たようなものだ。震えてはいないが、胸の奥が重い。


突撃班は明日の未明に前へ出されるらしい。

指示の理由は知らされていない。

聞いたところで、弾が飛んでくる現実は変わらない。


配られた飯は乾いた米と薄い味噌湯。

味はほぼない。

杉本が「今日が一番楽だ」と笑っていた。

冗談か本気かは分からないが、誰も否定しなかった。


夜になった。

眠れる気はしない。

とりあえず、書けるうちに書いておく。


―― 河合 慎


七月三日。

前線に着いた。想像より狭くて暗い。

土嚢の向こうから、ときどき乾いた音がして、

そのたびに肩が跳ねる。


河合伍長は平気そうに見えた。

いや、平気じゃないのかもしれないけど、

少なくとも俺よりはずっと落ち着いていた。

装具を何度も触ってしまうのを見られて、

「大丈夫か」と一度だけ声をかけられた。

声は優しかったが、返事はうまく出なかった。


明日の未明に、突撃班が前へ出るという噂。

俺も連れて行かれるのだろうか。

考えるだけで手の先が冷たくなる。


食事はほとんど味がしなかった。

杉本軍曹が笑っていたが、

あの笑いが冗談なのか、本気なのか分からない。

誰も何も言わなかった。


書けば少し落ち着く気がしたが、

あまり変わらない。


眠れそうにない。


―― 黒田 翔



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ