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予想内の出来事




下駄箱を開けて、苦笑いをする。

どこの世界でもこういう事は起きるし、手口は似たり寄ったりだ。

「上履きを捨てるってベタだな」

今日は、ミリィと一緒に登校しないことを教室で話していたから何か仕掛けてくるかと思ってたけど、分かりやすい。

で、陰で見てるのもバレバレなんですけどね。

カバンから上履きを入れた袋を取り出すと持ってきた靴を履いて教室に向かう。

ちらっと後ろを見る。

ハンカチを本当に噛む人って始めて見たわ。


教室の扉の前、いつも通る席から近い方の扉に、よく分からないけど何かが挟んであるのでいつもと違う扉から入る。

入ってくる私を見て何人かが慌てて何かを回収してる。

……、はぁ。


「この前の啖呵かっこよかったけど、君にターゲット変わったね」

「エドガー様、思ってても口に出さない方がよろしいかと」

私が席に座ろうとすると手を引かれて、座面を指さされる。

これは、なんでしょう。

「ハンカチ濡らしてるから使って」

差し出されたハンカチとエドガー様の顔を交互に見るとにっこり笑われる。

今回はしっかりした笑顔だ。

「洗ってお返ししますね」

「うーん、お返しならさ、エドガー様って呼ぶのやめてくれない」

「エドガーさん、ありがとうございます」

受け取ったハンカチで座面を拭くと、たぶんこれはのり…子どもかしら。


「俺としては、エドって読んでくれて良いんだけどな」

「愛称で呼ぶほど私たち親しい関係でもありませんよね」

「お貴族様は、大変だね。平民の俺にはわかんないわ」

「よく言いますわ。その貴族と対等にやり合ってらっしゃる商会の営業No1でしょうに」

私がそう返すと、なぜかエドガーさんは顔を赤くして俯いてしまった。

.…え、照れた?何か言ったかしら。

「そういう…いたずらっぽい笑顔はあまりしない方がいいと思うよ」

「よく分かりませんけど、肝に銘じておきます」


その後も他愛もない話をしてると先生が来て授業が始まる。

授業が終わるとミリィがこちらに来る。

「ユリさん、次の授業の教室に行きましょう」

そういうと、エドガーさんの方を見て.…、睨んで私の手を取って歩き始める。

「ミリィさん、どうしたの」

「エドガー様はユリさんの事を目の敵みたいにしてる方なのになんでそんなに優しくするの」

「エドガーさんは、悪い人ではないと思うのよね」

「でも、変な言いがかりをつけてきてたし」

「我が家の事を外から見るとどう見えてるか分かって助かるわよ」

我が家って、ちゃんと祖から見て貴族なんだなと改めて確認できた。

父と叔母は仲が悪い。

性格が合わないとしか聞いてないけど、付き合い程度の商会取引でもひいきにしてるって言われるんだな。

まぁ、私は叔母様と仲がいい。

普通にいい叔母さんだと思うんだけど、父も母も叔父と叔母とは距離を置きたがってるのよね。

貴族として生きているから外から見てそう見えないのはやっぱり大人なんだなと妙に両親に感心してしまった。


先生に質問をして教室に戻るとクラリス公爵令嬢たちのグループが集まってまたひそひそしてる。

「ユリさん、大丈夫ですか」

「あぁ、くだらない戯言は気にならないので」

彼女たちをチラッと見て席に戻ろうとすると聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。

なるほど、喧嘩を売ってきたのはそっちですよ。

それなら買って差し上げますわ。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

ブックマークなど励みになっております。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。


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