貴族とは……
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エマさんが持って来たのは鍵のついた箱。
「こちらがこの箱の鍵になります」
そう言って、箱と私が上げたネックレスチェーンに通されていた鍵をアレクシス殿下に渡される。
「これの出所と中身を聞いてもいいか?」
「はい、殿下。ロゼリアン公爵領の当主執務室の隠し金庫より持ち出した帳簿と……保守派およびグランヴァルト商会と繋がっていたしょうこになります」
エマさんの言葉に部屋の中が一瞬騒めく……。
だって、革新派の急先鋒と言われていたロゼリアン公爵家が、保守派と繋がっていたなんて……。
「にわかには信じられない話だな。で、アイリはそれを知っているのか?」
「はい。お嬢様はこちらの内容を確認されたうえでこの中に仕舞われました。昨日オリバーさんが迎えにいらした時からお嬢様はいつか自分が拘束されることを予見されていました」
「そうか……」
アレクシス殿下は悔しそうに口火rを噛みながら、受け取った鍵を差し込み箱を明ける。
分厚い紙の束が出てきてその中には帳簿のようなものが一瞬見えた。
私たちは、アレクシス殿下が読み終わるのを待つ。
エドガー様が呼ばれて何かを二人が確認し合っていた。
しばらく話しているとエドガーさんが私を呼ぶのでそちらに近づく。
「ユリアーナさん。こちらの『原石』という表記に何か思い当たることはありますか?」
そう聞かれて、エドガーさんが指さすところを見ると、グランヴァルト商会からの購入品の中に『原石』とだけ書かれた項目があった。
その帳簿に書かれている品目をよく見るとちょうど週末に見たあの隠し帳簿の数字と一致しているように思えた。
「私が先週末に商会で見た帳簿と同じかもしれません」
私は急いでアレクシス殿下に渡すために持ってきていた帳簿を渡す。
「こちらをご確認いただいてもいいですか?ポリーという商会員を偽ったセレス殿下の部下だという女性が居た時にみつけたものです」
「……その彼女の特徴を聞いても?」
アレクシス殿下とエドガーさんが、帳簿を見ている間にセレス殿下が私に質問してくる。
「特徴らしい特徴がない方でした。何人かに対して彼女と似ていると言われたら私は、全ての人に頷いてしまうかもしれません」
私がそういうとセレス殿下は少し考える様子を見せる。
「因みに……所作などが異常に美しいとかあったか?」
「そんな感じはしませんでしたが、思い当たる方がいらっしゃるんですか?」
「いるんだが……少し確認が必要だから待ってくれるか? 敵ではないから安心してくれ」
「セレス殿下がそう言われるのなら、かしこまりました」
私が礼をすると大袈裟だなという顔をされてしまう。
二枚の帳簿を見比べていたアレクシス殿下とエドガーさんにまた呼ばれる。
「君の推理を聞かせてくれるかい?」
なぜか殿下が、私に答えを言わせようとする。
絶対に自分でも分かっているくせに……。
「きっとこの『原石』は、南部で居なくなった子供だと思います。数が少ないのに高価なことと……南部の反乱がある以前に人が売買されていた時の額に近いものがありました」
「因みに、人の売買価格を見たことがあるのはなぜだい?」
「……幼い頃曾祖母様に教えられました。人間はこんなに安い値段で買い叩かれてはいけないと言われました」
「そうか……辛いことを思い出させてしまったな」
そういうと殿下は私に優しく微笑まれる。
それなら私に核心を突かせないでほしいわ。
「ということは、子どもたちを売買していたという事ですか!」
ルーカス様が大きな声を出されて叫ぶ。
それもそうだろう……ご自身の家門が、法律に反して人を売買していたのだ。
そしてそれは、リーンにも言えること……。
よもや彼女を救い出すことは難しいのではないかと誰もが口を閉ざしてしまう。
家門の罪がその家の人間に降りかかるのがこの世界だ。
リーンが関与していないということを誰にも納得させる形でしなければならない。
どうしたものだろうか……。
なにより、我が家だって無事でいられる保証はない。
平民に嫁いで貴族席を抜けたと言っても、元々叔母様はサントス伯爵令嬢だったのだ。
ない頭で考えるけれど私では何も思い浮かばない。
領民たちの顔が浮かぶ……。
「ユリアーナ嬢。君が憂うようなことにはならないと約束をしよう。何より……アイリを捕らえておいて無事で済むと思っているなんて……本当に愚かだ」
黒い空気を纏ったアレクシス殿下が、不気味に笑っている。
怖い……本当に。
本気出したらきっと国の一つでもたやすく滅ぼしそうだ。
「サントス伯爵家に関しては、グランヴァルト副商会長が嫁がれた際に、正式に絶縁をされていますので本当にご安心ください」
アレクシス殿下の横に控えていたオリバーさんが私に笑顔でいう。
「ですが、わかりやすく潔白を証明する為にぜひとも……殿下のために働いていただけると嬉しいですね」
「えっ……あの、はい。もちろんでございますです」
オリバーさんの圧に負けて変な返事をしてしまう。
ナチュラルに怖いな……この人も。
「それにしても急にこれだけ動くって何があったんだ?」
ルーカス様の言葉に全員が首を傾げる。
「王妃様への非難が身を結ばなかったからリーンの家について暴露をしたとか?」
「それにしては、やっぱりそう急だと思うんだよね。証拠がないからアイリーンまで囚われてしまったんだと思う」
ミリィやセレス殿下も意見を言われるけれど何となく違う気がした。
だって、保守派からしたら王妃様の件はすぐにバレる嘘だった。
それは、バレてもいいという事ではないだろうか?
「元々ロゼリアン公爵家を陥れるつもりだった……ということはありませんか?」
私がそういうと全員がこちらを見る。
「理由は分かりませんけど、ロゼリアン公爵家は王太子妃の婚約者候補に候補を出せる家です。ということは、革新派最低でも中立派ではないといけませんよね?」
「あぁ……王家でもその辺りはしっかりと調査している」
「それなら、少なくともリーンが王太子妃に内定したことが表向きに発表になってから保守派に鞍替えした……もしくは鞍替えせざる終えない事情ができた」
「例えば……なんだと思う?」
「私が言うのもなんですがMuguetNoirを融通してもらえるもしくは破格の値段を吹っ掛けられてそれを盾に保守派の人身売買に加担させられた」
自分で言いながら、矛盾していることも分かっている。
リーンが初めてグランヴァルト商会の王都本店に呼ばれたのは、夏休みに入ってからだ。
それより前から商会とロゼリアン公爵家が繋がっていたのだろうか?
「因みに聞くが……君はドレスや小物を見ればそれがどのシーズンの物かわかるかい?」
アレクシス殿下の問いに私は頷く。
「もちろんです。私がデザインしたものですから……原画にはいつ発売したものかメモも添えていますので寸分狂いなくお答えできます」
「そうか……なら、リーンの無実を証明できるかもしれないな」
そう言うとアレクシス殿下は、オリバーさんに命令をされる。
数日後……この地下室いっぱいのドレスを確認することになるなんて、この時の私は思っていなかった。
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