繋がる先にあるのは?
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私が従兄の所業について頭を抱えたくなるのを我慢していた。
そんなんことを考えているとリーンが口を開いた。
「ユリには、何か予想があるの?」
「あまり考えたくはないですけど、財政面なのだと思います」
「普通に考えるとそうですよね」
ルーカス様も納得したかのように、頷かれる。
正直ミスティ男爵家と縁組をするメリットがそれしかないのだ。
「でも、財政面だとしたら後妻がしている散財の資金はどこから出てるんだ?」
エドガーさんの一言に確かにと全員が頭を抱える。
「そう言っていても仕方ないな。王家でも注視しておこう」
「お忙しい中申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします」
アレクシス殿下に頭を下げながら、私は十歳年上の従兄のことを思い出す。
前妻はすごく優しくて従兄とは幼馴染だった。
二人は婚約者という関係だったけれど、本当に愛し合っていた。
そして、二人とも本当に誇り高き騎士だった。
しかし、小競り合いが起きた南の国境戦で、彼女と祖父様は亡くなってしまった。
戦後処理に追われて、悲しむ暇のなかった従兄は、ギャンブルにのめり込んでいった。
そんな彼を褒めるとするならば、家の資産を使い果たすほどにはのめり込まない理性があったことだ。
「それにしても、サントス伯爵家周りでなぜこんなにも色々なことが起こっているんでしょう?」
ミリィの疑問に全員が私を見るけど、私だって知りたいのよ!
たしかに、母の実家は西の騎士と言われるほど、武芸に秀でている家ではある。
それは、私だって知っているし……そう言う教育も受けてきた。
でも、サントス伯爵家の方になると歴史が古いこと以外は特にこれといったことはない。
と、思っている……。
「考えても仕方がないね。これでみんなの報告は終わりかな?」
セレス殿下が気を使ってくださったのか、会議の締めようとされる。
「そうだな。それぞれやれることをしっかりやっていこう」
アレクシス殿下がそう言って、この場は解散になる。
私はミリィと二人寮まで戻るが、その間も無言だった。
部屋の前で分かれてから、とりあえず部屋に備え付けのバスタブに湯を張って浸かる。
「我が家は原作に出てこない家だったのに……なんでこんなに?」
そう考えて、少しだけ原作を思い出そうとして見る。
原作でミリィと出会った頃にエドガーさんが憎いと言っていた。
その新しい大商会が、叔母様のグランヴァルト商会の事だったのだろう。
確かに、設定と合っている。
私が、叔母様に協力するようになった年数が重なる。
この作戦が始まって、リーンとは話す機会がなくなったし……。
劇のことももう少し詳しく聞きたい。
湯船に頭から沈んで物思いに耽る。
今思えばこれって、前世からの癖だな。
しばらくバスタブに沈んだ後に、お風呂を出る。
髪を乾かして寝る準備をしていると控えめなノックの音が聞こえる。
扉を開けるとそこには、エマさんが立っていた。
そしてその後ろにはリーンがいる。
私は彼女たちを急いで部屋の中に入れる。
「どうしたのですか?」
「いえ、ユリにだけ話したいことがあってきたのよ」
リーンがそういうと、エマさんが小物をいくつか私に見せる。
「これは奥様がアイリーン様に送られた髪飾りなのですが……」
「はい……それがどうしました?」
特に見た感じは、変わりない気がする。
しいて言うなら珍しい宝石が使われているところくらい。
そう、これはダイヤモンドだ。
「これ、グランヴァルト商会の商会長と副商会長から我が家に送られた品物なんですって」
「えっ……でもロゼリアン公爵家は、革新派の中心ですよね」
「えぇ、私はそう思っているのだけれど……」
「寝返ってほしくて賄賂?」
私がそう言うと三人だけの空間に吸い込まれるように言葉が落ちる。
そして、静かな空間に突然ノックの音が響く。
私が驚いて、二人に部屋の入り口から死角になる位置にいてもらう。
扉の前に立つと静かに息を整える。
「どちら様ですか?」
「ご、ごめんなさい。ユリ。いきなり来てしまって……」
「ミリィ?」
「その……あなたと話したくて」
私が扉を開けるとミリィが一人で外に立っていた。
そのまま中に招き入れると部屋の中にいるリーンとエマさんに驚いている。
「リーン……」
「ミリィ、あなたは大丈夫なの?」
「うん。今まで華やかな集まりに顔を出すことがなかったから、まだまだ緊張はするけれどなんとか……」
「困ったことがあればいつでも頼ってね」
リーンはそう伝えるとミリィを抱きしめる。
学園では私たち、喧嘩したことになっていて表立って話ができないからな。
「そうだ……あのね。さっきの話を聞いて保守派の集まりで配られていたブローチの事を思い出したの」
そう言ってミリィの手に握られていたのは、小ぶりの鈴蘭の花のブローチだった。
台座に使われているシルバーは、少し黒くなっている。
「そうなの……MuguetNoirの非売品だからって、配ってたのよ」
「私は見たこともないし……デザインもしてないわ」
「待って……そのブローチにもダイヤが使われているのね」
リーンに言われて見ると確かに鈴蘭の花の部分にダイヤモンドが使われている。
ミスティ家の炭鉱。
リーンの家にわいろとして贈られたアクセサリー。
保守派の集まりで配られたブローチ。
このすべてが我が家と関りがあることに怖さを感じてしまう。
このことを殿下たちに伝えることにして、二人はそれぞれの部屋に帰っていった。
私が母に手紙を至急書こうとした時……窓を叩く音が聞こえた。
慌てて近づくと一羽の鷹がそこにはいて……。
「お母様の鷹だわ」
私は、子の鷹を部屋に入れると足に括りつけられた手紙を取って読む。
底にはたった一言だけ……。
『シュトレイン家が乗っ取られそうだから、王都へ行くのは遅れます。あなたにはあなたのやることがあるでしょうから、頑張りなさい』
と達筆な字でつづられていた。
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