猛者と謳われる従兄とその後妻
アップ時間が遅くなってしまい申し訳ありません。
「いや、聞かなくても分かるかもしれない。保守派で最近不自然に嫁いだ令嬢が居るんだよ」
ルーカス様がそう言うと全員が、ルーカス様を見つめる。
「ミスティ男爵家の……ユティア様がなぜかこの春に嫁がれたそうです」
ミスティ男爵家?
確かお母様がくださったリストによると保守派の中でも、新しい家で南部ではなく西部に領地を持つ男爵家。
たまたま利権を譲り受けた鉱山が当たったらしく、今では成金の代表のようになっている。
「げっ……ミスティ家ですか、商人の間で嫌われている家ですよ」
「そうなんですか?」
心底嫌そうな顔をするエドガーさんに、ミリィが不思議そうに聞く。
「典型的な権力を握っちゃダメなタイプですよ。男爵なのにも、今や納得してないみたいですしね。僕も会話をしたことがありますけど、会話が通じないタイプですね」
「俺も会ったことがないな。王都へは、代理で彼の息子が出てくるからな」
アレクシス殿下もあまりピンと来ていないらしい。
「ミスティ男爵家は、我が国に良く滞在しているな。鉱山の販売を自分でしているからな」
セレス殿下が考えながら言う。
「我が国よりもセレスの皇国に根付いているのか?」
「根付こうとしているみたいだけど、皇国としては貴族位にある人間が、ほいほい来られても困るからな断っているところだ」
「でも、娘は西の辺境の歴史ある伯爵家に後妻として嫁ぐ……」
「両方に影響力を出したいという思惑か……」
「可能性はあるな。鉱山で採れる石がエネルギーにも宝石にもなるらしいからな」
何が採れているのかを知らなかったけど、それってもしかして……。
「その鉱山から出ているのって、黒くて燃やすとよく燃える石ですか?」
私がそう聞くと、両殿下が驚いた顔で私のことを見る。
「ユリアーナ嬢、知っているのかい?」
「聞いたことがあるだけですが……」
「なら、使い方を知っているのか!」
「えっと……そうですね。燃やすことでエネルギーになるので、機械を動かすのに動力減として使えるものだと何かで読みました」
「動力源になるのか……それは使えるな」
アレクシス殿下が、少し悪い顔をする。
それを見て、リーンが殿下の事を小突く。
彼女がそんなことをするのに驚いて見入ってしまう。
「こほんっ。今から理由を付けて没収しようとしないでください。それよりもサントス伯爵夫人のご実家のお話ですわ」
「そうだな。西の要だからな……シュトレイン家は」
「それにしては、我が家にお母様の家の騎士が来ているのはなんでだろう」
「お母様は、人を見て受け入れるかどうか決めてますけど……」
「そうか……なら、きっとサントス伯爵家は、万全だな」
「はい。お母様の見る目は確かだと、お父様が言っていました」
帰される騎士たちは、お母様が見たことない人たちばかりだと言っていた。
なんなら、質が悪い騎士ばかりだと……。
普通の服を着ているのに、なぜしtが悪いとわかったのか、そっちの方が知りたい。
「僕の報告がそのミスティ男爵家の話だったんだよね。最近、皇妃に近づきたいらしい。ほぼ毎週誰かに連れてこられてるよ」
「連れてきてもらったんじゃなくて?」
「いや、僕も先週帰った時に聞いた話だけれど連れてきている貴族の方がペコペコしているらしい」
「なんだそれは?」
「分からない。でも反王政派の人間も皇族派の人間もどっちも連れてくるからよくわからないらしい」
「私の見解ですが……」
おもむろにミリィが話し出す。
「その鉱石、今は石が圧縮された宝石の方だけが出回っているのではないでしょうか? それなら、誰も持っていないもの欲しさに色々な貴族が群がるのも納得がいきます」
「でも、それならなんであんな成金のところに?」
「採掘の寄付を受けているか、もしくは利権を売っているなんてところじゃないですかね。一時、うちの商会にも話が来ましたよ。珍しい宝石が採れる鉱山の利権を買って、売れた時に報酬を何割かもらえるなんてのが」
「アレクシス殿下とセレス殿下は、黒い石をご存じでしたよね? なぜ知っていたのですか?」
ミリィの言葉にリーンが疑問を持ち、その答えになりそうなことをエドガーさんが告げた。
そして、ミリィの問いに二人の殿下は考えてからハッとした顔をされる。
「将来宝石になるからとミスティ男爵家から献上されたものを見たんだ」
「僕もそうだ。兄上に本当にこれが宝石になると思うかと聞かれた」
「ならば、今のミスティ男爵家は焦っているのかもしれませんね」
「どういうことだ?」
「宝石が思ったよりも出ていないのではないかと思います」
「……もしかして! 東方の採掘技術!」
そこで、私は思い出した。
東方の採掘の仕方は出てくる鉱石を傷つけることが少ないと聞いたことがある。
そして、お母様の実家ならばその方法を知っているし、たくさんの炭鉱夫達がその技術を習得している。
私が、その場にいる全員に東方式の採掘方法について伝えると、納得いった顔をしていた。
でも、まだわからないことがある……。
母の実家の当主は、私の従兄に当たる人だけれど、なぜ彼はそんな奥様に尻を敷かれているのだろうか……。
そう思って、一つだけ思いつくこと……。
「あの賭ケグルイ……がなにかやらかしたのね」
私のつぶやきにその場にいる全員が目を見開いていた。
そりゃそうだ、戦場に出ればたちまち兵をなぎ倒すと謳われている我が従兄にして、シュトレイン家の猛者がただの賭ケグルイなど……親族としても恥ずかしいのだ。
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