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モブ令嬢、原作にいません  作者: 紫乃てふ
密動編

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62/75

謎の劇……

私は、混乱したまま会議室に入る。

すでに全員揃っていて、私がミリィの隣に立つとセレス殿下が隣に来る。

ただ、隣に立っているだけなのに、お昼のことが頭をよぎって顔に熱が集まってくる。


「それでは、それぞれ週末に何か話があれば教えてくれ」

アレクシス殿下の声に、ハッとして集中する。

「では、ユリアーナ嬢から聞いてもいいか」

「は、はい。私の方はそんなにお話しできることはないのですが……」

よくよく考えたら、今週末から経理の書類を見る。

だから、まだ何もゲットできていない。


「その……今週末から経理の勉強をさせてもらうことになりました」

「そうか! それはよかった」

アレクシス殿下が私の方を見て、優しく笑ってくださる。

「見せてもらえるということは、君はそんなに警戒されていないってことだろう?」

「でも、大事なことを隠される可能性はゼロでは……」

「端から隠している可能性だってあるんだ」

「そうですよ。商会側が素直にそれらを見せてくれるかどうかは分かりません」

「叔母の執務室が無人になる時間があればいいのですが……」

「君は、そこに何かあると思っているのかい?」

アレクシス殿下の言葉に、頷く。


「私が商会に行くようになったのは、この春からです。でも、叔母が執務室から出ているところは見たことがないです」

「それは、確かに怪しいな」

「叔母が席を外すときには、叔父か叔父の家の人間がいました」

「ますます怪しいな」

「気を付けて調査に当たってくれ」

アレクシス殿下の一言に私は、頷く。


そのあと、ルーカス様から保守派の会合で聞いたお話。

保守派の中でも、今の在り方に懐疑的な貴族たちをリストアップしていた。

彼らは、グランヴァルト商会と距離が近いことから、少しずつ派閥との距離を置いているらしい。


リーンは、逆に革新派の集まりに週末は時間が許す限り参加したとのこと。

その中に、謎の観劇を見る集まりがあったという。


「今さらな題材ではあったのですが、南部の反乱を題材にしていました」

たしかに、今それを題材にする意味は何なのだろうとそこに居る全員が首を傾げた。

もう一つ不思議なのが、リーンがじっと私を見ているのだ。


「その……。ユリ、あなたしばらく革新派のご令嬢から追いかけまわされるかもしれないわ」

「な、なんで?」

「南部の反乱にどこからともなく現れた、東洋の傭兵が悪役の話なのよ」

「えっ……まさかそれって」

「モデルになっているのは、あなたの曾祖母様だと思うわ」


いやいやいや、なんで英雄と言われた曾祖母様が、悪役にされてるのよ!


「それは、なぜだ。あのお方は、王家でも英雄として記録が残っている方だぞ?」

「それが、ここから遠い東洋の国からなぜ傭兵が来たのか分からない。本当に出自が東洋なのかもわからないと……。戦況を混乱させるために誰かが送った刺客という形に話はなっていましたわ」

「設定、がばがばじゃない?」

セレス殿下が、そう突っ込むけれどリーンは、横に首を振る。


「私もそう思って見ていたのよ。送るとしたら保守派のはず。王家もいきなり現れた東洋の傭兵。しかも女性で鎧も身にまとっていない彼女を怪しんだという記録は残っているの」


鎧も身にまとっていないなんて、曾祖母様の話を思い出してからずっと思ってるんだけど、くノ一だったのかしら?

そんなわけないだろうけど……。


「その部分だけがクローズアップされたってこと?」

私が言うと、リーンも眉をしかめていた。

「えぇ。そうだと思うわ。言ってしまえば、そのスパイなんじゃないかみたいに話は進んでいった」

「ラストは、どうなったの?」

ミリィが、聞くとリーンの眉間の皺がさらに深くなる。


「スパイだという事が、晩年にバレて殺されるのだけど、その時に私と同じ色を持った子が、私の悲願を達成するだろうってセリフを残して亡くなるのよ」

全員の目が私に向く。

私は、そのセリフよりもその悪役が亡くなった状況に驚く。


私の曾祖母様は、何者かに殺害されたのだ……。

サントス伯爵領からお母様の実家のある西の領地へ帰る最中に……。


「もしかして……」

ミリィが、私の表情を見て察したのか、口を手で覆う。

アレクシス殿下もリーンと同じように眉間に皺を寄せた。

エドガーさんとセレス殿下は、あまりピンと来ていないみたいで、私のことを見ているだけだった。


「曾祖母様は、マリーが生まれた年の冬。三人目のひ孫を見に訪れた。サントス伯爵領から領地に帰る最中。野盗に襲われて亡くなりました」

「誰も護衛はつけてなかったのかい?」

セレス殿下の言いたいことは分かる。

当時の曾祖母様は、もうご高齢だった。

いくら英雄と言われた傭兵でも一人で帰るのは、危ない……。


「いえ、曾祖母様はご自身が育てた傭兵に護衛をお願いしていました」

「彼らは?」

「みな、その野党に……」

私がそこまで言うと、セレス殿下が私の唇に指をあてる。

「つらいことを言わせてしまったね。すまない」

「いえ……」


「それにしても、おかしいな。アイリーンがユリアーナ嬢と友人になってから急に流行った劇……。タイミングが良すぎないか?」

「僕が商会の人間から聞いた話も関連しそうですね」

エドガー様が、手を挙げるのでそちらにみんなの視線が集まる。


「サントス伯爵夫人のご実家が最近やたらと金回りがいいらしい」

「母の実家がですか?」

「そう。ただ、金回りがいいと言われている理由が最近後妻に入った令嬢の金払いが良いって話なんだけど」

「……再婚の話は、聞いておりません」

私がそういうとまた全員が、首を傾げてしまう。


「嫁ぐとどうしても実家の事とは、距離ができてしまう。伯爵夫人とご実家の関係がどうだったのか私は分からないけれど、一度確認してみてはどうかしら」

リーンの一言に、私は頷くことしかできなかった。


なんで、私の周りでこんなに変なことが起きているのか……。

偶然なのかそういうあらすじなのか、今はまだ分からないのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

毎週月・木・土曜日の20時に更新をしています!!

ぜひまた、読みに来てください。

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