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モブ令嬢、原作にいません  作者: 紫乃てふ
密動編

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57/75

少女は復讐を誓う

いつもお読みいただきありがとうございます!

リアクション・ブックマークをいただき本当にありがとうございます。

いつもいつも本当に励みになっています。


 ミリィとルーカス様のやり取りに見とれていた私は、我に返ってアレクシス殿下の方を向く。


「アレクシス殿下、私からも一つご提案を聞いていただけませんか」

「ユリアーナ嬢、なんだい」

「グランヴァルトの内部を探る役目を私にやらせてください」

「そっ……れは、助かるけれど君に何かあっては僕がアイリーンに嫌われそうだ」

 殿下は、いたずらっぽく笑いながらそういうけれど、きっと私の身を案じてくださっている。

 それは、彼や横にいるリーン、セレス殿下の顔を見れば一目瞭然だ。

 しかし、あの叔母様が今から潜入させた人に心を開くとは思えないのだ。


「今から誰かを送っても叔母たちのガードを壊すのには時間がかかります。しかし私なら彼女たちの懐に入るのはいとも簡単です。ここまでコケにされたのです。私に……”復讐”の機会をください」

「そんな、復讐だなんて……ユリ」

 リーンが私の方を見ながら口に手を当てて驚く。

 昨日の夜二人が寝付いた後、このままでいいのか私は考えていた。

 ただ、着る人たちの幸せのためにデザインしてきた服が、犯罪に使われて、私はこのまま何もせずに過ごせるのかと。

 そして、思いついたことそれは、叔母への復讐だった。


「君には親族を罰する覚悟があると思っていいんだな」

 今までにない為政者としてアレクシス殿下が私に聞いているのだと、声のトーンで分かる。

 その真剣な瞳に私は、負けないようにはっきりと答える。


「はい。私は、あの服を装飾品を買ってくれた人たちが、幸せになることを想像してデザインしてきました。その矜持を踏みにじられたのです。許すことなどできません」


 そこまで言い切るも、殿下に一つの提案をする。


「その代わり、父や兄など家族への温情を求めます。この件に関わったのは私一人です」

「違いますわ。ユリは、何も知らなかったじゃない」

 リーンが私のところに駆けてきて、力強く抱きしめてくれる。

 ミリィも驚いた顔をして、私の手を取る。

「殿下、殿下だってユリを罰しようなんて考えていませんわよね」

 リーンはアレクシス殿下を睨みつける。

 それを見ながら、殿下が面白そうに笑う。

「アイリーン、落ち着け。そうだな、それは彼女の働き次第だ」

「そんな……」

 リーンが不安そうな声を漏らすが、殿下は優しく微笑む。

「彼女には、我が国の経済を回す為にしっかりと卒業後働いてもらわなければ」

「えっ……」

「組織の資金源になれるなんて、彼女の才能があるということだ。もし悔やむのであれば、我が国の経済を回してくれ。それに、元々はサントス伯爵家の人間だが、彼女はすでに嫁いだ身だ。だから、サントス伯爵家の血縁者たちには何も起きないと約束しよう」

「なにより、サントス伯爵も我々に協力をしてくれている」

 家族に被害が及ばないと聞いて、ほっと息を吐く。


「わかりました。私にどこまでできるか分かりませんが、学園を卒業した折には、この国に貢献することを誓います」

 私の言葉を聞いて、アレクシス殿下が柔らかく頷いて下さる。

「その時には、俺の家が支援するよ。店探すのとか大変だろうし、経営の事とか勉強しないとだろうし」

「それです。私、グランヴァルト商会で経理の勉強がしたいと言って帳簿を探ってみます」

 エドガーさんの提案に、具体的に何をするのが良いか悩んでいた私は、ひらめいた。

 帳簿は必ずつけているし、MuguetNoir(ミュゲノワール)のアイテムに関しては、どういうものが使われているか聞かされてはいる。

 もし変なことがあれば少しは分かるはずだし、将来の為と頼めば断れはしないはずだ。

 断ったら怪しんだふりをしてしまえばいいわけだし。

 彼らにとって有益である間は私に手出しはしないだろう。


「それで、君になにか危険が向くことはないのかい」

 セレス殿下が心配そうに私を見てくださる。

「完全に大丈夫とは言い切れませんが、彼らに有益である限りは、危険ではないと思います」

 力強く返すと納得はしてなさそうだけど、理解はしてくださったみたいだ。


「一旦、まとめる。ルーカスとミリアム嬢は保守派内部の探りを頼む。ユリアーナ嬢は、グランヴァルト商会の会計など確認をエドガーは、ユリアーナ嬢をサポートしてやってくれ。セレスは皇帝陛下と密に連絡を取ってくれ。私とアイリーンは、国王陛下と連携していく」


 アレクシス殿下の言葉に、全員が頷く。

 アレクシス殿下に近寄ると、ルーカス様、ミリィやリーンにエドガーさんも横に並ぶ。

 そして、全員跪き、臣下の誓いとしての礼をとる。


 殿下から立ち上がるように言われ、解散の号令がかかり、隣にいたエドガーさんの手を取る。

「エドガーさん、協力してほしいことがあるんです」

「いいですけど、ちょっと近い……近いです」

「来月のデビュタントのドレスを作るための生地の卸業者と工房を紹介してください」

「わかりました、わかりましたから……離れて」

「よかった。ありがとうございます」

 一番緊急を要していた三人分のドレスが作れそうで、安心してエドガーさんから離れる。

 そのまま、ミリィとリーンとともに部屋を出る。


 寝る用意をしベッドに横たわったところで、そこでふと思い出す。

 前世で最後に読んだのは、この場面までだったのだと。

 ヒロインと彼女が仲良くなった登場人物達が、王太子に臣下の礼をとる。

 でも原作では、このシーンの後に事件の説明だった。

 だから、私は何が起きるのかはよく知らなかった。

 作品のあらすじに事件が起こり、ヒロインたちが一緒にそれを解決することになった。

 それだけしか知らなかった。

 まさか、こんなに大きい事件だったのかと、今更ながらに身震いをする。


 今までだって私が介入したことで原作通りではなかった。

 だけど、小さな事件を解決するくらいだろうと心のどこかで思っていた。

 私に何ができるのか、正直分からない。

 だけど、私は私にできることをしよう。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

毎週月・木・土曜日の20時に更新をしています!!

ぜひまた、読みに来てください。

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