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屋敷からの脱出

ちょうどその時、物見櫓の鐘がなり、そこにいる兵士が叫んだ

「近衛兵が接近中!会敵まで10分です。シュベルツ卿と若君は直ちに逃げてください。」それを聞いたシュベルツは私兵に対して告げた。「いや、俺は残って彼らを引きつける。聞け!シュベルツ軍よ。今から我々は賊軍となって戦う。しかし我らはただの反逆者に在らず。臣民の生きる権利を保障するための戦いだ。」そうやって兵士達を鼓舞すると、桃香の方に体を向けて「共和国兵よ、我が息子をよろしく頼んだ。ロンドよ、達者でな。」こう言い残すと彼は塀に向かって走って行った。ロンドは意思を持っているかのようにしっかりと父親の言葉に対して、聞き入っていた様子に見えた。なぜならば目は据わっており肉親の勇姿を見届けているようにも思えた。ロンドのその姿を見た三人は驚いたが、戦闘に巻き込まれることを恐れて、撤収作業に勤しんだ。その裏で今、挙兵したシュベルツを救わないとルルシアにおける生存権の狼煙が途絶えてしまうと演説を聞いた隊員は危機感を抱いた。特に桃香はこの国にいる人が健康的で文化的な最低限度の生活を送れることを一瞬だけ祈った。元いた世界で国に仕えていた者として最高法規の条文を覚えておくことは彼女にとって当たり前だった。しかし、そんなことを考えている時間は一瞬で、すぐに作戦行動に戻った。北と東に展開している隊員に対して、別の場所の警備についていたルーサーは無線で南からの脱出をするように告げていた。彼女らは屋敷の中央あたりから脱出地点に向かっていた。だが、成人男性を担いだまま10分以内にその場所へ向かうのはやや厳しいと彼女は思っていた。なるべく急いだものの、北に展開していた隊員が追い越して行った。

経路上の右には建物があり、安全だった。しかし、左には中庭があり、その先には東門が見え、敵兵が迫っている様子が確認出来た。危険がかなり直近まで迫っていると感じた彼女は、護衛の二人に左側の防衛を厚くするように伝え、腰につけていたM9A1の安全装置を解除していつでも射撃できるように準備した。東門の兵士たちは善戦しているように見えたが、数的劣性により徐々に押されていた。その場をできるだけ急いで離れようとした。しかし、合流地点に到着する寸前で東の門は敵の手に落ちた。それを開け放つと、敵の攻城部隊がぞくぞくと侵入していた。こちらが重要人物を運んでいると認識した彼らはこちらに向かって突撃してきた。ちょうど中庭を通り過ぎた位置に彼女たちがいたため、敵は直線距離を進むことができたが、その条件はこちらも同様だった。遮蔽物のない場所を突進してくる彼らに向かって門を守っていたルーサーたちに加えて、ポイントに到着していた隊員が一斉にフルオート銃撃を浴びせた。第一陣の攻城部隊はその射撃で次々と倒れていって壊滅させることに成功した。その隙に南の門を抜けて、脱出に成功した。重要人物のロンドを荷車に乗せて、それを車椅子二台が引っ張ることで機動性を維持したまま陣地へ帰還した。


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次回の投稿予定は3月28日です。

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