逃げなくちゃ
カーアクション最高!
厳密には(車)椅子ですけど。
なんとかここから逃げ出さなきゃ。逃げ出さなきゃ。考えろ。俺!
王のそばについていた騎士たちが後ろから押している。しかしびくとも動かない。そういえば俺は今かなり重量のある車椅子に乗っているんだった。 車椅子を取得した際に親から言われた禁忌を今ここで発揮することにした。車椅子は動くための大事な機械であると同時に強力な武器にもなる。俺は車椅子のスピードを最大速度の設定にし、思い切りバックした。 数人を後ろに吹き飛ばすことに成功した。驚いた彼らは剣を抜いて首を取ろうと向かってきた。 しばらくフルスピードで後退しつつ距離を置くとそれまで後ろに倒してたジョイスティックを逆の前方向に倒すことで急減速してスピードを殺す。一時的にGがかかり、俺の体はシートに押さえつけられる。完全に前進への移動に切り替わる前にアイテムボックスからショットガンを取り出し、なんとか片手で構え、発砲した。「ダンッ」騎士数人が甲冑で覆われていない部位から血を噴き出して倒れ、叫び声が上がった。発砲音に驚いた騎士は飛び退き、仲間の惨状を見ると間合いをとった。すでに全身に切り替わっていたため距離を詰めながら、俺は相手の行動に構うことなくもう一度引き金を引いた。再び叫び声が上がり、 目の前にいた剣士たちは全員倒れた。 脅威がなくなったため、片輪だけ勢いをつけた信地旋回をして俺はその場を離脱した。
爆音を聴いた人たちが何事かと集まってきた。その中に王もいたが、その場に俺はいなかった。
(リミッター解除してて助かった。)俺はそう思った。 日本国内では電動車椅子は時速6キロまでと決まっている。しかし、スポーツ などでリミッターを自己責任で解除することも一応できる。元の世界では田舎にある父の実家に帰省した際に山道を走る目的で解除していたのがこんなところで危害を加えるために利用するとは思わなかった。
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