思わぬ身バレと協力者
体調戻りました。お騒がせしてすみません。
そのお金を持って荷車を降りて桃香に肩を貸してもらい、近くの万屋に入店した。その際にも異質な目で見る輩が多かったのだが、中には俺たちに祈りを捧げている人もいた。「こんにちは。行商の者ですが、先ほど噴水の前で塩を売ったらこれだけの金額になりました。しかし、まだ在庫が残っているので買い取って頂けませんか。」店主は驚き、一旦店の奥に行った後、金貨一枚で買い取ってくれた。金貨一枚の価値がわからなかったので「田舎から来たのでこの街の物価を教えてもらえませんか」と聞いた。「小銅貨八枚で一般的な外食を一回したくらいの額です。また小銅貨百枚で小銀貨一枚と同等の価値です。それぞれの貨幣に大小があり、小銅貨十枚で大銅貨一枚になります。ちなみに一番価値の高い貨幣は大白金貨でその価値は小銀貨十万枚です。お嬢さんが今受け取った金貨は小銀貨百枚の価値があります。庶民が一月に使う生活費は大銀貨五枚ほどだと思います。」店主は詳しく丁寧に教えてくれた。
「ありがとうございます。ところで私たちはこの国から脱出しようと思っているのですが、近道をご存知ありませんか。」
「それなら西のオクタビア共和国がいいと思います。この国とは何度も戦争していて関係性は最悪です。ただ多民族国家ですから勇者様方も暮らしやすいのではないのでしょうか。あなた方の身元を保証する証明証を書きましたので、首都であり港町のダンパーの姉妹店で同じものが売れるように手配しています。」「えっ。私が勇者だといつ気付いたのですか」正体が知れて待ち伏せされたと考え、それぞれ武器を構えた。「ハハッ、安心してください。敵ではありませんよ。いつ分かったかなんて言えません。ただ商人にとって情報というのはとても重要で独自のネットワークがあるのですよ。王様が次にどのような行動を取るか予想できるほど。そしてあなた方は私たちにとって利益になる存在です。」俺たちは武器を下ろした。「私はこの国付近の地図を持っています。餞別に差し上げましょう。さあ城には伝えないので早く行きなさい。街道を西に行くのですよ。」俺たちは幸運にも地図を手に入れた。何も買わないわけにはいかなかったため、その店ではお酒を買った。ストレスがかかる状況でも息抜きは大切だと感じたからだった。
お読みいただきありがとうございました。このエピソードは蛭子=恵比寿伝説と蛭子=脳性麻痺説をモチーフにしました。ただ主人公がいる国では異端という設定です。それと某スパイ映画からも影響を受けています。
もし面白ければいいねや、ポイント、ブックマーク登録をお願いします。次回の投稿は2025年5月28日です。