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原因不明の病

作者: 藍上

「橋本結衣さんね。えーっと、急に視界がが明るくなってそれから少しすると自分の感情がコントロール出来なくなる、と。…うーん…。」カルテを見ながら50代程の男の医者はぶつぶつと独り言を呟いている。「助けてください!本当に困ってるんです!!あぁ…!今もまた急に視界が明るくなったんです!」と必死に訴える。


私はこの23年間心身ともに健康に生きてきた。だが最近になって急に視界が明るくなり、自分の感情がコントロール出来なくなるのだ。今もとても焦っている!さっきまでなんともなかったのに!!私はこの症状を早く解明してほしい、と思いカルテを眺めながら悩んでいる様子の医者を見た。


「橋本さんは普段から"本当に"自分で自分の感情をコントロール出来ていますか?」医者はおかしなことを聞く。

「できてますよ!!!!」私はそう叫ぶ。どうしてそんな当たり前のことを聞いてくるんだこの医者は!


「本当に…?それはあなたの"橋本結衣"の感情なんですか?」先程よりも1つトーンが下がった医者の声に、何か確信に迫っているような感覚に陥る。

そのおかげか急に冷静になった脳内で今までのことを整理する。"これ"は本当に私の感情なのだろうか。今だって急に冷静になった。まるで誰かに操られたかのように。この考えだってそうだ。誰かが既に整理し、順序立てしてから私の脳にはめ込んだかのようだ。


私はハッとして医者と目を合わせる。医者ゆっくりと頷き「落ち着いてきたようですね、橋本さん。」そう言った医者の声は柔らかく聞こえさせられている。医者は続けさせられる。


「そろそろお気づきでしょう?私もあなたも物語の登場人物に過ぎないのですよ。私たちの感情も性格も全てキャラクターを立たせるためだけの設定なんですよ。この言葉もただのセリフですしね。」50代程の男の医者という設定の登場人物はふっと笑った。

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