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 ――オルレシア・バレンティノ



 これが私の名前だ。

 バレンティノ公爵家の長女として生まれ、父と母、それと三歳年下の弟の四人家族だ。家族仲はいい方だと思う。私ことオルレシアは公爵家の令嬢にふさわしい教養とマナーを身に付けており次期王太子妃になるのではと噂されるほどだった。まぁそれはあり得ないことなのだが。


 そんな私に転機が訪れたのは十四歳の時だった。私の縁談が決まったのだ。お相手は八歳歳上の二十二歳、侯爵家の嫡男で次期宰相の呼び声高い有望株。そんな人に今まで婚約者がいなかったのを不思議に思ったが、父の口から婚約者の名前を聞いた瞬間そんな考えは頭から吹っ飛んだ。



「ミラスティ侯爵家のレナルド殿だ」


「え?ミラスティ…痛っ!?」



 私はミラスティ侯爵家の名前を聞くとなぜか突然頭が痛くなり、そのまま意識を失ってしまったのだ。





 ――ミラスティ侯爵家



 小説『きらめく星たちと』に出てくる悪役令嬢、ルナリア・ミラスティの生家だ。


 たしか悪役令嬢であるルナリアは父に愛されていなかった。そんな父は母も愛しておらず、父を愛していた母は次第に病んでいき最終的にはルナリアの目の前で自害してしまうのだ。その経験からルナリアは心を閉ざしてしまうことになる。

 だがその心を救ってくれたのが婚約者の王太子だった。ルナリアは王太子に愛を求めるようになるが、逆に王太子の心はルナリアから離れていってしまう。

 そんな時王太子は学園で出会ったヒロインと恋に落ちるのだ。そしてルナリアは嫉妬からヒロインを憎み虐めた。しかしその事が王太子にバレて婚約破棄され国外追放になるのだ。



(…ん?)



 なぜ私はこんな不思議なことを考えているのだろうか。不思議に思うのだがなんだかしっくりもする。



(そもそも私まだ『きら星』全巻読んでない……、って)



「えっ!?」



 そして私は前世の記憶を思い出して飛び起きたのだった。


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