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眼鏡と神様の平凡な生活  作者: 胃痛小僧
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第4話 夏休みの計画(という名の独り言だね)

今回は短いです。

里実 自室にて



「ふんふふんふーん♪」


終業式を迎えて1学期が終わる。つまり明日から夏休み。今ベッドの上だけど、夏休みにゴロゴロできるってことを考えただけで心がウキウキする。というか鼻歌歌ってるし。伸びをして…ってだめだ肩の痛みが長引く。


とにかく明日から夏休みなんだからいくら夜更かししても学校に支障をきたさない!好きなだけゲームができる!動画も見れる!まさに天国!


さーて、これから何しようかなー。オリンピックのゲームやろうかなー。それともアーケアでスコア詰めでもしようかなー。はたまた育成アプリでも発掘するかな〜。


…どうせなら、夏休みの計画を一気に考えちゃう?


今まで能動的に長期休暇を過ごしたことがなかった気がする。遊んでばかり寝てばかりの引きこもり生活を何度も繰り返していた。


そうだなあ、お祭りとか行ってみたいかな。毎年毎年行きたいって言ってて暑いから行かないパターンが恒例化していたけど、今年こそはいける気がする。暑くなければだけど。


そんで…



頭の中に現れたのは、思いつく限りのやりたいこと、やらなくてはならないことが書かれたプラカード。それを一枚一枚拾って見て行こうか。


まず目の前にあったプラカードをめくった。『ゲーム』…まあこれは当然事項でしょうね。ゲームなくして夏休みは成り立たないもの。ゲームのない休暇とか何その拷問。


具体的なところは…そうだな、早朝からゲーセンに通い詰めてみようかな。いつもは学校の帰りとか、お昼ご飯食べた後だったしな。


そうすると早起きのスキルが学校以外でも発揮されなきゃいけないんだけど…まあ、大体午前は寝て過ごすんだ。たまに早起きしたってバチは当たらないでしょ。


早朝ゲーセンを知ったら玲が「私も混ぜてー」ってついてきそうな気がするな。なんなら自分からあいつを巻き込むか。いつも早起きな玲だから、寝過ごしそうになった時は彼女に起こして貰えばいい。


この間はとんでもないことをカミングアウトされてびっくりして考えてることまで読まれてるんだから、このぐらい大したことないよ、うんうん。


とか言って、「太鼓の達人の鬼★10の譜面フルコンボ最低でも50曲達成しないと帰れないツアー」とか計画されたらどうしよ。


ああ、あとスマホゲーム。さっきも言った通り面白そうなのを発掘したり、アーケア詰めてレベル8の理論値増やすかな。課金すれば何回でもできるってのがスマホゲームの魅力だよね。それで破産するとどうしようもないけどさ。



次のプラカードは…『ゲーム制作』。あー、これかー。またゲーム関連の話になっちゃうけど、これはやりたいことっていうよりやらなきゃいけない類のものだね。


二学期の10月下旬にある文化祭、パソコン同好会の出し物でパソコンで作ったものを見せるっていうのがある。それは動画だったりフリーゲームだったり…まあ色々。「楽しいところっすよ」ってのをアピールして部員を募るのが目的なんだとか。


それで私はゲームを作ってみようと思う。音楽ゲームが好きだから音楽ゲーム…と一瞬思ったけど難しそうだから、アイデアがあるホラーなものにしようかな。(文化祭用に短いものとはいえ)期限的にそろそろ着手しないといけないかもね。


びっくり演出の時の絵はどうしよう。自分で描くか。



ん、これは『クラスクを買う』か。(ネットで検索してもらった方が早いけど)「クラスク(KLASK)」っていうのは、台の下にある磁石を動かして遊ぶエアホッケーみたいな対戦ゲームのおもちゃ。


この間情報番組でやってるのを見て、楽しそうだから買ってみようと思ったんだよね。対戦相手にいつもの如く玲を誘ってもいいし、今年のお盆は兄が帰ってくるらしいからそいつをチョイスしてもいい。


「ちょっと検索してみるか」


スマホを使って大手通販サイトにアクセスしてみる。「クラスク」と打って…あ、あった。しかもまだ売り切れてなかった。


「購入確定…と。あとはメール待ちだね。コンビニ払いだから明日忘れずにコンビニ行こ」


家にいても買い物ができる。発達した文明がある時代に生まれて良かったあ。



ええと、お次のカードは…ん、なにこれ。あー…『部屋の整理』。そう、最近部屋に物が増えてきちゃったからなあ。私溜め込み癖があるから注意せんとなあ。


もう使わないであろう前の学校の教科書とかプリント。棚に溜まってるからいい加減捨てないと。ゴミ袋持ってこなきゃな。


関係ないけど私は、動き出すのが遅いけどやり始めたらすぐに集中できるタイプ。スロースタートってやつですね。初めは能力が半分だけど5ターン経過後に元通りに動ける。え、それデメリットしかないって?



そういえば…なんかこいつらよりも大事なことがあったような…。


こういうときって自分の内なる声が聞こえるから知らんぷりしないでよく耳を澄ませてみろって玲が言ってたんだよね。要するに深層心理かな?


よし、聞いてみよう。心の中を反響する声に集中する。


『…全ては…終わらせてから…』

「なにを?」

『…カードに連なる道…一つに道』

「んー?」


プラカードが置いてあった場所に注視してみる。あ、通路っぽいのあった。自分の精神世界であるこの空間は、何か物が落ちているところから、「そういえば、これって言ったらあれがあったな」というように道が広がる。例えるなら連想ゲームみたいなものか。


どうやら通路は他のカードからも伸びていて、先は一本の道に収束しているようだ。一体これがなにに繋がるというのだろう。


全ては終わらせてから…一本の道があったんじゃなくて、一本の道から枝分かれしたのか?


そう考えながら進んでいくと、紙が積まれた物があった。手に取ってみると大事なことと現実を思い出してしまった。


「これ夏休みの宿題やァァっ!!」


問題:夏休みに入ると必ずと言っていいほどまとわりついてくる物といえばな〜んだ?

答え:「宿題」! ピンポンピンポーン!


そうじゃん、まずこれやらないと遊びたくても遊べないし、無視しても後でツケが回ってくる。


内なる声は『全ては宿題を終わらせてからで、一本の道を辿ると宿題があるよ』と言っていたんだ。


「忌々しい課題めぇ…私の頭を侵食してんじゃねぇぞ紙の分際でぇ…!」


何をするべきかを思い出した。虫のように湧き出たこいつらをまとめて始末することだ。奪われた宝『やりたいことリスト』を取り戻すためにも、今剣を取るのだ!


「私は革命を起こし、次世代のナポレオンとなるのだー!ゲームたちよ立ち上がれ、皆のもの、かかれー!」


私が指示すると、ビデオゲームたちが鉛筆(ぶき)を持って果敢に攻め込む。宿題たちもそれに負けじと呪文(もんだい)を放つ。


こうして、レボリューションの火蓋が落とされた。


これは私が夏休みの自由を取り戻す戦いの記録である。マジヤバな宿題に手こずり、戦友とその相棒が駆けつけてくるのはまだ先の話であった…

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