第80話 八つの罪
一枚目。中央に赤い実が付いた樹があり、左右にいる男女が実をもぎ取っている絵。
裸体だが局部を上手く隠して描かれており、樹に巻き付いた蛇が二人を見ている。
【原罪】。
最初の人間から受け継いでいるとされる罪。宗教によってとらえ方が異なるが、流れとしては『人類の祖が蛇に唆され、神より禁じられていた果実を食べ、楽園を追われた』。
例:すべての人。
二枚目。中性貴族のような男女が、正面の方を見下している絵。嘲笑っている様がありありと伝わってくる。
【傲慢】。
偉そうに振る舞って人を見くだすこと。『自分は特別だ』、『自分は凄い』と勘違いしている。井の中の蛙大海を知らず。
例:中等部進学者の大半。
三枚目。金銀財宝に囲まれて喜ぶ男女の絵。一生遊んで暮らせそうな程の宝の山の中、天に手を向けてまだ何かを求めているように見える。
【強欲】。
欲が非常に強い事。欲が過剰になり、他人の都合を省みずにそれを満たそうとする。大抵は物欲に向けられるが、モノでなくても可。
例:ケチ、がめつい、泥棒猫、この世の全てが自分の物。
四枚目。恋人同士だと思われる男女を物陰から覗いている別の男女の絵。中央の恋人が幸せそうな半面、物陰の二人は悔しそうに見ている。
【嫉妬】。
自分の愛する人が、別の人に心を寄せることを怖れ、その人を妬み憎む感情。【羨望】とも呼ばれるが、こちらは自身が持たない何かを持っている人への妬み怨みの感情なので若干違う。
例:ヤンデレ。
五枚目。怒り狂っている男女の絵。髪を掻きむしり、血走った目、むき出しの歯で大口を開いている。よく見れば、頭に鬼の角が生えている。
【憤怒】。
人の感情の一つで、激しく怒ること。多くの宗教では、人間が持つ感情の中で一番ネガティブだと考えられている。ただ、大抵の神話では怒りによる話が多い。例:ヒステリー。
六枚目。裸の男女がそれぞれ数人の異性を侍らせている絵。局部は隠れており、周りの数人は目がハートである。
【色欲】。
人間の欲求の一つで性的な満足を求める本能。子孫繁栄の為でではなく、自分の悦楽の為に身体を重ね合ったり、不特定多数と楽しんだり、浮気不倫が当てはまる。
例:ヤリチン、ビッチ。
七枚目。男女がテーブルの料理を食べている絵。積み上げられた皿の枚数が多く、食べている物も量が多い。
【暴食】。
むやみやたらに食べる事。昔の食糧事情に不健康・浪費などの実質的問題が絡み合って罪と数えられている。
例:大食い。
八枚目。だらけた様子の男女の絵。男の方はただ寝ているだけだが、女の方は教科書を放り投げてスマホを見ている。
【怠惰】。
するべき事を避けて怠ける様子、だらしない様子。宗教的には、休む日に休まない人に対し、『本当の自分の姿になること』を怠けているといった意味。
恐らくあのピエロ野郎はこっちの意味だと思う。絶対に許さん。煩悩の数まで引き裂きたい。
例:ヒキニート、フェーゴ。
「すっっっげぇ分かりやすいけど最後ぉぉぉ!」
「隠しきれない殺意!」
「例が全部ひでぇ! 分かりやすいけど!」
「つまり、くろえ様は人類の祖?」
「ヴィン君、他のもちゃんと見ましたか?」
すべて見終わった後の第一声は、知らなかった組の叫びだった。勇人がツッコみ、七音も補足の様に叫び、武蔵は別の所を指摘し、ヴィンの着眼点には零がジト目で疑う。
すでに把握している面々の反応は様々だ。例に対しての苦笑いや大笑い、モノクルの破壊、絵に対しての称賛。
現状を作り上げた張本人は、満足そうに親指を立てている。言葉を発しないだけで、中身は愉快なことが大好きな人だったと、今更ながら思い出した。
状況が落ち着いてから、今まで同様に教師陣が本題を切り出す。
「敵のトップ、幹部格が六人、その他諸々……頭痛がしそうだ」
「わかる。情報量がえげつないからね。ああ、今回の話し合いの結果は全て、報告混乱間違いなしだろうけど」
「それで、私はどうなるのかしら? 斬首?」
「「「え゛?」」」
「冗談よ」
そう笑うくろえに場の緊張が緩んだのは気の所為ではない。本気に聞こえたのは七音だけではなかったようだ。
冗談にしては質が悪い。隣の璃久斗もそう思ったようで、小声で諫めている。
「……樫城君の事もそうけど……えっと……うん」
「さっさと言え」
「いやいやいや!? こんな特殊ケース、簡単に言えるわけないでしょ!? シルヴァンパス!」
「仕方ない……今から話すことは、ここに集まった全員に関係する話だ」
言いにくそうな響を急かすシルヴァン。結果、シルヴァンが話すことになったが、響ほど気にしていないようだ。関係があると明言されて、気にならないわけがない。
皆の視線がシルヴァンに向く。一拍置き、シルヴァンははっきりと告げた。
「ここにいるメンバーで部隊を組んでもらう。魔族が絡んでいると考えられる案件メインの部署を秘密裏に設置し、そこへ作られる初の部隊だ」
一瞬の間。その後、全員の絶叫が響いた。
七つの大罪は創作において使い勝手が至極いい




