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My own Sword  作者: ツツジ
本編
28/187

第28話 初実技に戦艦様達

ついに実技授業!


 小テストの結果は、最初の実践授業日の昼休みに生徒に通達された。

 無事にクリアして流華と静葉に抱き着く七音、ダメだったらしく四つん這いで落ち込む勇人とヴィンを必死で慰める零。



 数人の補習者の回復を待たず、実践授業は開始の時間を迎える。



 最初という事もあり、集合場所は全員同じ、訓練場の一部屋だった。

 訓練場は大きな六角形をしており、中央に各部屋に入る為の通路と観戦用に壁に張られた防護ガラス。そこから野球場クラスの広いが飾り気のない真白な部屋が六つ。

 各部屋、最先端の技術が組み込まれており、草原、洞窟、海上などの様々なフィールドの感覚を体験することができる。また、今まで倒して解析済みの魔物を立体映像として出現させ、戦闘練習を行える。


 一年生全員が入っても余裕な部屋で、皆そわそわと教員の登場を待った。水無月で目当ての初実践である。気持ちが昂るのも無理はない。それは七音達も同じで、大小あれども授業の開始を待ち望んでいる。

 唯一、くろえと璃久斗だけはいつも通りのすまし顔である。

 そんな雰囲気の中、自動ドアが開く音がすれば全員が一斉に振り向くしかない。





「やっほー七音ー!」





 一瞬の間、次の瞬間に歓声を超えた悲鳴が轟いた。教員だと思ったら、憧れの『戦艦様』である武蔵の登場である。一般生徒からすれば、心臓が止まりかけてもおかしくない驚きだ。


 一方、名前を呼ばれた七音は叫ばなかったが、目を点にして驚いていた。両隣の流華と静葉の視線が七音に移る。武蔵の突然の出現は本人が知らずとも七音に関係すると、聡い二人は把握していた。

 ノリノリで部屋に入ってくる武蔵の後ろから、数人の男性が一緒に着いてきた。全員、七音の顔見知りだ。


 最初に入って来たのは、オリーブ色を基調として刺繍を凝らした燕尾服を着こなす、眼鏡をかけた男性だ。澄んだ青色の髪を一つに纏め、佇まいからは上品さがにじみ出ている。誰もが見惚れる端麗な顔は武蔵を見つめている。

 その次には対照的な小柄な男性が続いた。黄色のふわふわとしたくせ毛に同じ色合いのポンチョが特徴的だ。温和な笑みで生徒達に手を振ってくる。その後ろからは無言の樹がさっと入ってくる。



 皇王夢(すめらぎ おうむ)星宮一弘(ほしみや かずひろ)、有藤樹。武蔵の幼馴染であり、適合相手の三人組だ。

 有名かつタイプの違うイケメンの登場に、女生徒の黄色い声が止まない。



 耳を塞ぎたくなる音量に顔をしかめていると、きょろきょろと見渡していた武蔵と目が合う。途端、武蔵の顔が輝いた。

 初日のことが頭に浮かび、七音は思わず身構える。だが、王夢によって武蔵は駆け寄れなかった。背後からすっぽりと武蔵を抱きかかえる王夢。少女漫画のようなシーンに一部の生徒から高い声が届く。


「何すんだよ王夢!」

「今回は教員側だ。一人の生徒に肩入れするべきではない。あと、シャンプーを変えたのか? ローズ系を選ぶのは珍しいな」

「それは差し入れで……って、何でわかんの!? キモイ! それに抱き着く必要ないだろ!」

「小生の願望故」

「余計キモイ!」


 顔を掴んで必死に引き剥がそうとする武蔵に、王夢は何でもないような顔のまま手を放す気配がない。七音から見れば昔と変わらない光景でも、初めて見た生徒達は小さく騒ぎ立てる。

 空気を変えるべく手を叩いて注目を集めたのは、一弘だ。


「は~い。皆注目~。説明するよ~」


 背後の樹に目で合図してから、一弘は一年生を見渡す。緊張で背筋を伸ばしている生徒が多く、それを見て一弘はうんうんと頷く。


「そこまで緊張しなくてもいいのに~。まぁ、今回の授業は特別だからね~。ホントなら、響さんと上の学年の適合できる一組が教えるんだけど~」

「天村がいるからと武蔵が響に五十六分粘ってこうなった。よく飽きなかったな、花丸だ」

「ガキ扱い止めろぉぉぉ」

「そういう訳で~ボク達が教えることになりました~。あと、あの二人はいつもああだから気にしないで~」


 のほほんとした笑顔と口調に、生徒たちの緊張が幾ばくか和らぐ。王夢からの脱出に真剣な武蔵を無視して、一弘は樹の方へと振り向く。いつの間にか移動していた樹はしゃがみこみ、何かの機械を弄っていた。

 一弘の視線に一度頷き、機械を作動させる。途端、真上の空中に大きな映像が浮かびだされた。プロジェクターのようで、樹が描いた絵が映し出される。それを指差しながら、一弘が話す。


「注目~。樹のイラストを元に説明するよ~。座学と被る部分もあるけど、復習とでも思ってね~」


 そう言ってから、説明が始まった。





 一般的に、適合率は鍵と鍵穴で表現されることが多い。


 各々が違う遺伝子の配列を持ち、適合できる相手がほぼほぼ決まっているといる点が似ているらしい。

 鍵穴にぴったりと合う鍵を使えば、適合しやすく適合率も高い。少し形が違う程度なら、頑張れば適合できるといった具合だ。そこでうまく適合さえできれば、特訓で出来るだけ鍵と鍵穴の形を近づけて適合率を上げられる。

 それ以外の大部分は鍵が鍵穴に入らない、もしくはスカスカすぎるということで全く適合できない。

 稀に、誰とでも適合できる男性、女性がいるが、現時点で学園には一人しかおらず、水無月学園が飲んだ条件通りに島外にいる方が多い。



 つまり、適合は大まかに分けて三種類に分類される。



 分かりやすい表現だが、鍵と鍵穴が性行為のイメージに繋がると何故か青少年保護団体が声を上げていると、一弘が苦笑した。


「つまり、適合率が高い小生と武蔵は結ばれて子沢山になる運命なのだ。白無垢もドレスも両方見たい故に迷うところだが」

「ああああああああああ!」


 武蔵のアッパーは体勢もあって綺麗に王夢の顎を捉えた。それでも回した腕を放さないのは、ある意味さすがだと七音は引いた。マサルと同じ根幹を持っているだろう王夢に、武蔵への同情がどんどん沸いてくる。

 慣れているだけあって、一弘は一連のコントを流してから話を続けた。

 

やっと出せた武蔵の幼なじみズ

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