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My own Sword  作者: ツツジ
本編
23/187

第23話 テレビ通話

最近流行りのテレビ通話です




 その後の行動は、皆速かった。




 電話をいったん切り、女子三人は寮に一度戻って七音のパソコンを運び出す。その間に男子三人、主に零が主体となって場所を作った。


 基本的に、空いている部屋というのは申請すれば生徒でも使うことができる。その内の一室、それも防音設備のある部屋をすぐ使えるのは、選んだ部屋の狭さ故に人気がなかったのだろう。

 合流の為に向かった部屋は、真ん中に長テーブルと椅子があるだけのシンプルな物だった。家具の存在で壁までの距離が近く、圧迫感に包まれる。わざわざ借りるくらいなら、カフェや食堂の方が居心地いいだろう。

 しかし、今回は快適さを求めていない。パソコンを机の上に置き、コンセントを繋いで起動させる。七音が椅子に座って操作し、他の五人は画面をのぞき込む。そして、テレビ通話でマサルへとかける。



『七音~! 会いたかったよ~!』



 コール音が鳴る間もなく、マサルが満面の笑みで画面に映る。マサルの説明は、準備中に簡単に行った。だからか、流華と静葉がぺこりと頭を下げた。


『あ、わざわざ挨拶ありがとう。七音の兄のマサルです。七音はこの地上に舞い降りた天使なので、ぜひ仲良くしてね!』

「わかる」

「流華なんで!?」


 画面を挟んで、互いに頷く流華とマサル。直接会っていれば、握手でもしそうな勢いだ。あの兄と波長が合うなど、流華が心配になる七音だった。

 ふいに、マサルが爽やかな笑顔から舌打ち交じりの悪態面で勇人たちを睨んだ。


『男は穢れるんで、うちの天使の半径五メートル以内に入らないでもらえますぅ?』

「おにい!」

『特に赤茶髪~。ちょっと七音と距離近くない? 処すよ?』

「いい加減にしてよ!」

「そうだそうだ! くろえ様の話よりも優先することなんかねぇ!!」


 くわっと目を見開いて主張するヴィンに、全員の時が一瞬止まる。一般的な感性で見れば、ヴィンは目鼻立ちの整った学年上位の美形である。道行く女性が必ず振り返るような顔なのに、どうしてこうなった。


 神は顔と性格の二物を与えないのだと、七音はヴィンとマサルを交互に見ながら一人納得した。

 はっと我に返ったマサルは、一回咳払いして場の雰囲気を引き締めた。そして、真剣な口調で問いかける。




『そうそう……重大な話なんだよ。すぐに話したいけど……先に、わかる範囲で樫城くろえについて教えてくれる?』

「くろえ様はむぐぅ!?」

「勇人君ナイス!」

「おう!」




 親指を立てて称える七音に同じ動作で返す勇人。その腕の中では、口を塞がれたヴィンが暴れている。暴走を先読みできた勇人のとっさの判断だ。

 仲の良さを見せられて画面の向こうで般若面になるマサル。それに周りが引く中、七音は知っていることを話した。

 噂、本人の態度、シルヴァンの評価。聞き終えたマサルは目を閉じて考え込んだ。


『成程……一応、危険人物という印象はあるんだね?』

「でも、実際はそんなことないんだよ?」

『あぁ~考えが天使~ピュアッピュア~!』

「だな。この一か月、悪事らしい悪事はしてないようだし」

『貴様に聞いてねぇよ』

「この落差」

「酷いです……」

「なかなか本題に入れませんね」


 周りの声が伝わったのか、マサルが話を本筋に戻す。


『今、七音が言った事は全て本当のことだよ。でも、氷山の一角にすぎない情報だね』

「えっ!?」

「まだあるんですか!?」

『むしろ、こっちの方が問題だよ。だからこそ、隠しているんだろうね。水無月のお偉いさん方は』

「零君は何か聞いてる?」

「いえ……ただ、なるべく特待生には関わるなと注意は受けていました。すぐに無駄になりましたが」


 誰とは言わないが、ちらっと視線を送る。当の二人は気づいていないようだ。そんなことはどうでもいいと、マサルが話を続ける。






『七音が分かりやすいよう、順序だてて簡潔に話すよ。話は去年の六月まで遡るよ』






 六月某日。花ノ国を象徴する、一年中咲き誇る色とりどりの花畑。その一角に魔物が現れたと、王室から学園に連絡があった。

 花ノ国での魔物退治は、これまでに何度もある。元の生物の習性が残っているのか、蝶や蜂をベースとした魔物が出やすいのだ。

 新人に先輩の実践を見せる絶好の機会だった。その為、今回の戦闘には来年度の特待生もついていくことになった。




 樫城くろえ、風浦璃久斗。魔物の襲撃に巻き込まれ、適合に成功。そのまま保護されたようだ。隊員にはそれだけ伝えられ、行動を共にすることになった。




 部隊の隊員たちが道中、会話を試みたが成果はあまりなかった。くろえも璃久斗も、聞かれたことだけを簡単に答えるだけだった。

 少々気まずい雰囲気の中、目的の花畑に到着した。女性の腰ほどまで伸び伸びと育ち、大輪の花をいくつも咲かせている植物。その上空を、数十体の蜂が我が物顔で飛んでいた。


 魔物が出現する際、大抵は中型~大型の魔物が数を成している場合と、巨大すぎる魔物が一、二匹だけの場合の二種類に分かれる。今回は数の方で、一匹一匹の大きさは両掌で担げるほどしかない。

 普通の蜂と違い、黄色と黒の配色が反転している。また、尾の毒針が細くしなやかなだ。特筆する点はその位であり、逆に言えばそれ以外は大きいだけの蜂だ。


 部隊はすでに何度も魔物退治を成功させている。魔物といえども、烏合の衆に引けを取らない。

 くろえ達は非戦闘員と共に、鉄板の後ろで待機を命じられた。

 

ついにくろえの噂に触れます!

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