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My own Sword  作者: ツツジ
本編
21/187

第21話 怒涛の初日

まだ入学初日という(汗)


 ガイダンスはこの島での生活や寮、施設について説明された。改めて地図を見ると、もはや一つの都市のようだった。パッと見て、居住区と学園に分かれている。


 居住区の中心にある男子寮と女子寮は一般的に想像する者よりも豪華で、中規模ホテルのようだ。一人一室の部屋に、各階に共通設備として台所、遊戯室、談話室。

 一階には、朝夕食を数種類から選べる食堂がある。寮の周りにはコンビニ、スーパー、ドラックストアなどの生活に必要な物から、銭湯、ジムなどの娯楽施設まで併設されている。


 生徒達は毎朝、バスで送迎されてくる。学園内は広く、施設も多い。授業を受ける校舎は今ガイダンスを受けている建物で、同じ様な教室が三つ並んでいるようだ。

 それが三階建て。外から見ると高さがあったが、すり鉢状になっている分、高さを取るようだ。


 入学式を行ったホールやこの校舎以外にもカフェテリア、温水プール、図書館などの施設が建っている。施設以外にも整地された並木道や花が多い簡易な中庭などがある。


 一般的の施設が並ぶ中、水無月だからこその施設もある。研究所や発明工場、何よりも目立つのは訓練場だ。

 一番面積を有するこの建物は、水無月を代表する施設と言っても過言ではない。その名の通り、適合の率や戦闘経験を上げる為の施設だ。

 最新の技術により、過去のデータから魔物を、特殊な部屋にて実体のあるホログラムとして抽出、戦闘を行えるのだ。詳しい仕組みは理解できなかったが、凄いことは理解できた七音だった。


 シルヴァンがぱぱっと簡潔に話したにも関わらず、ガイダンスはかなりの時間がかかった。終了と宣告された瞬間、どっと張り詰めた空気が軽くなる。

 硬くなった体を伸ばしたり、友人たちと話したりする中、くろえと少年がさっさと部屋を出ていく姿を七音は目撃した。


「あ……」

「どうかしましたか?」

「……ううん。何でもない」


 零の問いかけを誤魔化す。噂の件をくろえに聞きたいが、もう部屋を出てしまった。そう正直に答えれば、面倒なことになるのは目に見えてわかる。

 特に、こちらを見る勇人とヴィンが確実に暴走する。


 考えてみれば、まだ初日なのだ。時間は有り余っている。タイミングを見て、くろえに聞ければいい。そう思って、七音は資料等を鞄にしまった。


「ふぁ……ねっむ」

「わかる~」

「……自分的には確定していますが…………二人共、寝てました?」

「爆・睡!」

「快・眠!」

「大丈夫なの!?」

「大丈夫ですよ……自分的に分かりやすいようにして話しますから」


 ハッキリ言いきる勇人とヴィンに、息を吐く零。恐らく、中学校から同じ流れなのだろう。大変だなと同情しつつ、歩き出す。







 今日の学園行事は終了、後はバスに乗って寮へ行くだけだ。







 校舎の出口を目指しつつSEINの交換を申し出れば、三人は快く了承してくれた。とりあえずバス停まで行こうと建物を出れば、薄暗い外から二つの人影が駆け寄ってきた。


「七音! 無事!?」

「流華!? 静葉!? え、何で!?」


 目の前まで駆け寄ってきたのは、数時間前に分かれた流華と静葉だった。息を大きく荒げながらも七音をいろいろな角度から凝視する流華。小走りだった静葉が追い付き、軽く呼吸を整えて説明してくれた。


「SEINで噂が流れてきたんですよ。七音さんらしき特徴の人が、特待生と仲良さそうだって。それから流華ちゃん、心配でいてもたってもいられなかったみたいで……」

「大丈夫? 怪我はない? 何もされていない? 特待生と仲良くなった? 私より?」

「あれ、仲良くなったって言うのかなぁ?」

「いや、あれは敵の幹部が主人公を気に入るシーンそっくりだったわ」

「くろえ様の抱擁くそうらやま」


 ヴィンの小声が流華の耳に入ったのか、急にがばっと七音に抱き着いてきた。驚きつつ受け止める七音。背中に回された腕に力がこもっている。


「私だって、抱き着ける」

「流華?」

「あらあら。流華ちゃんったら」


 おっとりと様子を見ている静葉は、完全に流華の保護者的立ち位置だ。本人も自覚しているのか、優しい視線を流華に向けながら七音に話しかけた。


「流華ちゃん、友達付き合いが苦手だって、人と距離を置きがちなんですよ。でも、七音さんとはそういうことないみたいで、良かったです」

「え? 初めて会った時もそんなことなかったよ?」

「七音さんは人に好かれやすいみたいですね。見てて分かりますよ」


 そう言って微笑む静葉。慈愛に満ちた笑顔は、聖母像を思い浮かべるのには十分だった。伊良や尾名のような信者ができるのも納得がいった。


「七音さん? 私の顔に、何かついています?」

「いや、何にも……」

「七音。寮に行っていろいろ話そう? 施設の事とか、見て来たから詳しく話せる」

「ホント!? 聞きたい!」


 口の端を小さく上げて提案する流華に、全力で乗っかる七音。その様子を眺めている静葉に、話の内容が少し気になる男子三人。





 今が一番、平和な時間かもしれない。そう思いながら、七音はバス停まで六人で話しながら向かうことになった。



これから本格的に学園生活スタートです!

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