人気者の苦悩。
ラスボスになってしまいがちな完璧キャラ、カレン。個人的に好きな子です。
「最近流行ってる〇〇とか?」
ゆきのの声に私は答える。
「あーね。真音と被りそ」
反応が薄いな。と思った。
私のグループは、ほとんど皆、自分から話題をつくろうとしない。私がつくった話題に、「あー」みたいな感じで乗っかるだけ。そこんとこどうにかしてほしい。皆が好きそうな、話せそうな話題を考えるのだって大変なのだ。
あ、大変だからやらないのか。と、今気が付いた。面倒な仕事は、大変なことは、全部カレンがやってくれると、いつも言われていた。「だってカレンちゃんは天才だもん」とか「カレンなら私より上手くできるでしょ」とか、いっぱい言われてきたけど、私は上手くやってほしいわけじゃない。カレンちゃんばっかりやりすぎだよって、下手でも良いからやってほしいのだ。
「沙羅は?」
まんべんなく、皆に話題をまわす。当たり前じゃんって言われそうで、意外と難しいもの。特に、沙羅みたいな、・・・無口の子がいるときが。
なぜか、ユキに怪訝そうな顔をされた。ほんのちょっとだけだけど。沙羅は相変わらずしゃべらない。うーん、みたいな表情をして、こっちを困った顔で見ている。
いや、知らないよ。って言いたくなる。会話続かなくて困っているのはこっちなんだから。届かない、思い。なんて、かっこよく言ってみる。真音は来ない。遅いな、真音も、沙羅の返事も。
「・・・私は、皆の歌を聴いてるだけで良いかな」
沙羅の答え。いいこぶって。あ~私、性格悪くなっちゃったのかな。カラオケ行くんだから、歌ってくれないと困る。なんか、私たちが歌わせてないみたいで。そんなこともわかんないのか。ぐちぐちぐちぐち、心の中で言う。
「そう?」
軽く、軽く。怒っちゃいけない。それが私だから。
そわそわしだす皆。大丈夫、喧嘩はしないから。やっぱりユキは機嫌が悪そう。明らかに、私に向けて。私、何かしたっけ?自分に聞いてみるけど、何にもしてない。むしろ頑張ってる・・よね?
「さーちゃんは優しいなぁ」
光が言う。さーちゃん――沙羅の呼び名。何であんな子がフレンドリーにあだ名呼びなんだろう。私は一度も、カレンちゃん以外言われたことがないのに。優しい?まぁ、一般的に見ればそうか。何か、虚しくなってきた。私は、何のためにこんなことをしてるんだろう。
「「ほんと、ほんと」」
ユキと美奈が言う。美奈は、私の味方じゃなかったんだ。なんて。悲劇のヒロインみたい。どうせ皆から見たら、私が悪魔で、光や沙羅が天使なんだろう。知ってる、それくらい。どうせ。どうせ。どうせ。
早く真音来ないかな。心の中で、ちっちゃく呟いてみた。
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