第十七話 忍者、チート能力を手に入れる
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『SSSランクのおっさん無双 ~異世界で妄想を実現したら、人生大逆転で余裕でした』
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前回のつづき。
王宮の地下深くにある大図書館。
「ああ心地いい……一生こうしていたい……」
リースは俺に膝枕されて、頭を撫でられている。
「犬か猫のように扱われる屈辱も、キミが相手だとむしろ誇らしいね」
「そうか。それはよかった」
「というかキミ、頭を撫でるの上手すぎじゃないかい? 何かの魔法としか思えないんだけど」
「魔法じゃない。忍術だ」
「ニンジュツ……キミのようなニンジャが使う技術だね。世の中のすべてを知ったつもりでいるボクにもまだ、知らないことがある……ハンゾーくんには驚かされっぱなしだ」
「俺についてこれば、もっと新しい驚きを与えてやれる」
「その話なんだけど……」
リースは苦笑いして、
「たぶんボクは、キミについていかない方がいい」
「なぜだ?」
「ひとつには、ボクは本気で体力がない。大魔法は使えても、歩き回るのには向いていないんだ」
「なるほど」
「ふたつめに、ボクはいちおう謹慎の身ということになっている。オルレアナ宰相ぐらいはどうとでも丸め込めるけど、ここから外に出ようとすれば確実に面倒は増える」
「うん。理に敵ってるな」
「そしてみっつめ。たぶんボクはこの大図書館にいた方が役に立つ」
「それはどういう意味だ?」
「ふふふ、どうしようかな~? 教えようかな~? それとも内緒にしておこうかな~?」
「そう言わず聞かせてくれ。ほらこうしてやるから」
「……あ、だめ、そこ……気持ちよすぎ……ますますキミから離れられなくなっちゃう……」
「教えてくれ」
「はい教えます。ええとね、まずボクは、この図書館にある書物をすべて把握している。さすがに全部を丸暗記というわけにはいかないけど、調べたいものがあればすぐに調べられるようになってるんだ」
「へえ。大したもんだ」
「そしてもうひとつ大事なこと。これはぜったい誰にも内緒にしてほしいんだけど……」
「約束しよう。俺とあんただけの秘密だ」
「えへへありがとう。実はボクね、念話が使えるんだ」
「念話……というと、意識と意識で会話するアレのことか」
「そのとおり」
俺はすぐに理解する。
「それ、かなり美味しい能力じゃないか?」
「さすがハンゾーくん。飲み込みが早い」
「この世界での連絡手段は、手紙やら早馬が主流だ。念話はその概念をひっくり返せる」
「そうなんだよね。でもたぶん、念話を使えるのはボクひとりさ。この図書館に収められている膨大な書物を読み込んで、始めてたどりついた新しい魔法だからね。昔から設計理念だけはあったんだけど、誰も成功しなかったんだ」
「そうなのか。やるじゃないかリース」
「えへへ。もっとほめて」
「よしよし。いろんなところをなでてやろう」
「あ……そこボク弱い……」
ひとしきり甘い声がひびき渡る。
「――ボクはね、その力をハンゾーくんとだけ使うつもり。どれだけ遠くにいても、いつでもどこでも情報をやり取りできるってわけさ」
「そいつはいい。魔法ってやつも中々どうして、便利なんもんだな」
「さすがのハンゾーも、念話までは使えないのかい?」
「ああ。俺はせいぜい、パリーズの都の範囲すべてを遠見できる程度の能力しかない。その範囲であれば唇も読めるから、声は聞こえなくてもだいたい何を言ってるかは伝わるな」
「……え。なにそれ。魔法なしでそんなことできるの? うそでしょ?」
「忍者だからな。まあそのくらいは」
「……生身の人間が魔法も使わずに、どうしてそんな真似ができるんだい? すごすぎるよハンゾーくんは……」
リースはため息をついて、
「とにかくこれで、この大図書館にある知識のすべてがハンゾーくんのものになる。キミの好きなように使ってくれ」
「そいつは心強いな」
「ただしその際は、必ずボクを通して、ということになるけどね」
「上手くできた話だ。そういう手続きを構築することで、あんたはある意味で俺を独り占めすることになる――」
「ずるいと思うかい?」
「全然。それだけ俺の存在が、あんたにとって大事なものだ、ってことだからな。むしろ俺にとっても都合はいい。あんたの力を独り占めすることは、俺にとっても損な取引じゃない」
「……キミのそういうところ、完全に英雄の器だと思うよ」
「ただの忍者だけどな、俺は」
「それで? ハンゾーはボクを独り占めしてくれるのかい? 大図書館の知識だけじゃなく、身も心もすべて」
「あいにくと子供は守備範囲じゃない」
「ボクはホビット族だからね。これでもれっきとした大人だよ」
なるほど合法ロリか。
それはそれで一興かもしれん。
「ボクをキミの女にしてほしい」
「わかった。今日からお前は俺の女だ」
「うれしい――あっ」
閨房の秘術を使うと、たちまちリースは切なそうに身をよじらせる――
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こうして俺は、この世界におけるいわばインターネットと、ハーレム要員を同時に手に入れたのだった。
これでまた、無双はかどってしまう――まったく、異世界の忍者にヒマはなし、だな。




