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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
弐の章 蒼い春
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長い日 8





フランシスカの人生に

順風満帆だったことは一度たりともない。


ルカ夫人との晩餐の後は、

それはもう壮絶な人生で、


ただでさえ行方知れずな父親に頼ることもできず、


母親は右腕を失って

悪魔祓い師としての資格と仕事と正気を失い、




たった5歳の女の子が

全てを背負い、

食い扶持を探さなくてはならなくなった。






日々、悪魔狩りに明け暮れ、


仕事がない日は

鍛錬に次ぐ鍛錬。


そして

ズタボロになってまた仕事へ。




それをよく知っているのは、

バチカンから送られた囚人、

メイドのマリーだった。


悪魔専用刑務所の

仮出所までこぎつけたマリーは


奉仕活動の一環、

メイドとしてフランシスカの家へやって来たのだ。




フランシスカ7歳、

マリー、77歳。


奇しくも出会いは7並びだった。







ケイトとフランシスカの激しい戦いを

地下施設の物陰から

見守るマリー。


《フラン様が…努力の人、あのフラン様が負けるはずがない。》


《あってはならない、負けるなど、あっては…》


《あっては…可哀想すぎる!!!》












フランシスカの豪邸、

その広い一室。




フランシスカは床にはいつくばり、


胃液と血が混ざったよだれを垂らして

その地面に爪を立て、

必死でボロボロの体を起こして立ち上がる。




《どうした小娘!?悪魔狩りが得意なんでしょう!?》


マリーがヒールのブーツで思い切り

胸に蹴り込む


また吹き飛び、

床を削り、

今度は仰向けになる。




《…ふしゅう…ふしゅう…!》


立ち上がる、

荒い呼吸で力を振り絞る。




もう、妖力で斧すら出せない。

疲弊、

生命の危機、


しかしマリーは追い込む、




鞭で顔をひっぱたき、

首に巻き付け、

そのまま一本釣りのように持ち上げて


床に叩きつける。




ぶつかった大理石の床に亀裂が走り、

ゆっくり折れ曲がった身体が重力に負けて

また倒れる。





《…し、死、死ぬ》


遂に

7歳の少女の口から弱音がこぼれた。


だが、

マリーは走り込んで

倒れたフランシスカの脇腹をサッカーのようにキックして




《なら死ね!》





川へ水切りさせようと投げた平石のように


細かくバウンドして

フランシスカは部屋の壁に叩きつけられた。






それを歩いて追うマリー

そのブーツの音が

死刑執行のカウントダウンなのか





《死ね、死んで楽になれ》


《父親の汚名を被り、壊れた母を残し、》


《惨めに、汚らわしく、死ね!!》





とうとうフランシスカにたどり着くマリー


倒れて丸まる少女を上から見下し、

冷たく光る紫の瞳で

じっと見つめる。




《だが、死にたくないなら、》


《差し伸べる手はある。》





フランシスカはマリーを

怯えきったそのあどけない瞳で見上げて


《た、す、けて》


手を伸ばした。




結ばれる手と手、


マリーはぐいと引っ張り

そのまま

髪の毛を振り乱したその少女を抱きしめる。






そして…





《魔の血に新しい血を混ぜよう》


吸血鬼(バンパイア)の血を。》






頸動脈を噛みつかれ、

血を吸われるフランシスカ。


その際、

マリーは鋭い牙から自分の血を

細く白いその首に送り込む。




《貴女を強くするのは復讐心、》


《世の中全てに復讐するのです。》





全身の筋肉が伸びて、

手足がビンと張り詰める。


活性化されていく身体、

ありとあらゆる血管が脈打ち、

肌から浮き出てくる。




マリーがフランシスカの身体を離して、

床に倒れる。



すると

その瞬間に

心臓が強く脈打つ、

身体がくの字に折れ曲がるほどの衝撃!


苦しみ!

胃液を吐いて

床を転がり回り、叫ぶフランシスカ





《Amanecer de la revolución...》

(革命の夜明け…)


そんなフランシスカを見て、

マリーが呟いた。








努力を惜しまない心と、

魔族、吸血鬼、両方の特徴を持つ身体、


そして

圧倒的な戦闘センス、


力を解放した今、




《…力を解放した今、フラン様が負けるはずなどない!!》





マリーの声援が

地下施設中に響き渡った頃、


幾度となく続く

刀と斧の打ち合いが

とうとう終わりを迎えようとしている。




《体感でもう2分以上鬼羅になってる…!》


《いつ切れてもおかしくない!》




予想以上のフランシスカの粘り、

ケイトは決定打を出せず、

冴えを欠いている。




対して、フランシスカ、


打てば打つほど、

気分が晴れていく、


やはり魔族は良い、再認識する。





《私はまだまだ羽ばたける!この世界でも!どの世界でも、私は!!》



2人は打ち合いながら地面に着地して、

また飛ぶ!!


ケイトは跳躍、

フランシスカは飛行!




広げた羽を畳んで、

正面に持ってくる、

傘を閉じた状態のように、


尖った羽は鋭さを増し、

斧と一体化して、


黒い大きなドリルとなる。



閉じた羽の中から、

ケイトの背中に照準を合わせて、





貫く!


しかし

貫かれたのは一眼の残像!


ならばそのドリルの背後をつけるか?

つけない!

速すぎる!


背後に転身したところで

フランシスカはあっという間に向こうに




ならば、

その向こうを予測して…




転身!


ドリルは急激な方向転換などできず、


素直に

転身したケイトの正面からやってきた。




ケイトは刀を構えて、

どうやらドリルになったフランシスカごと

巻き込んで斬るつもりだ




だが、

羽を開き、

急ブレーキをかけるフランシスカ




《その瞬間移動…目障りだな》


羽ばたき、

宙で腕を組み、

眉を吊り上げた。







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